今週の予測
テクニカルからみた相場観測
先週末の米国株高を受けて本日の日経平均も反発しましたが、個々の銘柄を見れば高安まちまちの展開となりました。
東証1部の騰落数も、値上がり942銘柄で値下がりが1139銘柄と下げる銘柄の方が多く、指数は上昇しているものの、個別ではポジション解消売りに押されている感じでした。今週末から日本市場はゴールデンWに入ります、29日の木曜日が祝日ですので実質的には29日からゴールデンWが始まると言う感じです。
当然積極的な買いは入りづらく、先物主導の売買で日経平均は上下に動きますが、個々の銘柄に関しては本格的な売買もゴールデンWが明けてからになりそうです。米国では強い経済指標の発表が続いており、米経済の回復期待が買い材料になっている一面が有りますが、日本では緊急事態宣言が発令されるなど、どちらかと言えば景気減速懸念が強まっていますので米国とは真逆の状況です。米国ではワクチンの接種も加速していますが、日本ではワクチンの接種は遅々として進まず、ワクチン普及による経済正常化期待に関しても日米では大きな違いが有ります。ワクチンに関しては日本では作っておらず、米国や英国から供給される立場ですので、普及が進まない事も致し方ない一面も有りますが、海外投資資金から見れば、そのような日本市場は今は利食いを進める局面と見えるのかもしれません。
しかし日経平均の昨年10月末の株価は22948円でした。そこから上昇が続いて今年の2/16には一時30714円まで上昇しています。その後は現在に至るまで上げ下げを繰り返すボックス相場が続いていますが、昨年11月以降の上昇幅を考えれば、高値圏を維持して日柄調整が続いている展開は十分に強い展開だと思います。ゴールデンWを控え、主要企業の決算発表への過度な期待も今は後退、日銀のETF買い入れ方針の変更や円安の一服など、買い手掛かり材料が乏しい事も日経平均軟調な原因になっています。日経平均をテクニカル面から見てみると、既に25・75日移動平均線は下回っており、この先下値目処になるのは26週移動平均線です。現在上昇中の26週移動平均線が28100円台に位置しており、仮に再度下振れした場合には26週移動平均線付近が下値支持線になると思います。
日本市場は今は需給が一時的に悪化する時期であり株式市場も軟調ですが、世界経済は米国経済の急回復が示すように、経済正常化の動きは続いており、IMFによると、2021年の実質GDP成長率は世界が6.0%(20年はマイナス3.3%)、アメリカが6.4%(同マイナス3.5%)、日本が3.3%(同マイナス4.4%)、中国が8.4%(同プラス2.3%)と予想されています。日本ではワクチンの普及が遅れていますが、この先ワクチンの普及が進み、経済正常化の動きは一段と加速するとの見方が世界の主流です。日本株は世界の景気敏感株との位置付けも有り、世界経済の回復トレンドが続く限り、最終的には日本株の上昇基調も続きます。今はゴールデンWを控えて軟調な相場ですが、ゴールデンW後を見据えれば弱気になる事は有りません。
柴田罫線からみた相場観測
今週は、先週の急落後のいったんの反発を受け、29000円前後で様子見となりそうです。この状況の中で、日米の金融政策を議論する会合が開かれ、又、国内企業の3月期決算発表が本格化します。
27日の日銀金融政策決定会合、27~28日にFOMCがあります。FOMCではこれまでと同じように大規模金融政策を継続する方針とみられ、投資家には安心感が広がり株式にも堅調な動きが期待できます。一方、日銀には気になる動きがあると持論する市場関係者がいます。それは、日銀は4月に国債の購入を減額させており、先週の大きな下げでも21日に701億円EFTを購入しただけで相場を支える動きではありませんでした。市場関係者の間では、「日銀は金融緩和縮小に動きている」という認識が広まっているということです。新型コロナ感染拡大で景気低迷が続く日本の株式市場にとって日銀の金融緩和縮小が事実であれば痛手となります。もちろん、日銀は否定するでしょうが、カナダ中銀は来年にも利上げに踏み切る可能性を示唆しており日米欧協調による金融緩和も終りに近づいているということかもしれません。
チャートの動きからみると、先週は、日足での三角保ち合いを下放れし、75日移動平均線を切って28419円まで下落し、その後、22日に679円高の29188円と大きく反発して、75日移動平均線を回復しましたが、割り込んだ25日移動平均線(22日時点29409円)を下回っています。少なくともここを突破しなければ3万円台は時間がかかることになります。今回は、連休に向けての上昇という過去の経験則は難しくなったかもしれません。特に新型コロナ感染拡大第4波は、これまでのウイルスと違って感染力が2倍という統計もあるN501Yに置き換わりつつあり、早期の感染収束が実現できるか疑問になっています。投資は慎重なスタンスが必要ですが、コロナ禍の中でビジネスチャンスが生まれ、業績を伸ばす企業も出現してくるので慎重に銘柄を選んで投資すべきでしょう。今週の日経平均は、29000円前後を中心に28500~29500円のレンジが基本といえます。
指標分析
日経平均
先週の予測では、新型コロナ感染再拡大で、週内には大阪、東京で「緊急事態宣言」の発令が出る予想を受けて、チャートは25日移動平均線(16日時点29542円)を切り、75日移動平均線(16日時点29045円)を試す動きとなりました。さらに75日移動平均線を切ると調整が長引くかもしれないともしました。
結果的に米株式も下落となったことから、日経平均は21日(水)には28419円まで下げ、およそ1ヶ月ぶりの安値となりました。しかし何とか3月5日の28308円、3月24日の28379円を下回らず週末は29020円と29000円を守って引けましたが、日足では75日移動平均線(22日時点29144円)を割り込み、三角保ち合いの下放れとなっております。
先週は悪材料が重なって、20日、21日と2日間で約1200円下落し、22日(木)は反動で△679円の29188円と大きく反発して、75日移動平均線(22日時点29144円)をいったん回復しましたが、すぐ上に25日移動平均線(22日時点29409円)があり、これを突破しなければ3万円台回復には時間がかかります。当面は米国株式がサポートになるものの、日経平均は29000円前後でのもみあいが続き、3度目の「緊急事態宣言」の結果を確認する動きとなりそうです。レンジは28500~29500円が想定されます。NYダウ
先週の予測では、引き続き経済活動の再開を背景とした景気回復期待や企業の好決算が相場を押し上げることになりそうだとしました。しかし、先週の相場は一服となりました。
4月19日(月)は、ビットコインの急落を受け、ハイテク・グロース株が大きく下落し、20日(火)にはWHOが世界的なコロナ感染が最高レベルに向かっていると警告し、米国の1日あたりの感染者数も6万7000人以上となったことで、景気の先行き懸念から3指標そろって大幅続落となりました。21日(水)は、いったん大き反発するものの、バイデン大統領が富裕層に対するキャピタルゲイン課税を強化するとしたことで大幅下落となりました。週末のNYダウは、△227ドルの34043ドルと反発して引けました。
今週は、ハイテク株の決算に注目が集まりそうです。それ以外に28日にバイデン大統領の就任後、始めての議会演説があり、インフラ計画や気候変動対策に加えて、キャピタルゲイン課税の言及もあるかもしれません。まだ現在のところ大量の失業者がいる中で速やかに増税を推し進めるとは考えにくく、直近は良好な企業決算や景気回復期待を背景に相場の上昇が継続すると考えられます。為替(ドル/円)
<先週はドルは弱含み>
先週は、週始めは米国務省が100ヶ国近くを渡航禁止の対象にしたことで、ドル高・円安にふれましたが、バイデン大統領の富裕層向けのキャピタルゲイン増税策の提示により、ドル買い・円売りは縮小。日本政府が「緊急事態宣言」を発令する方針を固めたことでドル売り・円買いにつながりました。4月23日のNY市場ではドル・円は一時107.48円まで下落し、週の終値は107.87円で引けました。
<今週は、景気回復期待でドル売り縮小>
FRBは、4月27~28日にFOMCを開催し、現行の金融政策の維持を決定する見通し。金融緩和政策の長期化への思惑は消えていないので、ドルの反発を抑える要因となります。又、28日予定のバイデン大統領の演説で増税計画について話すとみられているのでドル買いを抑制することになりそうです。
よろしいですか?