[EA・システム] EAレポートからEAの性質を読み取る
こんにちは。2payです。
少し日が空きましたが、今回は少しポジティブ(というより有益)な内容をお届けしたいと思います。
EAを使用される方々にとって、EAの機能性・信頼性は非常に重要な問題だと思います。
今回はEAのレポート結果から、そのEAが使用しているロジックを推測する方法をお伝えします。
EAの性質を理解しておくことで自身のスタイルに合ったものを見つけやすくなるかと思います。
(※あくまで我流であり、必ず推測が当たる訳ではありません。参考程度に見てもらえればと思います。)
私はEAの開発をやっていることもあり、なんとなく他の人がどのようなロジックを構築しているのか推測が立ちます。
ロジックの引き出しが増えると、「見たことある波形だな」と思う場面が出てくるからです。
それはチャートパターンを覚えるような感覚に近いです。
以下にレポートを示します。(当レポートは数年前に自作したEAのスコアです)
以下のレポートのように上下部が切り取られている場合、プラットホーム、テスト期間、名称、銘柄、パラメータ等が不明です。
補える範囲で一つ一つ欠けている情報を補ってみようと思います。
・プラットフォーム
私はシャープレシオの項目の有無で見分けます。(MT5しかシャープレシオが存在しない)
レポートのど真ん中にあるので、どう切り取ってもだいたい写っています。
違いは他にもあるので、他の見分け方を使っても構いません。
・期間
この画像は期間が映っていません。
テストの開始・停止日は分かりませんが、ティック数から大雑把に割り出せます。
私の場合は、1年間のティック数を元に1日あたりのティックを算出します。
1年間のティックは900万~1500万 (銘柄にもよる) 程度あり、間を取って1200万で計算します。
今回は銘柄数が1ですが、複数ある場合はティック数も銘柄数分あると思ってください。
1200万(tick) ÷ 12カ月 ÷ 21(営業日) = 47619(tick) ←1日あたりのティック
438451 ÷ 47619= 9.2
ということで、約9日間のテストによる結果だと判明しました。
BTCの場合は土日も開場しているため、月の営業日、バー数の算出は少し変更する必要があります。
・時間足
先ほどの期間をバー数で割ります。
216 ÷ 9 = 24
24であれば1日が24時間なので、H1ではないかと推測できます。
テストは1日単位で実行されるため、バー数は大抵割り切れます。(M1なら1440, M5なら288, M15なら96... で割り切れるはずです)
割り切れなければバー数が不完全か、期間の推測が間違っていることになります。
大抵はメジャーな時間足で割り切れることが多いです。
GOLDは開場が1時間遅いため、時間足によって1日のバー数が異なります。
(※ここで求めたのはテストで使用した時間足に過ぎず、プログラムによって内部で時間足を別に指定しているケースもあります。)
・取引回数から分かること
9日間で39回の取引は、それなりに頻度が多いと思います。
1日平均4.3回の取引を行っている計算になります。
保有時間なども考慮すると、スキャルピング、もしくは複数のロジックを合成したEAである可能性が高いです。
その他、ナンピンやピラミッティングによる多ポジション保有型の可能性、またそれらを混合したロジックという見方もあります。
取引回数だけでは情報が足りないので、他の条件も複合的に考察してみます。
・ドローダウン
最大DDと相対DDの値がそれぞれの括弧内の値と比較して同一であれば単利運用、そうでなければ複利運用、または残高・証拠金に応じたLot調整が仕込まれている可能性が高いです。
本ケースは1回あたりの損益が極小で、極大の証拠金とバランスが釣り合っていないため、DDが0.0%になってしまっています。
単利であればAHPRの値は有効、GHPRの値は無効(意味のない数値)となり、複利ならこれの反対になります。
・Z-score
0より大きい値なら、勝ちと負けが交互に発生しやすく、0より小さい場合は、勝ちと負けが連続しやすい事を意味します。
勝ち負けが連続しやすいものは、ナンピンやピラミッティング等の同方向に複数のポジションを立てる戦略に多く見られる傾向です。
非連続であるということは、単一ポジション寄りであると考えられます。
0付近にある場合はどっちつかずということで、複合的なロジックを持っている(例えば、単ポジロジックとナンピンロジックが合体している)可能性が考えられます。
反対に数字が大きく偏っていれば、純粋な戦略が使用されていると捉えることもできます。
・勝率
ある程度試行回数(テスト期間3年以上)が必要ですが、売りと買いで勝率に偏りが見られる場合、どちらかに有利な相場環境でテストされた可能性があります。
例えばドル円のロングはプラススワップが付き、長期的に見ても上昇トレンドであるため、ショートと比較して有利な傾向が生まれます。
またショート0回、ロング150回、のような買い専用のロジックの場合もここで見分けがつきます。
もしその手のロジックでドル円のような高スワップ通貨を適用していた場合は、スワップの恩恵を利用しているのだなと気づくことができます。
・最大勝ち/負けトレード
平均勝ち/負けトレードと比較して、差が無い場合は固定TP・SLを使用している可能性があります。
反対に差が大きく開く場合は、何かしらの動的な決済手段が適用されています。
例えば時間決済は損益に関わらず決済されるため、確定損益に振れ幅が生まれます。
しかしエントリー方法と同様で、決済方法も非常にバリエーションに富んでいるため、特定は簡単ではありません。
取引履歴が付いてくる場合は、エントリー価格と決済価格の差がキリの良い数値であれば値幅決済、決済時間が決まった時刻であれば時間決済が使われている可能性があります。
・平均勝ち/負けトレード
これを元に平均リスクリワードを求めることができます。
勝率と組み合わせて考えることで、EAの性質が見えてくると思います。
・連勝数/連敗数
勝率やリスクリワードと合わせて考えます。
本ケースでは平均連勝/連敗数が小さく、連続性が高い訳では無い事が分かります。
Z-score項と照らし合わせても妥当であるため、ナンピンやピラミッティングの可能性は低くなりました。
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ここまでの内容をまとめると、
・MT5
・H1
・期間9日
・日に4.3回取引(高頻度)
・単利運用
・玉管理、資金管理考慮外 (証拠金とlotの噛み合い)
・低勝率
・高リターン
・単一ポジション(?)
・複合ロジック(?)
・ロング&ショート
という情報が集まりました。
大分ロジックの性質が浮き彫りになったのではないでしょうか?
以下解答です。
お題のロジックはチャート上で、どのように動作していたのでしょうか?
H1のドル円、一目と複数のMAをMTFで組み合わせたロジックでした。
3つの時間足を使用し、3種類のロジックを適用しています。
因みにこのロジックはテスト期間外でボロボロに負けています。
今回の内容は以上になります。
春先は忙しいので更新が少なくなる気がしています。(そのまま消滅するかも)
読んで頂きありがとうございました。