クランテックの相場分析 2023.2.13
2023年2月13日
【先週の市場動向】
先週は次期日銀総裁を「雨宮氏に打診する方向で調整」との報道を受けて週明けからクロス円がギャップを空けて上昇してスタートした。雨宮氏は現副総裁でありハト派として認識されているため、安心感からクロス円は上昇し、日経平均株価もやや強く推移。しかし、その後は鈴木財務相や岸田首相からこの件について否定的な発言があったことから、日経平均株価は上昇分を消す動きとなり、クロス円もドル円以外は上値が重く推移した。
続いて7日にはFRBパウエル議長の発言があり、市場は先週発表された米国の雇用統計が予想を大幅に上回ったことで、よりタカ派になるのではないかと警戒をしていた。結果、内容としては「これまでの利上げでインフレ抑制に効果はある」「ディスインフレは始まったが、FRBにはまだやるべきことがある」といったこれまでと同様の発言をしたことで安心感からドルが下げて、米株主要3指数(以下、米株)は上昇した。但しこれ以外に「雇用がかなり強力でインフレ抑制のために更に利上げが必要になる可能性がある」と発言しており、最終的にはタカ派にシフトしたと受け止められ、結局ドルは反発、米株は反落する動きとなった。更に9日にはFRB当局者からも相次いで利上げについてタカ派発言が出たことでドルは上昇、米株は下落して引けている。
そして10日に日銀の次期総裁について、雨宮副総裁ではなく「経済学者で元日銀審議委員の植田氏を起用する方針を固めた」との報道があった。市場が予想していたメンバーではなく、今後の政策に不透明感が出たことでクロス円は大きく下げて、日経平均株価も下げた。この報道後に植田氏へのインタビューで「現在の金融緩和は適切」とのコメントを受けて若干クロス円、日経平均株価も反発したが、戻りも弱く上値は重く見える形で週末を引けている。
【今週の市場予測】
今週は14日に米国のCPIがある。これで暫くの間方向性が出るだろう。CPIが予想を上回ればしっかりドルが上昇し、米株は下落するだろう。この場合は若干戻されることを覚悟して、飛乗り気味でもドルストレートを米株の動向に影響を受けやすいオージー、最近上昇する材料が出尽くした感のあるユーロをメインにショート。米株は金利に影響を受けやすいナスダックをメインにショートを狙う。逆にCPIが予想を下回った場合はオージードルをメインにロング。米株もナスダックをメインにロングとする。但し、この戦略は短期のもので、中長期的には米国のインフレが長引き、利上げも長引くと見ていることから、大きくドルストレートが上昇すれば、絶好の売り場になると捉えている。オージードル、ユーロドルを引きつけてショートするのもいいだろう。
ではクロス円、日経平均株価はどうだろう。こちらは次期日銀総裁関連の情報で動くことになるだろう。次期日銀総裁とされている植田氏が、現在の政策をある程度擁護する発言をしていることから、急激な緩和修正懸念は後退したとはいえ、全て現状維持とはならないだろう。市場もそのように認識してきた感があり、クロス円(ドル円以外)と日経平均株価何れも反発はそれ程でもない。筆者の個人的な見解として先日の植田氏の発言は黒田日銀総裁への配慮もあったのではないかと推測している。現在の緩和政策を認めることで黒田総裁在任中に市場が荒れることを避けたようにも見える。したがって今週はドル円以外のクロス円はショート。日経平均株価もショートとする。
※この記事は投資判断を促すものではございません。実際の最終的な投資判断はご自身で行ってください。この記事により生じる損害について一切の責任を負いません。
よろしいですか?