中原駿レポート 9月特別号 2023年の米国長期金利予測 2022年9月7日
1. 米国長期金利の超長期サイクル
米国の長期金利にはおよそ80年、そしてその1/2である40年(レンジ33~47年)毎に重要なボトムに到達している。その歴史的ボトムは1790年と1830年前後、1901年、1941年1月、1986年8月、そしておそらく2020年3月の0.33%であった。また20年毎に重要なトップとボトムを付ける傾向があるようだ。次の重要なトップは2040年前後であろう。
2020年には1%を割り込んだので、2020年3月がその歴史的ボトムであった可能性が高いのではないか―と考えている。ただし前述の通り、サイクルボトムを付ける時間的オーブは2023年まで可能性があり、パンデミックや金融恐慌などが発生すれば2020年3月の金利は更新される(例えば10年もので金利ゼロなどの)可能性もまだ残っている。
また、1982年のトップから左右対称になっている(時間的)可能性が高い。この仮説が正しいとすれば、金利は1982年をトップに40年の上昇期と40年の下降期となる。40年のレンジはおおよそ7年なので、レンジは33~47年であり、2020年3月9日の0.397%はトップから38年でサイクルのオーブ(許容範囲)に該当した。ただし2029年まではまだ金利が最低を更新する可能性が残っている。
(●=39カ月サイクル、▲=15.5カ月サイクル±2.5カ月)
2. 長期サイクル
米国金利の20年(17~23年)サイクルは4つか6つの3~5年サイクルからなるものと想定される。前回の3~5年サイクルは4年で2016年7月にボトムをつけた。
3~5年サイクルは観測可能な1977年6月から12回のサイクルを平均すると38.3カ月―およそ39カ月サイクルで、2020年3月は想定されていたレンジ、2020年7月(2019年7月~2021年7月)の範囲内であった。従って、ほぼ想定通りの時間帯でボトムアウトしたことになる。
また39カ月サイクルは20カ月(16~24カ月)サイクル2つか、13カ月(11~17カ月)サイクル3つからなるが、直近のサイクルでは15.5±2.5カ月サイクルとやや長期化。2012年からの2つの39カ月サイクルは、3つの15.5カ月サイクルから形成された。
2020年3月からの新39カ月サイクルは17カ月で2021年8月4日にボトムアウトした。新39カ月サイクルが3つの15.5カ月あるいは2つの20カ月サイクルからなるとしても、第一位相は強気。また20年のタイムピリオドが有効で、すでに安値を付けた―と考えれば2020年は1982年以来続いた長期金利低下サイクルの完了を意味する。ただし、オーブ(許容範囲)からはもう一つ最後の39カ月サイクルが入る可能性も残っている。更に今後想定されるシナリオは、以下の2つである。
①20年の長期下落期間が完了し、かつ39カ月サイクルがボトムアウトした
②20年の長期下落期間はまだ完了していないが、39カ月サイクルはボトムアウトした
以上2つケースを考えてみよう。
①の場合は0.39%というレベル、おそらく0.5%というレベルも試すことはなく、基本金利が上昇していく。当初は緩やかかも知れないが、2022年にはハッキリとした金利上昇を形成していく。
②の場合は、まだ超長期サイクルがボトムアウトしていないので、金利は戻るとしても前39カ月サイクルを抜けない。従って第二位相(第二15.5カ月サイクルあるいは第二20カ月サイクル)はレフトトランスするかセンタートランスする可能性が高い。すなわち、金利の上昇には限界がある。
いずれにせよ第一15.5カ月サイクルのボトムは2021年8月であったと考える。
その後は①のケースでは金利の持続的上昇がはっきりとしてくるが、②のケースでは金利上昇はサイクルの半分程度、すなわち15.5カ月サイクルならば8カ月まで、20カ月サイクルでは10カ月程度の上昇にとどまり、その後の金利低下はより大きくなる。
現時点では、②の可能性はほとんど消えたが、まだ3.25%を月の終値で抜けきれていないように見えるため、わずかにその可能性は残っている。しかし、ほぼ①、すなわち長期金利の歴史的ボトムは2020年3月であった―と見なしていいだろう。
現在39カ月サイクルの第二13カ月サイクルの13カ月目。やや長めとなった15.5カ月サイクル±2.5カ月とみれば、そのボトムは2022年11月中旬±2.5カ月、つまり22年9月初旬~3月初旬に到来。15.5カ月サイクルは強気のケースでは1~2カ月前にピークアウトすることから、長期的な米国長期金利のピークはまだでも、13カ月サイクルのピーク時間帯に突入している。ただ、最長では22年1~2月までに金利が上昇する可能性もある…
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