DAY 9:バックテストとフォワードテスト―違いと活用法
前回は、EAを運用する際に生じるメンタル面の課題と、その対処法についてお話ししました。
今回は、EAを実際に走らせる前の「検証プロセス」に焦点を当ててみましょう。
とくに、バックテストとフォワードテストの違いや各検証の利点・欠点を理解しておくと、運用開始後のギャップを最小限に抑えられるでしょう。
バックテスト(過去検証)とは
バックテストとは、過去の相場データを使ってEAがどのようなトレードを行ったかをシミュレートする手法です。
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利点
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検証が素早くできる
1年分、2年分、あるいはもっと長期のデータを短時間でテストできるため、多数のパラメータ調整を効率的に試せます。 -
市場の変化に合わせたロジックの「当たり外れ」をざっくり把握できる
相場がトレンド傾向の時期とレンジ傾向の時期など、異なる局面を跨いだテストで得意・不得意を把握するきっかけにもなります。
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注意点・欠点
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オーバーフィッティング(過剰最適化)
過去データに合わせすぎたロジックは、将来の相場で通用しにくい可能性があります。 -
スプレッドや約定速度が実際と異なることが多い
MT4/MT5のバックテストでは、ヒストリカルデータに基づく理想的な約定が前提になるため、現実のトレード環境との誤差が出る場合があります。
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フォワードテスト(将来検証)とは
フォワードテストは、デモ口座や少額リアル口座で、実際のレート変動に沿ってEAを稼働させ、結果を観察する方法です。
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利点
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リアルな約定環境を反映しやすい
スプレッドやスリッページ、注文の遅延など、実運用で発生し得る要素がテスト結果に含まれます。 -
相場のリアルタイム変化にロジックがどう対応するかを確認できる
トレンドが急に変わったり、経済指標発表で乱高下したりするリアルな状況下で、EAの真価を見極められます。
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注意点・欠点
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時間がかかる
過去のデータを高速で回すわけではなく、リアルタイムで待たねばならないため、検証期間が長期に及ぶほど結果を得るのに時間がかかります。 -
特定相場に限られたサンプル数
短い期間では、EAの得意・不得意が十分に表れないこともあります。最低でも1~3か月程度は様子を見たいところですが、それでも全体傾向を把握しきれないケースもあるでしょう。
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相互に補完し合う「バックテスト×フォワードテスト」
実践的には、バックテストである程度ロジックを絞り込み、フォワードテストで実際の運用感をつかむのが一般的な流れです。
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バックテストで基礎を固める
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長期・短期など複数の期間で検証し、最大ドローダウンや勝率などをチェック
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違う相場局面(上昇相場、下降相場、レンジ)を含むテストを行うと、ロジックの特性を把握しやすい
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フォワードテストで現実との乖離を測る
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思わぬスリッページや約定拒否(リクオート)が発生しないか
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経済指標や突発ニュースでの動きはどうだったか
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バックテスト結果と大きな差が出たとき、ロット調整やパラメータ修正など、対策を検討
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バックテストとフォワードテストの差分が大きい場合
検証段階と本番運用で大きく成績が違うと感じたとき、以下のような要因をチェックしてみましょう。
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スプレッド・コミッション設定の違い
バックテストのスプレッドが固定されていた場合、実際の変動スプレッドとは乖離が出るのは当然です。 -
実際の相場状況が急激に変化した
テスト期間中にはなかったようなボラティリティの増大や金融ショックが起きると、ロジックが追随できない可能性もあります。 -
パラメータの最適化が行き過ぎている(オーバーフィッティング)
過去の局面に完璧に合わせ込んだせいで、他の相場条件では機能しない恐れがあります。検証パターンの分散が少なかったのかもしれません。
今日のまとめと次回予告
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バックテストは素早く大量の検証ができる一方、実際の相場との乖離が起きやすい
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フォワードテストはリアルに近い環境でリスクを把握できるが、どうしても時間がかかる
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最終的に、バックテストとフォワードテストを組み合わせてEAを吟味することで、リスクを抑えた運用準備が可能になる
次回(DAY 10)は、「バックテストで特に注意したい項目―スプレッドと約定スリップ」をさらに掘り下げて解説します。バックテストを上手く行うための細やかな設定や、現実とのギャップを埋める方法を一緒に考えていきましょう。
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バックテスト結果とフォワードテストの成果を比較しながら、現実的な運用イメージを固めていただくのも良いかもしれません。
次の記事では、バックテストで見落としがちな要素について、もう少し詳しく見ていきます。
ぜひ**「続きを読む」**を押して、さらに理解を深めていきましょう。
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