エンベロープ逆張りEA(複数エンベロープ)
これまでに、エンベロープ逆張りEAに使用するインディケーターやその意味、EAの動作、エントリー制御条件、利益・損益確定について解説をしましたが、そのいずれも1つのエンベロープを適用した状態でしかご説明していませんでした。
しかし、現在運用している本来のEAは8本、または10本のエンベロープを使用しています。
8本のエンベロープ逆張りEA
8本のエンベロープを使用した状況をお伝えするために、まずチャートに偏差の異なるエンベロープを8つセットします。移動平均線の距離から1番近いエンベロープ(偏差0.1%)をレベル1とします。移動平均線の距離から2番目に近いエンベロープ(偏差0.15%)をレベル2とし、それぞれレベル8までエンベロープをチャートにセットします。下記チャートはレベル1からレベル8までセットした図になります。
黄色の線は移動平均線、移動平均線から近い順に、青い線がエンベロープ(レベル1)、赤い線がエンベロープ(レベル2)、・・・クリーム色の線(レベル8)となります。
前回の記事まではエンベロープレベル1しかセットしていないため、レベル1でエントリー条件を満たした場合でしか取引しませんでした。エンベロープレベル1だけでも十分利益を出し続けることができます。
しかし、状況によっては移動平均線とレベル1ラインの幅が狭く見えてしまうほど価格が大きく動く時もあります。移動平均線からの乖離が大きくなればなるほど、一時的に強い戻し売り(買い)が起きる可能性は高くなります。そのような場合、適切な条件、ポイントで逆張りエントリーすることで、大きな利益を得ることができます。
下記チャートは、価格がエンベロープレベル5ラインに到達した時の図になります。
エンベロープレベル5がエントリーしているのが分かります。大陽線のローソク足は1分間で約25pips動いています。このような短期的に大きく値が動く時は、一時的に戻し売り(買い)が起きる可能性が高いです。エンベロープ逆張りEAは、この一時的な戻しを利益に変えていきます。
レベルラインが増えるほどエントリーする機会も増え、利益を大きく伸ばすこともできます。しかし、エントリーする機会が多くなるほど、優位性のあるポイントのみでのエントリーを重要視しなければなりません。これまでエントリー制御条件について細かくお話してきたのはこのためです。
これまではエンベロープを1つ(レベル1)しか使用していませんでした。エンベロープを2つ以上に増やした場合は、優位性のない無駄なエントリーを省くため、さらに制御条件を付け加えていく必要があります。また、利益確定pipsや損切り確定pipsに関してもレベルラインにあった設定が必要になります。このエンベロープ逆張りEAのエントリー制御やその他設定に関して全てのロジックについては残念ながら公開はできませんが、私の開発、運用しているシステムの中でも強い味方となってくれるEAであることは確かです。
それではレベルラインの本数を増やして取引した場合に損益曲線はどう変化していくかを見ていきたいと思います。1つのエンベロープだけでも利益を出すことは可能ですが、8つのエンベロープを適用すると以下のようなメリットがあります。
8つのエンベロープを使用するメリット
勝率の高いポイントでの取引回数が増える
1つのエンベロープを使用するよりも、8つのエンベロープを使用する方がより勝てる可能性の高いポイントで取引する機会が多くなり、レベルラインが大きくなるほど勝率が上がります。単に取引回数が多くなるという意味でなく、勝率の高いポイントでの取引回数が多くなります。
相場の環境認識度が上がる
エンベロープのレベルを8段階に分け、現在の価格がレベルのどこに位置しているかを見ることで、相場の過熱状況を一目で認識することができます。相場の環境認識を掴むためにシンプルでありながら、効果の高い手法になります。
それでは、エンベロープ8つを使用したエンベロープ逆張りEAの過去5年間のバックテストを、1つしか使用していないEAのバックテストと比較してみましょう。
1つだけのエンベロープを使用した時のバックテスト結果
こちらは以前の記事で、テスト結果を公開しています。バックテスト期間は5年間です。
エントリー条件
- 通貨:EURUSD
- 時間足:1分足
- ヒストリカルデータ提供元:デューカスコピー・ジャパン
- エンベロープ1つ
- エンベロープ:偏差(0.1~),期間(20)
- 期間:2013年11月01日~2018年11月20日
- ストキャスティクス:20%以下で買い条件成立,80%以上で売り条件成立
- 移動平均線:EAエントリー後、価格が移動平均線にタッチするまでは次のエントリーを見送る。価格が移動平均線にタッチしたら、エントリー可能な状態となる。
- エンベロープラインを下から上に数pips突き抜け、そこからエンベロープラインを上から下に突き抜けた瞬間にエントリーする。(※売りエントリーの場合[買いエントリーは逆の条件])
プロフィットファクタ:1.54 ドローダウン:1.6% 取引回数:4544回
1万通貨固定取引で、5年間で247,871円の利益となっています。
8つのエンベロープを使用した時のバックテスト結果
エントリー条件
- 通貨:USDJPY
- 時間足:1分足
- エンベロープ8つ
- 期間:2013年11月01日~2018年11月20日
- ストキャスティクス:20%以下で買い条件成立,80%以上で売り条件成立
- 移動平均線:EAエントリー後、価格が移動平均線にタッチするまでは次のエントリーを見送る。価格が移動平均線にタッチしたら、エントリー可能な状態となる。
- エンベロープラインを下から上に数pips突き抜け、そこからエンベロープラインを上から下に突き抜けた瞬間にエントリーする。
プロフィットファクタ:2.26 ドローダウン:3.57% 取引回数:4152回
5年間で1,404,573円の利益となっています。
これまではEURUSDに的を絞った取引のお話をしてきました。私が主に取引している通貨は、EURUSDの他、USDJPY、EURJPY、GBPUSD、GBPJPYなどがあります。
次回の記事では、他の通貨の特徴を踏まえた上で、エンベロープ逆張りEAが他通貨にも通用するかを見ていきたいと思います。
よろしいですか?