FXトレーダーのための「大人の経済」基礎講座|最終回 金利動向から為替相場を予想する方法〜CME FedWatch徹底活用[雨夜恒一郎]
ファンダメンタルズ(分析)を体系的に学ぶことができる当企画。いよいよ今回はその集大成として、米国の金利動向を利用して為替相場を予想する方法に迫ります。2017年11月21日時点での金利水準を基に、相場観を組み立てるテクニックを解説していただきます。
最終回目次
1. 市場の金利予想を把握することが大切
2. ドットプロットチャートとは?
3. FF金利先物とドットプロットチャートの比較
4. CME提供の便利なツール「FedWatch Tool」がさらに進化
5. 中銀イベントはチャンスかリスクか
6. 第9回まとめ
※この記事は、FX攻略.com2018年2月号の記事を転載・再編集したものです
雨夜恒一郎(あまや・こういちろう)プロフィール
20年以上にわたって、スイス銀行、JPモルガン、BNPパリバなど、大手外銀の外国為替業務要職を歴任。金融専門誌「ユーロマネー」における東京外国為替市場人気ディーラーランキングに上位ランクインの経歴をもつ。2006年にフリーランスの金融アナリストに転身し、独自の鋭い視点で為替相場の情報をFX会社やポータルサイトに提供中。
twitter:https://twitter.com/geh02066
市場の金利予想を把握することが大切
2017年はトランプ政権の発足に始まり、北朝鮮問題、日本の衆院解散、米国のハリケーン被害などさまざまな材料が出ましたが、結局のところ、市場の最大の関心事は米国の金融政策の動向であることに変わりはありませんでした。
米連邦準備制度理事会(FRB)が市場の予想以上に利上げをすれば、ドルは上昇しますし、利上げ幅やペースが市場の期待を下回れば、ドルは下落するのです。したがって、市場がいつどのくらいの利上げを期待しているかを把握し、実際の利上げペースが市場の期待を上回るか下回るかを予想すれば、しっかりした相場観=大局観を組み立てることができます。
・米国の利上げペース>市場の期待⇒ドル上昇
・米国の利上げペース>市場の期待⇒ドル下落
市場の金利観やその変化は、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)で取引されているFF金利先物の動向から知ることができます。FF金利先物は、市場が予想している金利水準を100から引いた価格で建値されています。例えば、2018年12月のFF金利先物が98.275で取引されているとすると、これを金利に直すと100−98.275=1.725%です。つまり市場は来年末のFF金利の水準を1.725%と予想しているわけです。
FF金利先物は直近から3年先までの限月が取引されており、CMEのウェブサイトでほぼリアルタイムの価格を見ることができます。図①は2017年11月20日時点のFF金利先物相場のテーブルです。一番左の列の「Month」が限月になっています。
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