岡ちゃんマンに聞くファンダメンタルズ分析の方法論と開始の手引
この企画では、FX攻略.com編集部が、岡ちゃんマンさんにファンダメンタルズ分析について自身の方法やこれから始める人へのアドバイスをお聞きします。
価格変動から原因を考える
鹿内 まずファンダメンタルズ分析なんですが、情報はどうやって集めるのが良いですか?
岡ちゃんマン(以下、岡) これは人にお勧めする場合ですか? それとも私が今集めているやり方ですか?
鹿内 まずは岡ちゃんマンさんのやり方からお願いします。
岡 私は基本的には、データとして鉄鉱石の価格だとか、それぞれのコモディティやいろんなものの価格変動を毎日チェックしています。商品だとか株価、関連する金利や債券などは主要各国+新興国辺りをデータとしてチェックしています。それとは別にロイターとかブルームバーグなどのニュースサイトや日経も毎朝1時間くらい読んでいます。そういうところで情報を集めていくのが第一です。あとはいろんなFX会社、証券会社のアナリストと呼ばれる人たちのレポートを読んでいきます。
鹿内 かなりたくさんの情報ですね。これはどんな形で見られているんですか?
岡 基本的には一日一回で良いです。なので、朝2時間くらい商品価格のデータ取りをしたり、ニュースを読む。あとは携帯とかで移動時間や待ち時間を使ってちょこちょこ読んでいます。
鹿内 ずっと表示しているわけではないんですね。今教えていただいた商品って、例えばCFDや債券がどうなればこう動くとかを経験の中から考えているんですか?
岡 まず相関性でもいろいろとあります。例えば原油価格とカナダドルの相関性が強いとか、最近よくいわれる米国債の10年と3か月の利回りが逆転しているから、とかありますが一番大事なのは急激な変化を起こすタイミングを探しています。普段はそんなに値段が変わらないのにいきなり暴騰・暴落したとなるとそこに何かニュースが眠っている可能性があります。暴落した原因が例えば原油価格であれば、米国がサウジアラビアにとかのニュースがあるかもしれません。そこに情報があるので、それを探すためにも見ています。
鹿内 ファンダメンタルズって一般的にニュースを収集して内容から今後の値動きがおきるかをみるイメージだと思うんですけど、逆に価格変動がまず揺れて、そこからファンダメンタルズを考える部分が強いという感じですか?
岡 そうですね。世界中のニュースって全部は追いきれないと思うんですよね。なので、今どこかで問題が起きていないか?火種が起きていないか?を価格変動から探していきます。そこでピンポイントに何か起きているんじゃないかと考えればそこを集中的に情報収集していきます。
ファンダメンタルズ分析の入り口は「分析している人を分析する」
鹿内 今お聞きしたのは普段やられていることですが、今から始めようという人には全部こなすには難しいと思います。まずはどの辺りから始めていけば良いでしょうか?
岡 やっぱりファンダメンタルズって、入りが難しいと思うんですよ。最初の入り口で何をして良いか分からなくて、そこで断念する人は多いと思います。私が人に一番お勧めするのは、分析している人を分析する、というものです。
鹿内 アナリストを分析するんですか?
岡 そうです。例えば有名なアナリストでもいいし、ブロガーさんでもいいです。証券会社の人たちのレポートってすごく難しいんですよね。今からファンダメンタルズ分析する人にとってはそれを読んでも多分ちんぷんかんぷんなんです。それを細かく砕いて、分かりやすく説明しているアナリストを見つけて、「あっ、この人良いな」とか、同じ情報でも人によって書いていることは違いますから比較してみて、今回はこっちの方が良いかなとか、最初はそこから始めるので良いと思います。
その中でこの人良いなと思うのが見つかったら、その人が考えていることやどういうことをやっていかをその人の真似から始めていくのが良いと思います。それから一緒に予想していくなどすると良いですね。
鹿内 まずは人から分析すると。
岡 分析してくれる人っていっぱいいるじゃないですか。その分析してくれる人から自分に合う人を探すという。
鹿内 そもそもの方法論として、ファンダメンタルズ分析ってなくていいんじゃないかと思う人も多いと思われますが、その辺りはどう解釈しますか?
岡 当然ですけど、テクニカルだけで勝てるか勝てないかでいえば、勝てると思います。ただ、長期になるとどうしても金融政策だったりファンダメンタルズの流れに寄ってくると思います。なので長期トレードをやるなら必ずやっておいた方が良いというのがまず一点です。
もう一点は、先を予想しやすい。例えばチャートだけを見ていても次この時間帯に何かあるよねというのは分からないです。でもファンダメンタルズって何日何時に金融政策やイベントがあるということから予想しやすい、そこで今まで過去にないような事例ってファンダメンタルズでないと想像できないです。
鹿内 チャートはあくまで後ろに情報が並んでいるだけですからね。
岡 それこそ今のポンドを見ていても、英国ブレグジットは過去にないわけじゃないですか。これをチャートだけで追いかけていくというのは相当危険だし難しいと思います。全部ファンダメンタルズでなくとも良いと思いますので1~2割でも情報を入れるだけでグンと勝率が上がるかと思います。
鹿内 短期トレードの人でもそれなりには勉強した方が良いということですね。
岡 1割でも、今の英国の状況ってどんなのだろうくらいは知っておいた方が良いです。
スケジュール管理だけでもファンダメンタルズ分析
鹿内 苦手だという人は先ほどのアナリストを観察するところから始めるという方法の他に、何か始める入り口でやっておいた方が良いことはありますか?
岡 あとはスケジュール管理ですかね。例えば、よく動く経済指標や要人の発言があるよとか、内容を見る見ないを別として、要は短期トレーダーでも急に動くときというのはそこを狙うか逃げるか何かしらの対策を取らなくちゃいけないじゃないですか。それをスケジュール管理するだけで私はもうファンダメンタルズだと思っています。
鹿内 難しいニュースを読む以外にもできることがいっぱいあるわけですね。
岡 内容が分からなくても「雇用統計があるから」って絶対みんな言うじゃないですか。
鹿内 確かによく分かってないけど言いますよね。
岡 雇用統計のときはやめようっていうけど、実際に雇用統計のときだけしか動かないのかというと、今の雇用統計は昔ほど動きません。最近でしたら消費者物価指数とかが動く、欧州ならドイツの製造業がよく動くよねとか、よく動くポイントだけでも調べておくと良いと思います。
鹿内 今日はこれがあって、この時間はこんなふうになったぐらいでも全然良いんですね。
岡 もしくはトレードをしていて急に動いたけど、これは何かあったのかな、この指標で動いたというのが分かっておけば次の注意にもなりますし、そのうち何で動くんだろうと思ってそこから調べ始めても良いのかなと思います。
鹿内 これだけは見ておけという指標がもしあれば教えてください。
岡 絶対外しちゃいけないのは金融政策発表ですね。例えば米国FOMCと欧州ECB、英国ならBOE、その次にと私が思うのは物価ですかね。最近はPMIという関係者たちにこの先景気が良くなると思いますか?というような質問のデータ収集をした先行指数が特に欧州圏では結構動くようになってきました。
鹿内 トレンドが違うんですね。
岡 これって少しずつ変わってくるんですよ。さっきのスケジュール管理でいうと、各会社の指標カレンダーなどを見ると思うんですけど、そこにある星やABCとかがあるじゃないですか? あれもちょっとずつ重要度がズレてきているんですよね。それも見比べてどこが良いかとか。
鹿内 ちゃんとアップデートしているかどうかの部分も見るんですね。ありがとうございました。
よろしいですか?