今週の予測
テクニカルからみた相場観測
本日の日経平均は小幅安で始まりその後下げ幅を広げて9時17分には26262円まで下落。しかし売り一巡後は買い戻しで切り返して10時18分には26644円まで上昇、安値から400円近く上昇したものの、買い一巡後は再び売りに押されて上げ幅を縮めてマイナス圏に沈むなど乱高下し、日経平均は50円高の26526円、トピックスは10P高の1886Pで終了しました。終ってみれば小幅高ですが、終日方向感なく強弱観が対立する展開で、暫くはウクライナとロシアの停戦協議の動向をにらみながら日々一喜一憂しそうな感じです。欧米主導の西側陣営が、ロシアに対する金融・経済制裁の強化を発表した事で、プーチン大統領が核兵器の使用を匂わすなど、状況が予想以上にエスカレートする事も警戒されています。中国はロシアに対して経済面で支援する事を表明しており、米中関係悪化への警戒も浮上しつつ有ります。
金融・経済制裁の強化を受けてロシアの通貨であるルーブルは急落、株式市場も暴落しており、今後ロシア経済には大きな打撃が避けられません。西側陣営による金融・経済制裁をプーチン大統領はロシアへの攻撃で有ると述べています。可能性は少ないと思いますが、限定的核攻撃をしないと言う保証も有りません。そのような状況を警戒して本日の米24時間取引では米株先物が一時急落、急落した後は下げ幅を縮めていますが、先行き不透明感が警戒され本日の日経平均も強弱観が対立する展開になりました。更に本日EUが、ウクライナのEU加盟を歓迎するとのコメントを出しています。これはプーチン大統領を刺激する発言であり、ウクライナとロシアの停戦協議にも影響しかねません。停戦協議を控えて神経戦のような様相ですが、ちょっとした思惑のずれが戦争拡大に発展しかねず、相手が核大国のロシアだけに、停戦協議が始まったと言うだけではまだまだ楽観は出来ません。ロシアと欧米中心の西側諸国がお互いに引くに引けない状況となって、事態が更に悪化すると言う展開も有り得ます。仮に停戦協議が物別れに終った場合の、事態深刻化リスクは一応警戒しておく必要が有ります。
ウクライナ情勢に加えて、今週末にはFRBの金融政策にも大きな影響力を持つ米2月雇用統計の発表が控えています。週半ばの3月2~3日には米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長の議会証言が予定されており、内容を見極めたいとの思惑から買いが手控えられるなか、リスク回避の売りは継続しそうですので、需給面では株式市場にはマイナス。日経平均の25日移動平均線は27000円付近に位置しており、あと500円程度はリバウンド余地は有りますが、テクニカル的には戻り売り有利のチャート形状です。もう暫くは日々出て来る材料次第で上下どちらにも振れ易い相場状況です、売られ過ぎ場面では先を見据えて安値買いを狙うと言う事に問題は有りませんが、株価上昇局面での買い出動は厳禁、買いは大きく下げている時だけ考えるのが賢明です。
柴田罫線からみた相場観測
<今週は、27000円水準を上値に様子見か>
今週は、先週の24日(木)に、ロシアがウクライナに侵攻し、NYダウは一時▲859ドルの32272ドルまで下げたものの、ここから急反発し、△92ドルで終わり、週末は△834ドルの34058ドルと大幅続伸となったことで、日経平均も先週末の△505円の26476円に続き、27000円水準への上昇で始まる可能性があります。
但し、買い戻し中心の反発ですので、まだ、ロシアのウクライナ侵攻が不透明な状況ですが、いったん戻りを試す地合いになりつつあるといえます。
こうした中、今週から3月相場に突入しますが、再びインフレ懸念とFOMCが注目となってきます。
FOMCは15~16日に予定されていますが、これまでは足元の原油高がインフレを加速させるとの見方が多く、金利の5%引き上げは織り込まれていますが、米国ではコロナの感染者が減少し、サプライチェーンの混乱は落ち着いてきているので、どう金利に影響するのか不透明です。
3月はパウエルFRB議長の議会証言があり、4日は2月雇用統計の発表もあるためインフレの行方が注目される展開が予想されます。
国内では、脱コロナが意識されますが、感染者の減少傾向が続いている中で、なかなか減少しないのが気になるところです。ただ、欧米の状況に合わせると、経済活動の制限は撤廃されていく方向にあります。
日経平均は、目先はリバウンド後ももみあいを想定するものの、少しずつリスクをとる投資家も考えてみるところにきていますが、ロシアのウクライナ侵攻の行為が、はっきりするまでは、様子見に徹するのもリスクの取り方の1つです。
27000円水準から上は、上値重くウクライナの状況によっては、再び急落の可能性もあります。米国株式は、2日連続で戻していますが、1月に続く先週の2月の下げは、チャートからは2段下げの下放れとなっており、「陰転」を確定させています。すぐにはないにしろ、大きく戻したあとの再度の下げは想定しておくところです。
指標分析
日経平均
先週の予測では、引き続きロシアのウクライナ侵攻の懸念を巡って米株式の動きをみながらの展開になるとしました。NYダウが落ち着かなければ26500~27500円のレンジの中で、26500円水準でのもみあいを想定しました。
しかし、ロシアのウクライナ侵攻のリスクが徐々に高まったことで、2月22日(火)は4日続落となって26500円を割り込みました。23日(水)の休日の翌日の24日(木)は、休日の間にプーチン大統領がウクライナのドネツクとルガンスクの独立を認め、軍の派兵命令まで出したことで、NYダウは大幅下落となり、これを受けて日経平均は▲478円の25970円と1年3ヶ月ぶりに25000円台となりました。週末は前日のロシアのウクライナ侵攻を受け、NYダウが▲859ドルまで下げたあと△92ドルまで反発したことで、日経平均は△505円の26476円と6日ぶりの大幅反発となりました。
先週は、2月24日に1月27日の26044円を下に切って25775円まで下落しました。目先は下げ過ぎのリバウンドとなりますが、三角保ち合いのあとの下げで1月27日の26044円、先週は戻した後、ロシアのウクライナ侵攻で24日に25775円と2段下げの形となりますので、チャートでは「陰転」の形となりますので、大きく戻すほど注意が必要となってきます。今週は26300~27300円のレンジを想定。
NYダウ
先週の予測では、ウクライナ情勢やFRBの利上げペースの思惑から神経質な相場展開が続くとし、五輪終了後にロシアがウクライナに侵攻しれば一段安になるとしました。
想定通り前々週の16日(水)からウクライナ侵攻懸念が再燃し、17日(木)には、親ロシア派の分離主義者が近くの村を攻撃し、NYダウは▲622ドルと今年最大の下げ幅となり、その後は下げが続き、先週の23日(水)には5日続落の▲464ドルの33131ドルとなりました。そして24日(木)には、ロシアがついにウクライナの侵攻し、▲859ドルの32272ドルまでザラ場で急落しましたが、ここから急反発となって△92ドルの33223ドルで引けました。週末は、ロシアがウクライナとの停戦交渉のためにベラルーシの首都ミンスクに代表団を送る準備ができていると報じられたことで、過度な警戒感が後退したことで、大幅上昇となり△834ドルの34058ドルとなりました。
今週は、ロシアのウクライナ侵攻後の展開やFRBの利上げを警戒し、神経質な動きとなって方向感を探る展開になりそうです。
パウエルFRB議長の金融政策に関する半年に1回の議会証言の予定や地政学的リスクの上昇や原油価格の高騰の中、初めての一般教書演説が3月1日にあり注目となります。
為替(ドル/円)
<先週の動き>
先週は、ロシアがウクライナに事実上侵攻する2月24日(木)までは、リスク回避のドル売りとなって、114~115円のレンジの中をドル売り、114円まで下げました。しかし、2月24日(木)に事実上侵攻すると114円まで下げ、そこから買い戻しとなって25日(金)には115.76円までドルが買い戻され115.56円で引けました。
<今週の見通し>
今週のドルは、安全逃避的なドル買いは縮小の可能性は低くドルは下げ渋る。ロシアによるウクライナ侵攻の終末は見えないものの、プーチン大統領はウクライナ側とハイレベル協議を開く意向を示しました。停戦に向けた協議が進展する可能性もあります。ただ、直ちにドル買いが縮小する可能性は低いとみられています。
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