外為オンライン・佐藤正和の実戦取引術|3大通貨の未来を予測するテクノ&ファンダ分析【今月のテーマ|下がったら買い!金利差狙いの円キャリートレード売買法】
佐藤正和さんプロフィール
さとう・まさかず。邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。その後、年間取引高No.1を誇る外為オンライン・シニアアナリストに。通算20年以上、為替の世界に携わっている。ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」、ストックボイス「マーケットワイド・外国為替情報」に出演する他、Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
2019年もFX市場は大きなトレンドとは無縁のレンジ相場が続いています。米中貿易戦争による景気減速など不安要因はまだあるものの、米国経済が完全な景気後退に陥っているわけでもなく、どっちつかずの状況が現在の“ベタ凪”相場の原因といえます。為替レートの値動きが乏しいときはスワップポイントを狙った投資に活路を見出すしかありません。その売買手法と最適ターゲットとは?
※この記事は、FX攻略.com2019年7月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
ドル円は為替差益とスワップポイントを同時に狙う逆張り気味の底値・急落買いが有効
平成も終わり、令和の時代がやってきました。「令和時代のFX市場はどうなるのか?」を考えると、身の引き締まる思いです。年号が令和に変わってもFX投資で目指すのはただ一つ、利益を上げること。これだけは永遠に変わりありません。FXの利益には、為替変動益のほか、低金利通貨を売って高金利通貨を買ったときに得られる金利収入=スワップポイントもあります。
2019年の為替相場は2017年、2018年に続き、現在まで3年連続の「ベタ凪のレンジ相場」で推移しています。力強いトレンドや急騰・急落がない相場では、ロングでもショートでも為替変動で儲けるのが難しくなります。その反面、レンジ相場が続く限り、金利差のある通貨ペアを長期保有し続ければ、為替変動で損をするリスクをあまり考えることなく、スワップポイントをこつこつ積み上げていくことが可能です。レンジ相場はスワップポイント狙いの投資にとって、ある意味、理想的な状況といえるのです。
そこで今回はFXのもう一つの収益、スワップポイントを狙った投資法について考えてみましょう。当然ですが、いくらスワップポイントを毎日こつこつ稼いでも、為替レートの値動きで大きな損失が出てしまっては元も子もありません。スワップポイントを狙った投資では「為替レートがこれ以上、大きく下がりそうにないところで買う」ことが、突然の為替急変動から身を守る術となります。超低金利の円を売って、高金利通貨を買う場合、「急落、暴落を怖がらず、下がったら買い」が基本戦略になるのです。
「為替レートの急落を狙う」ために必要な売買法を、最近の例で見てみましょう。チャート①は3月22日に急落した直後のドル円の1時間足チャートです。右上の枠内には急落局面に至るまでの、より長期的な日足チャートも掲載しました。
チャート上には2度にわたる急落場面があります。3月20日日本時間深夜の大陰線aは、当日開催された米国の連邦公開市場委員会(FOMC)が年内利上げ見送りや連邦準備制度理事会(FRB)が保有する米国債などの資産縮小を9月末に終了することを嫌気したものです。
翌々日の3月22日夕方には、米国の3月の製造業購売担当者景気指数(PMI)が予想を下回り、ユーロ圏やドイツのPMIも6年から6年半ぶりの低水準だったことで、世界的な景気減速懸念が台頭。リスク資産の株が急落し、為替市場でも安全通貨の円が買われたことで、ドル円はチャート①のAのゾーンで109円75銭まで1円強も急落しました。
とはいえ、日米の金利差はいまだ2%超もあり、外為オンラインのドル円のスワップポイントは1万通貨買いで1日65円前後(2019年4月後半時点)です。チャート①の2度にわたる急落はある意味、「下がったら買い」のチャンスといえました。
では、どのように下げ止まりを確認して買いを入れるのか? チャート①を見ると、22日17時以降、Aのゾーンの陰線連発で急落したあと、最安値Bをつけて反転上昇。その後の安値Cも、安値Bと同じ109円70銭台で下げ止まり、26日深夜のDの地点では安値ラインまで下がったあと、陰線bを打ち消すような陽線cが出現しました。このローソク足bとcの組み合わせは、酒田罫線では「陽のつつみ線」、プライスアクションでは「強気リバーサル」と呼ばれる、底堅さや反転上昇を示すシグナルになります。
下段のMACDはシグナル線とクロスして0ライン近辺まで上昇。ストキャスティクスも売られ過ぎ圏の20ラインより上で%Dが%SDとゴールデンクロスし、底打ちの気配を示しています。「下げたら買い」とはまさに、チャート①のDのような急落後の下げ止まり局面で勇気を持って買いを入れることができるかどうかにかかっているのです。
よろしいですか?