移動平均線の欠点
移動平均線の本質を問う問題
「前日の終値と20日移動平均の値が同じでした。本日の終値が前日の終値より高かったのに、本日の移動平均は前日より下がりました。なぜでしょうか?」
移動平均線の役割は、価格の動きをなめらかにし、トレンドを分かりやすくすること。しかし、問題のような状況では、価格は上昇しているのに移動平均線は下落しているため、トレンドがどちらにあるのか混乱するでしょう。
解答
「本日の終値が20日前の終値よりも低いから」
解説
移動平均線の定義は、過去N日間の終値を平均したものを、本日の価格のところに「移動」して描き、それらを線で繋いだもの。だから「移動」平均線。日足以外の場合は過去N本のローソク足の終値を平均したもの。
移動平均線のもう一つの役割は、過去の平均買値(売値)と現在の価格を比較し、買い方と売り方のどちらがどれくらい儲けているか、損をしているか、その変化を見ること。
しかし、移動平均線には欠点があります。
・過去N日間の価格を全て同じ割合で扱っていること
・過去N日間以前の価格の影響が反映されないこと
ここから問題の解説。単純化のために5日移動平均線で問題と同じことを考えてみましょう。
6日間の終値をA,B,C,D,E,Fとします。
1日目 A
2日目 B
3日目 C
4日目 D
5日目 E
6日目 F
すると、
5日目の移動平均→(A+B+C+D+E)÷5
6日目の移動平均→(B+C+D+E+F)÷5
となります。
この2つの違いは何でしょうか?
この場合、Aが抜けてFが加わることになります。
問題のケースで置き換えるなら、1日目の価格が抜けて、新たに21日目の価格が加わるということ。
ということは、本日の価格が前日の移動平均より高くても、20日前の価格が本日よりも高ければ、移動平均線は下がるのです。
移動平均線が上向くかどうかは、過去N日前の価格より大きいかどうかで決まるということ。
問題のケースでは「前日の終値と移動平均の値が同じ」とありますが、移動平均線が上向くかどうかには関係がありません。ですが、EMA(指数平滑移動平均線)には関係してくるので、次回その話をします。
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