これからの外国為替場の行方 第111回[田嶋智太郎]
田嶋智太郎(たじま・ともたろう)さんプロフィール
経済アナリスト。アルフィナンツ代表取締役。1964年東京都生まれ。慶応義塾大学卒業後、現三菱UFJ証券勤務を経て転身。主に金融・経済全般から戦略的な企業経営、ひいては個人の資産形成、資金運用まで幅広い範囲を分析・研究する。民間企業や金融機関、新聞社、自治体、各種商工団体等の主催する講演会、セミナー、研修等の講師を務め、年間の講演回数はおよそ150回前後。週刊現代「ネットトレードの掟」、イグザミナ「マネーマエストロ養成講座」など、活字メディアの連載執筆、コメント掲載多数。また、数多のWEBサイトで株式、外国為替等のコラム執筆を担当し、株式・外為ストラテジストとしても高い評価を得ている。自由国民社「現代用語の基礎知識」のホームエコノミー欄も執筆担当。テレビ(テレビ朝日「やじうまプラス」、BS朝日「サンデーオンライン」)やラジオ(毎日放送「鋭ちゃんのあさいちラジオ」)などのレギュラー出演を経て、現在は日経CNBC「マーケットラップ」、ダイワ・証券情報TV「エコノミ☆マルシェ」などのレギュラーコメンテータを務める。主なDVDは「超わかりやすい。田嶋智太郎のFX入門」「超わかりやすい。田嶋智太郎のFX実践テクニカル分析編」。主な著書は『財産見直しマニュアル』(ぱる出版)、『FXチャート「儲け」の方程式』(アルケミックス)、『なぜFXで資産リッチになれるのか?』(テクスト)など多数。最新刊は『上昇する米国経済に乗って儲ける法』(自由国民社)。
※この記事は、FX攻略.com2019年7月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
米株の軒並み高が演出するドル指数の高止まり
既知のとおり、3月初旬に一旦112円台に乗せる場面があったドル円は、3月下旬にかけて一時110円割れの水準を試す展開となったものの、4月に入ると再び112円台に乗せる動きとなり、総じて底堅い推移を続けている。
一方で、ドルはユーロやポンドに対しても強含みでの推移を続けており、執筆時のドル・インデックス(ドル指数)は昨年12月の安値水準に対して1割ほど高い水準で高止まりしている。こうしたドルの力強さを支えている原因は、ひとつに米株価の目を見張るほどの強い基調にある。幾つかある米株式指数のなかでも、ことに「フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)」の急上昇ぶりには少々驚かされる。チャート①に見るように、SOX指数は4月に入るやいなや昨年3月につけた史上最高値=1464ポイントを更新する動きとなり、執筆時点においてその勢いはなおも衰えていない。
また、俗に「米フィンテック指数」と称せられる「KBW Nasdaq Financial Technologyインデックス(KFTX)」も同様、昨年9月につけた史上最高値を4月に入ってすぐに更新し、なおも連日のように高値更新を続けている。これは、まさに“米株ラリー”と呼ぶにふさわしいものと言えるだろう。前出の指数と同じようにNYダウ平均やS&P500種、ナスダック総合指数などが其々の史上最高値を更新するのも時間の問題であろう。市場関係者のなかには「単なるオーバーシュートであり、これは一過性のものに過ぎない」などと見る向きもあるようだが、果たして、そこまで事態を軽視していいものだろうか。少なくとも、米株指数が軒並み史上最高値を更新しているという現実の下で「米景気には後退局面入りの兆しがある」などと見立てるのは誤りと言わざるを得まい。
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