マックス岩本さんに聞く初心者でも理解しやすい移動平均線の神髄|第3回 具体的な活用方法を教えてください[マックス岩本]
マックス岩本さんプロフィール
いわもと・けいすけ。「中卒認定テクニカルアナリスト」という異名の通り、アナリスト業界ではまれに見るノー学歴。学歴社会が色濃く残る昨今でも、そんなことがいっさい関係しないFX市場を相手に日々奮闘中。「誰もが気軽にFXを始められる今だからこそ、しっかり勝ち続けられる技術を身につけてほしい」という気持ちで、連載やセミナー講師を務めています。
※この記事は、FX攻略.com2019年7月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
前回は「グランビルの法則」について教えていただき、初心者の方が悩みやすい買いと売りの明確なポイントを学べたと思います。今回は過去のチャートを基にしながら、より実践的に買い・売りシグナルを活用したエントリーとイグジットの見つけ方をマックス岩本さんに教えてもらいましょう。
移動平均線で売買タイミングを見いだす
前回ではグランビル氏が提唱した買いと売りの八つのシグナル(図①)を説明しました。今回はより実践的に、チャートを使いながら説明していきたいと思います。
まずチャート①の一番左側の買いシグナル①を見てください。それ以前の価格の推移は横ばいを続けています。価格が横ばいになっているからこそ、移動平均線も傾きがなくなって横ばいになっています。その後、価格が移動平均線を上回ったのでゴールデンクロスが確認できます。これがグランビルの法則の買いシグナル①になります。
次に順番が前後しますが、売りシグナル⑧を説明していきます。このチャートでは具体的な乖離率はありませんが、移動平均線から大きく離れたことから平均回帰性(元の位置に戻ること)を根拠に売りシグナルとして挙げています。ここまで離れたのだからそろそろ下落するだろうという思惑で売っていくシグナルです。結果としてはその後2週間くらいで確かに下がりましたが、一気に反落する形には至りませんでした。
移動平均線から大きく上方乖離するということはそれだけ買い方が多いことを示しています。売りシグナル⑧が出たからといって必ずしも下がるわけではありません。
そして買いシグナル②は、移動平均線を一時的に割ったことを確認して買うという、少し危険なシグナルです。チャート①だと価格が移動平均線を若干割り込んでいるところがありますが、結果的には下げ続けることはなかったので何とか利益になった事例です。
次は買いシグナル③です。これは価格にいったん売りの勢いが訪れて移動平均線まで価格を切り下げましたが、割り込まずに反発し再度上昇していることから、買いシグナル③が有効だったという確認が取れる事例になります。
その次に一番右下にある買いシグナル④です。こちらは売りシグナル⑧の逆になります。移動平均線を割って価格が大きく下放れしたポイントで、平均回帰性を根拠に買うというものです。これは過去のチャートを基にしていますが、実際にここで買える人は少数派だと思います。別のテクニカルツールを使って乖離率を表すラインを引いてあげないとこれだけでは買いづらいでしょう。
次に売りシグナル⑤になりますが、こちらは移動平均線の上を推移していた価格が移動平均線を下抜けることを根拠に売るというものです。
次が売りシグナル⑥です。下落基調の移動平均線に価格が一時的に戻る動きを見せています。週足の終値で移動平均線を上抜けていますが、結果的には反落しています。見方によってはゴールデンクロスになりますが、売りのシグナルです。この事例においては後に下落してるので、何とか功を奏したということですね。実際にこのような場面で売ったとしても予想に反して価格が上昇して損失になる危険性もあるので、初心者にはお勧めできない売りシグナルです。
最後が売りシグナル⑦です。チャート①では確認することができませんので、売りシグナル⑥を参考に説明します。下にあった価格が移動平均線に近づいたものの、移動平均線を上抜けできずにそのまま下落するというものです。
チャート①はドル円の週足ですが、グランビルの法則は日足や一時間足、5分足などでも使えるシグナルになります。時間軸を問わず移動平均線を一本表示するだけで売買タイミングを見いだせるので、初心者の方にはぜひ覚えていただきたいテクニカル手法だと思います。
よろしいですか?