今週の予測
テクニカルからみた相場観測
先週末の米国市場でNYダウが下落した流れを受けて本日の日経平均も売り先行で安く始まり9時半過ぎには一時29542円まで下げ幅を拡大し、日経平均株価は28円高の29774円、トピックスは1P安の2042Pで終了しました。
しかし売り一巡後には押し目買いで切り返して上昇に転じ、後場には一時29806円まで上昇、ざっくりと言って下値の底堅さを確認した格好です。
欧州ではオーストリアが再度ロックダウンを実施するなど再び新型コロナの感染が拡大しています。ドイツでも感染が拡大しており、欧州景気への悪影響が警戒されつつ有りますが、日本では感染拡大の兆しは見えず、欧州からの資金逃避が日本に向かうと言う事も期待出来ます。
日本市場の現状は、テクニカル的には依然短期上昇トレンドは継続中、日経平均3万円回復を視野に動いている状況に変化は有りませんが上値は重いとの見方は変わらず。
暫くは戻り売りを吸収しながら値固めを進めると言う展開になりそうですが、引き続き銘柄重視の発想で押し目買い狙いで対応して行く投資環境との判断に変りは有りません。
欧州や米国、韓国でも再び新型コロナの感染が拡大しており、経済への悪影響が警戒されて株式市場への逆風が吹きつつあります。
しかし以前との大きな違いは、ワクチンの普及が進んでいる事、治療薬の開発も進み、飲み薬タイプの治療薬も近々普及する事。
そして最大の違いは死亡者や重症者が大幅に減っている事です。そう言う意味では、必要以上に経済を止めるような対策は限られますので、過度に悲観する事は有りません。
又、日本においては感染再拡大の兆しは無く、国内経済再開、大規模な景気対策発動も有り、欧州からの資金逃避が日本市場に向かうと言う事も期待出来ます。
簡単に言えば、欧州株を売って日本株を買う資金移動が起きる可能性もあると言うことです。
これまでは経済回復を期待した資金が欧米市場を中心に流入していましたが、欧州の先行きへの不透明感が強まった事で、欧州株から日本株に乗り換えるという動きも出て来ると思います。
四半期決算発表も終わり、日本企業の業績も良好でした、割安感の有る銘柄も多く、政府の大規模経済対策も決まりましたので、欧州株から日本株に乗り換える理由にもなります。
最大の乗り換えの理由は新型コロナの感染がほぼ収束している日本と言う事です。
米国でも、12月に入れば再び政府債務上限問題が浮上します、金融政策面でもテーパリングが始まり、利上げ前倒しの懸念も強まっています。
割高感のある米国株を売って、割安感のある日本株へと乗り換えると言う動きが出て来てもおかしくは有りません。
世界の投資資金の循環と言う観点から見れば、欧米に偏っていた資金が一旦リバランスを強めればそれは日本株にとってはプラスになります。
明日の日本市場は勤労感謝の日で休場になります。今週は欧州のコロナ感染状況を睨みながら株式市場も一喜一憂する事になりそうですが、日本市場においては銘柄重視で好業績銘柄の安値買い狙いと言う基本スタンスは変わりません。
柴田罫線からみた相場観測
<今週は、休日を挟んでいるため29200~30000円のボックス相場続くか>
今週の日経平均は、引き続き「近くて遠い3万円」が続きそうです。明日の休日をはさんでおり、3万円回復は難しいといえます。米国株式3指標が、それぞれ最高値更新となっても日本市場は追随しません。この理由は、買い主体の外国人投資家が、日本の政治に対する懸念があるということがあります。
19日に岸田政権が経済対策として、過去最大の55.7兆円の財政支出を発表しました。発表前日の18日(木)は、この報道を受けて一時大きく上昇しましたが、すぐに売りに押されてしましました。
今週は、改めて大規模な経済対策を受け上昇のキッカケになるかどうか注目となります。新聞の見出しは、「分配」柱、事業規模78.9兆円となっていますが、外国人投資家が、この経済対策に反応しないのは、資本市場が嫌気する「分配」を強調しているためだと言われています。分配にお金を回すということは、投資家の取り分が少なくなるということを意味しますので、岸田政権の経済対策を評価していないということになります。
又、「金融所得税の強化」が再び頭をもたげてきたことも警戒感を抱かせているとも言われています。岸田政権は、外国人投資家が安心して投資できるように分配の前に成長政策を明確に打ち出さなければ株価は目先の3万円を超えてもさらに大きく上昇する期待がもてなくなります。
今は、29000~30000円のレンジの中でのボックス相場ですが、8月20日の26954円を底に10月6日の27293円、10月25日の28472円、11月1日の29040円と下値は着実に切り上げています。
それを考えるとアノマリーの11月下旬を迎え、新型コロナの感染が収束に向かい、企業業績は増額修正も多く、過去最大の経済対策も発表され上昇が期待されるところです。
チャートでは、日足の25日移動平均線(19日時点29302円)や10月6日の安値27293円から続く支持線(29700円近辺)を下値とする上昇基調を保っており、今週ぐらいは「近くて遠い3万円」もクリアーできそうです。
指標分析
日経平均
先週の予測では、前週に29000~30000円のレンジの中で、11月11日に29040円と目先の安値を確認したことで、4日につけた29880円を終値で突破できれば3万円台の期待ができるとしました。
週始めは、米株式の堅調な動きを受け、また中国株の上昇にもサポートされ11月16日(火)には29960円と4日につけた29880円を上回りました、しかし、上値重く終値では△31円の29808円となり、終値では突破できませんでした。18日(木)には、29402円まで下げたところで、19日公表の経済対策費が過去最高の55.7兆円と報道され、29715円まで反発しましたが、戻り売りで▲89円の29598円と続落しました。週末の19日(金)の日経平均は前日のナスダックの最高値更新を受け、△147円の29745円で引けました。
今週は、明日23日(火)は休日で相場としては動きにくい週といえます。まずは19日の岸田政権の「分配」が柱の事業規模78.9兆円(財政支出55.7兆円)を市場の評価がどうなるのか注目するところです。
外国人が評価するようなら3万円台回復のきっかけになるところですが、分配に焦点が置かれ、成長政略が明確でないところが気になります。
柴田罫線でみても2020年3月19日の16358円からの上昇トレンド(A)で9月14日に30795円の高値をつけたあと切って10月6日に27293円まで下げ、ここからの戻りで3万円水準は上昇トレンド(A)が上値抵抗線に変化しています。3万円台回復には大きなキッカケが必要です。
NYダウ
先週の予測では、10月小売売上高や小売の決算が好調ならば株価は上昇となるが、一方でインフレ高進が高まれば早期利上げ観測の思惑から株価は下落としました。
週始めは長期金利の低下からNYダウは上昇して始まるものの、翌日に小売売上の発表を控え様子見となりました。翌日11月16日(火)は、10月小売売上高が予想を上回り、NYダウは一時△229ドルまで上昇するも上値重く△54ドルで引けました。その後はインフレ高進や新型コロナの再流行を受け、NYダウは3日続落となり、週末の19日(金)は、▲268ドルの35601ドルとなりました。但し、ハイテク株は上昇し、ナスダックは2日連続の史上最高値となっています。
今週の予想では、25日(木)は感謝祭で休場となり、26日(金)は短縮取引となるので正味の営業日は月、火、水の3日間となるため、大きな動きは出にくいという見方が多いとも。注目は感謝祭前のFRB議長の指名計画があり、大方の見方はパウエル議長の再任ですが、ブレイナード理事が指名された場合、短期的には不透明感が出て下げると見られています。
また欧州の一部では新型コロナの感染再拡大でロックダウンが計画・実施される国もあるが、これが広がれば株式市場にとってはマイナス要因となります。但し、ワクチンの接種によって大きな拡大にはならないと見られています。
為替(ドル/円)
<先週の動き…経済指標改善で、ドル・円は年初来高値更新>
米国の10月小売売上高が市場予想を上回り、10年債利回りが上昇し、ドル買い・円売りが強まりました。11月17日に114.97円までドル高が進行しました。その後、利益確定のドル売り・円買いが観測され、114円を下回る動きとなりました。19日には一時113.35円までドルが売られましたが、欧州中央銀行総裁が「金融引き締めを急がない」と発言したことで、ユーロ売り・円買いが活発となり、この円買いがドル売りにつながりました。
しかし、FRB理事が量的緩和の縮小ペースを速めることを支持したことで、ドル売りは一服し114.01円で引けました。
<今週の見通し…ドルは伸び悩みか>
FRBによる早期利上げ観測は後退したが、欧州中央銀銀行(ECB)の金融緩和策は長期化するとみられており、安全資産としてドル買いが続きそうです。他の主要中央銀行も金融緩和縮小に慎重な姿勢を維持しており、ドル買いが活発化する要因となっています。但し、1ドル=115円台は2017年3月以降の高値圏にあることから上値は重いといえます。
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