今週の展望 トランプ時代スタート! 志摩力男氏
配信日:2017/01/23 18:49
週末土曜日、高松でのマネックスセミナーでは、沢山の方とお会い出来ました。有難うございました。
パネルディスカッションにおいては、ダウやドル円、その他金融市場の見通しについて、マネックス会長、松本大氏、チーフストラテジスト広木隆氏、(有)ファイナンシャルリサーチ代表深野康彦氏、それから司会の大橋ひろこさんと御一緒したのですが、みなさん米国次期政権については強気の見方でした。ドル円の高値については、松本氏128円、広木氏130円、深野氏120円、志摩130円、ダウ高値については22,000から23,000ドル辺りの予想でした。
広木さんの考えは、TVやブログ、メルマガ等でご存知の方も多いでしょう。強気です。AIで時代が大きく変わること、コンドラチェフの波(60年程度の技術革新サイクル)を理由にもされてました。確かに、これから我々の生活はAIによって大きく変わってくるでしょう。車も自動運転になります。また、トランプ政権の経済政策により、金利上昇は避けられないとの見方も共有されてました。
ただ、トランプ氏の大統領就任演説には、一様に少しがっかりといったところでしたが、内容も完結で短かったので、「安全運転」させたのでは、との見方でした。格調高いオバマ大統領の演説と違い、わかりやすく、知らない単語があまりないと、変な点では好評でした。チェンジ」と言いながら、ある意味何もしなかったオバマ大統と違い、隠れトランプファンは意外と多いのでしょう。支持率は低く、不支持率は史上最高ですが、支持層は「岩盤」のように固いので、ここから下もそれほどないはずという見方もありました。
本当にこれほど、スピーチの内容(ブッシュ氏やオバマ氏のスピーチは誰も聞かなかった)、政権の陣容(安倍政権の閣僚以上に調べている)、といったものを市場関係者が注目したことはありません。それほど、今回の政権が異例であり、今後のマーケットの鍵を握っていると考えているからでしょう。
今朝のモーニングサテライトでは堀古英司さんがゲスト出演されてましたが、彼も「ブルブル」でしたね。市場関係者の半数は、堀古さんと同じように考え、米国に対し超強気です。
しかし、就任演説では保護主義的なことしか話してません。市場関係者の半分は、その点を捉えて、ドル円に対しては弱気、株価や景気に対しても微妙な立ち位置になってます。私自身、そのリスクは十分あると考えてますが、今のところ「サブシナリオ」であり、メインシナリオとは考えてません。「経済政策」VS「保護主義」、この両極端を揺れ動くのが、今年のマーケットなのでしょう。
さて、今朝から、ドル円は急落、日本株も下落してます。トランプ氏が保護主義的な、米国第一という就任演説をした影響です。これが過剰反応といえるのか、それとも政権の本音がそこにある以上、ドル円は下がるのか、見極めは難しい。先週は、イエレン議長が今後の金利上昇を強調し、ムニューチン次期財務長官はトランプ氏は長期的な「強いドル」を支持と、2つのドルサポート材料が出てきました。
NAFTA再交渉が始まる以上、メキシコに工場を持つ企業は打撃を受けます。本日の日本株の下落は、その影響が大きいでしょう。日経が落ちると、ドル円も引っ張られます。だが、米国株は落ちてません。私自身は、すこしトランプラリー再開を期待してしまい、直前にドル円ロングを少し持ってしまいましたが、失敗でした。本来、直ぐにポジションを切って、今朝からのミニリスクオフに乗っても良かったのですが、どうもそんな気がしませんでした。恐らく、ブル・ベア、両方の要因が絡まって、レンジ的な動きになるのではないでしょうか。
上値もそれほどないでしょうから、上がったところは売れるし、下がったところも急落はなさそうな感じなので買える、そんなレンジ取引的な動きを考えてます。113-116円ぐらいのレンジ観でいます。
トランプ政権の動きが、今後の相場の中心であり、経済指標等の発表では、インパクト的には限られるのではないかと考えてます。金額も少ないので、現在のドル円ロングは暫く放置しておきます。
よろしいですか?