出遅れの銀 復権なるか[佐藤りゅうじ]
佐藤りゅうじさんプロフィール
さとう・りゅうじ。1968年生まれ。1993年米大卒業後、マーケティング会社を経て、金融・投資全般の情報ベンダー、株式会社ゼネックス(後の株式会社オーバルネクスト)入社。マクロ経済分析をはじめ、為替、商品、株式市場のアナリストリポートの執筆、トレードに携わる。2010年より「エイチスクエア株式会社」を起業、アナリストレポート等を執筆、「FOREX NOTE 為替手帳」等の企画・出版を行う傍ら、投資関係のラジオ番組キャスターを務める。個人トレーダー。国際テクニカルアナリスト連盟・認定テクニカルアナリスト。ラジオ日経「ザ・マネー ドイサトの相場予測」(月曜15:00〜)メインキャスター。
公式サイト:佐藤りゅうじブログ
※この記事は、FX攻略.com2019年6月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
銀の需給
ここ1年くらいの間、このコーナーでは上昇基調に入っている貴金属として、金とパラジウムを取り上げてきました。これらの2商品は、引き続き堅調地合いを継続しています。貴金属は、全部で金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)の八つがありますが、上場されているのは上記した金とパラジウムに加え、銀とプラチナです。今回は、その中でも今年、最も価格水準の上昇が期待されている銀についてみていこうと思います。
まず簡単に銀の需給をみていきましょう(表①参照)。まだ2018年の数値が出ていないので、2017年の数値が直近となります。銀の供給ですが、2017年は3万843トンありました。供給源は、大きく分けて二つあります。一つは、鉱山から産出される新産銀です。そして、もう一つは地上在庫からのものです。地上在庫とは、政府備蓄からの売却やスクラップからの回収、そして生産業者のヘッジ売りです。新産銀と地上在庫の割合ですが、2017年の統計では約86%が新産銀です。
一方、同年の需要は3万1652トン。このうちの約59%にあたる1万8632トンが工業用需要です。銀は高い電気伝導率と熱伝導率を誇ります。このため、さまざまな電気製品に使われます。その他の需要は、コイン・銀地金が4699トン、宝飾品が6503トン、銀器が1817トンでした。
よろしいですか?