[システム・トレード] 優位性の重要性2
こんにちは。2payです。
前回に引き続き、優位性に触れていきたいと思います。
優位性とは、市場の中で発生する偏り(歪み)の事であり、ここにこそ利益を生み出すチャンスがあると前回も話しました。
逆にそうではない場面で取引することは、あらゆる事象が全て織り込まれた中(完全効率市場)で取引するという状況を指します。
全て織り込まれた後なら上昇下降の力関係がフリーになるので、価格はどちらに動く確率も半々ということになります。
指標トレードは織り込まれる寸前にエントリーできていれば歪みを取れるということであり、
ペアトレードも2通貨間の価格と理論価格の乖離から歪みを取れるということになります。
システムやEA、手法の購入を検討している人はそれらのロジックベースが何に依って作られているのか確認し、そこに優位性を見出せるかどうかは考える必要があります。
MAのゴールデンクロスを追っかけるだけのようなロジックはMTFを組み合わせたとしても勝てません。
クロスはただの事象に過ぎず、現行足も上位足もそれぞれの時間足で織り込まれた結果を比較しているに過ぎないためです。
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さて、本題のランダムウォークとボラティリティについて話します。
私は投資を始めたての頃、ランダムウォークを最初に学びました。(投資を教えてくれた人がいて、何よりも先にランダムウォークから解説してくれました)
「市場は完全に効率的で将来の予測は不可能」というお決まりの定説で、千鳥足で歩く酔っ払いによく例えられ、どこに向かって歩いているのか予測がつかない状況を取り上げている訳ですね。
それを確認するために私は検証用のEAを作りました。
ルールは当日の寄り付きに新規建てし、当日の引けで決済します。
新規建てはBuyかSellをランダム(各50%の確率)に選択します。
以下にテスト結果を示します。
条件:USDJPY D1 2016.01 - 2024.12 (10年)
ランダムに売買方向が決まるため、測定する度に異なる結果が返ってくるのですが、何度テストしても大体同様の結果になりました。
何も分析を行わず、単純にランダムな取引をしただけでは増えも減りもしないということが分かります。
一時的な増減は確認できますが、最終的には±0に収束するということなのでしょう。(テスト時、若干スプレッドが入っているので下振れています)
いかにも千鳥足を体現したようなグラフです。
ここにSLを追加してみたいと思います。
TPには制限を付けず、SLに触れない限りは引けで決済されます。
3回テストした結果を表示します。
・ランダムトレード (SLあり)
いかがでしょうか。それぞれ辿る過程も最終的な結果も全然異なりますが、共通して利益を上げる傾向が確認できます。
反証としてSLをフリー、TPを設定して手堅く利確するバージョンも作ってテストしました。
・ランダムトレード (TPあり)
こちらも同様に3回テストしましたが、いずれも減益していることが確認できます。
この検証から、SL・TPを調整しただけで成績をコントロールできることが分かりました。
一切分析していないランダムトレードにも関わらず、長期的に収益が成長することはすごいと思いませんか?
つまり「損失は限定し、利益はなるべく伸ばす」ように戦略を組み込むことで利益を引き寄せやすくすることができます。(※ロジックとの相性はあります)
どちらに価格が進行するかは重要ではなく、逆行すればすぐに切り、順行すればボラティリティの許す限り伸ばすことが重要になります。
ランダムウォークとボラティリティに関して伝えたいことは概ね説明しましたが、これで市場は完全ランダムではないということがバレました。
もし完全効率市場なのであれば、SLやTPの有無に関わらず結果は±0に収束しないとおかしいはずです。
これがドル円のD1でのみ偶然観測された事象であれば、通貨に基づく何か他の要因に起因するのかもしれませんが、異なる時間足や通貨でも同様の傾向を確認することができます。
そうなると偶然では片づけられないですよね。
結論を言えば、これは偶然ではなく確率統計的に立証できる事象です。
ランダムトレードでありながら、利益や損失に傾く原因を顕在させる方法があるのですが次回にします。
当事象のカラクリを知っているだけで、トレードに対する考え方がガラッと変わると思います。
読んでくださりありがとうございます。
Is it OK?