これからの外国為替場の行方 第107回[田嶋智太郎]
田嶋智太郎(たじま・ともたろう)さんプロフィール
経済アナリスト。アルフィナンツ代表取締役。1964年東京都生まれ。慶応義塾大学卒業後、現三菱UFJ証券勤務を経て転身。主に金融・経済全般から戦略的な企業経営、ひいては個人の資産形成、資金運用まで幅広い範囲を分析・研究する。民間企業や金融機関、新聞社、自治体、各種商工団体等の主催する講演会、セミナー、研修等の講師を務め、年間の講演回数はおよそ150回前後。週刊現代「ネットトレードの掟」、イグザミナ「マネーマエストロ養成講座」など、活字メディアの連載執筆、コメント掲載多数。また、数多のWEBサイトで株式、外国為替等のコラム執筆を担当し、株式・外為ストラテジストとしても高い評価を得ている。自由国民社「現代用語の基礎知識」のホームエコノミー欄も執筆担当。テレビ(テレビ朝日「やじうまプラス」、BS朝日「サンデーオンライン」)やラジオ(毎日放送「鋭ちゃんのあさいちラジオ」)などのレギュラー出演を経て、現在は日経CNBC「マーケットラップ」、ダイワ・証券情報TV「エコノミ☆マルシェ」などのレギュラーコメンテータを務める。主なDVDは「超わかりやすい。田嶋智太郎のFX入門」「超わかりやすい。田嶋智太郎のFX実践テクニカル分析編」。主な著書は『財産見直しマニュアル』(ぱる出版)、『FXチャート「儲け」の方程式』(アルケミックス)、『なぜFXで資産リッチになれるのか?』(テクスト)など多数。最新刊は『上昇する米国経済に乗って儲ける法』(自由国民社)。
※この記事は、FX攻略.com2019年3月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
あまりに悲観に傾き過ぎた2018年の年の瀬
謹んで新春のお慶びを申し上げます。と言っても、おわかりのとおり、本稿を執筆しているのは2018年の12月下旬で、あまりにも酷い米・日株価の連日の下げにただただ辟易するばかりという状況下、とても「明るい正月を迎えましょう」などといった気分にはなれないでいる。
市場関係者の口からは、連日のように「今がまさに陰の極」などといった声が聞かれるものの、実際にはなかなか下げ止まる気配が感じられない。結局、米・日株安が進むなかで比較的底堅く推移していたドル円も、たまらず執筆時までに一時111円を割り込む場面を垣間見ている。
こうした状況にあって、市場関係者のなかには「2019年は日経平均株価が1万7000円台まで値下がりし、ドル円は107円程度まで下押す」などと見通す向きもあるわけだが、やはり少々悲観に傾き過ぎてやしないだろうか。もちろん、そのように指摘する市場関係者も少なくはない。
なにしろ、2018年末時点における米景気はなおも順調に拡大を続けており、雇用や消費の状況も申し分ない。もちろん、米中の通商問題の背後にある安全保障の問題は、そう易々と解決するものでもないが、表向きの通商問題そのものは、中国による一定の譲歩もあって一定の落とし処を見出す可能性もないではない。
それにも拘らず、執筆時のNYダウ平均と日経平均株価は、ともに年初来安値を更新するといったような状況にあって、わかりやすくリスク回避の円高商状が復活してきている。
よろしいですか?