投資の王道(その123)
為替介入特別編
1. 日銀が為替介入
ドル円レートが160円を超えて、円安が加速してきた為、2024年4月29日に、日銀が為替介入を行いました。この影響等について通貨強弱グラフから検証してみます。
下の図は、15分足の通貨強弱グラフです。
通貨強弱グラフでは、JPYのみが一方的に下落していました。1回目の為替介入で、JPYの通貨強弱は、他の通貨と同等レベルまで戻してきました。さらに2回目の為替介入により、JPYだけが他の通貨よりも強い位置に躍り出てきました。その後、ズルズルとJPYのグラフは下落し、他の通貨と同水準まで戻ってきているようです。
JPYのグラフを見ると、上向きの山が3つ出現しているので、3回の為替介入が行われたようです。
円買い介入の規模は、1回目が約5.5兆円程度とされているので、今回の介入は、約10兆円程度の介入規模であると推定されます。
前回(2022年9月、10月)の為替介入では、総額9.2兆円の円買いが行われましたが、今回も前回と同程度の介入規模であったと推定されます。
2. 日足通貨強弱
日足通貨強弱グラフを見ると、JPYのベクトルは上を向きましたが、他の通貨と比べて、まだ圧倒的に低い位置にいることに変わりはありません。10兆円程度の為替介入では、本格的に円を強くするには程遠いようです。
3.
前回(2022年)の為替介入
前回の為替介入と比較してみます。
2022年9月と10月に3回に渡って、日銀は総額9.2兆円の円買い介入を実施しました。その時の通貨強弱チャートを見てみます。(表示時間足は4時間足です。)
この時は、ドル円レートが
一方、今回の介入では、一定の効果はあるものの、限定的であるように思えます。15分足の通貨強弱チャートで、JPYは下向き、USDは上向きになっているので、今後USDJPYは円安方向に戻る(ドル円レートが上昇する)ことが示唆されます。
4. 日本経済を再生するには
今回の為替介入は10兆円程度の規模でしたが、この程度ではドル円を円高方向に引っ張る効果は、殆ど無いでしょう。他国に比べて、本質的な部分で日本経済は弱体化しています。失われた30年、経済失速の30年を取り戻すのは容易ではありません。
2023年4月の日本の外貨準備高は、1兆2600億ドル(約196兆円)あります。どうせ為替介入するのであれば、この20%の40兆円を継続して投入して、日本の通貨当局が「円高を維持」するという強い意思表示を示すべきでしょう。
また、日本の外貨準備高は、ドル円レートがまだ円高だった頃に蓄積されたものです。仮に調達時のレートが1ドル80円であれば、現在155円の差額の75円(48%)が利益として発生します。40兆円の円買い介入で、19兆円の棚ぼた利益が生まれるのです。
日本は、世界第4位の貿易大国です。(中国・アメリカ・ドイツに続く)年間の輸入総額は、7,734億ドル(約120兆円)です。エネルギー、原材料、食料等を輸入に依存している、資源小国です。仮にドル円レートが10%下がった場合は、輸入貿易におけるドル建ての支払い額が減るので、12兆円の利益が発生します。
棚ぼた利益と、円高による貿易利益の合計で、約31兆円になります。これを日本経済再生に使うのです。
31兆円あれば、今ある消費税(年間約23兆円)をゼロにできます。あるいは、2年間、消費税を5%に減らすこともできます。現金やマスクを国民に一律に配るには、巨額の行政コストが掛かりますが、時限立法で消費税をゼロにするのであれば、無駄な行政コストは掛かりません。
ともかく、何もしないでこのまま日本経済の衰退を放置するのでなく、経済を活性化する何らかの手を打つ必要があるのではないでしょうか。
お金が循環してこそ、経済の活性化が生まれるのです。
<お勧めのインジケータ>
「8CP見える化インジケータ」は、以下のページをご参照ださい。
MT4版
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MT5版
8CP見える化インジケータMT5_4点フルセット(Oceania,London,NewYork,AnyCP)
https://www.gogojungle.co.jp/tools/ebooks/39133
「8C通貨強弱見える化インジケータ」は、以下のページをご参照ださい。
MT4版 https://www.gogojungle.co.jp/tools/indicators/39150
MT5版 https://www.gogojungle.co.jp/tools/indicators/39159
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