ドル円相場は株価と金利のどちらの影響を強く受けるか[太田二郎]
太田二郎さんプロフィール
おおた・じろう。FXストラテジスト。1979年にザ・ファースト・ナショナル・バンク・オブ・ボストン東京支店にてFX取引を始める。後にマニュファクチャラーズ・ハノーバー・トラスト銀行、BHF銀行、ナショナル・ウエストミンスター銀行、ING銀行で法人向けの為替取引に従事、その後、リテールFXに従事し、米国のGFT東京支店で営業、後にマーケット・ストラテジストを経験、現在は個人投資家として活躍。
※この記事は、FX攻略.com2019年7月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
円高で株価は下がり円安で株価は上がる
私は為替相場を考えるときに、株式市場と債券市場も合わせて注視しています。日本の株式市場では、ドル円相場が円高になったから株価が下がった、逆に円安になったから株価が上がった…というように、円相場との連動性を材料にしている市場参加者も多いことでしょう。
確かに、外需・輸出型の大企業が比較的多い日本でドル建て輸出した場合には、円安になれば円貨の受取額が増えるというメリットがあり、逆に円高になれば受取額が減少します。素直に業績に反映されるとすれば、「円安=株高」「円高=株安」の動きも納得できます。
大量に日本株を保有している外国人投資家にとって、円建て資産への投資は自国通貨ベースで有利になることから円高傾向を好みますが、海外の機関投資家や年金基金などは、円高になると運用資産全体の中で円資産の占める割合が大きくなるので、それを調整するために日本株を売る動きとなり、逆に円安になれば日本株を買う動きも考えられます。
外国人投資家で中長期の投資を行う機関投資家は、日本株投資を行う場合、為替ヘッジをかけないことが多いです。投資成果がドルベースで評価されることで、ドル建ての日経平均株価が海外での日本株に対するセンチメントを表していることもあります。
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