原油の上値追い続くか[佐藤りゅうじ]
佐藤りゅうじさんプロフィール
さとう・りゅうじ。1968年生まれ。1993年米大卒業後、マーケティング会社を経て、金融・投資全般の情報ベンダー、株式会社ゼネックス(後の株式会社オーバルネクスト)入社。マクロ経済分析をはじめ、為替、商品、株式市場のアナリストリポートの執筆、トレードに携わる。2010年より「エイチスクエア株式会社」を起業、アナリストレポート等を執筆、「FOREX NOTE 為替手帳」等の企画・出版を行う傍ら、投資関係のラジオ番組キャスターを務める。個人トレーダー。国際テクニカルアナリスト連盟・認定テクニカルアナリスト。ラジオ日経「ザ・マネー ドイサトの相場予測」(月曜15:00〜)メインキャスター。
公式サイト:佐藤りゅうじブログ
※この記事は、FX攻略.com2019年7月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
水準上がる原油相場
原油相場は上値を試す展開となっています。原油価格の代表的指標であるWTI期近は、世界的な景気減速や米中通商問題の激化から、昨年12月24日に42.36ドルまで下落しましたが、その後、ジリジリと水準を引き上げ、4月に入ると上値を抑えていた60ドル付近を上抜き、5日には63.34ドルまで上昇しました(チャート①)。
トランプ大統領は、原油価格を引き下げようと、再三、石油輸出国機構(OPEC)に対して増産を要求するなど、口先介入を行っていますがその効果は芳しくありません。
逆ザヤ化が進む
今回の原油相場の上昇で特徴的な動きは、先物市場の逆ザヤ化(期近高・期先安)です。先物市場では、通常、納会が先の月になるほど、保管料などが多く発生するため、価格が高くなります。これを順ザヤといいます。しかし、需給がタイトな場合、目先に十分な荷物が手当できない可能性があるため、なるべく多くの荷物を確保しようとする動きから、期近限月が期先限月より買われ価格が高くなることがあります。これを逆ザヤといいます。
表①にある4月5日現在の原油先物市場のサヤ関係をみると、NY原油はかろうじて期近3本が順ザヤとなっていますが、ICEブレント原油、東京原油は全て逆ザヤになっていることが分かります。これは、オマーン原油先物など他市場でも同様です。このサヤ関係が述べているのは、今後も需給はタイトな状況が続き価格も上昇トレンドが維持されると、市場はみているということです。
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