“マーケットの語り部”こと雨夜恒一郎の基礎からわかるファンダメンタルズ講座｜第2回 テクニカル分析だけでは不十分な理由

FXでは相場分析にテクニカルを活用する人は多いですが、相場を正確に分析・判断するためにはファンダメンタルズも必要不可欠です。ここでは雨夜恒一郎さんにファンダメンタルズの奥深さと活用方法について解説してもらうので、順張りいっちゃんと共にしっかり学習していきましょう。

講師・雨夜恒一郎

あまや・こういちろう。20年以上にわたって、スイス銀行、JPモルガン、BNPパリバなど、大手外銀の外国為替業務要職を歴任。金融専門誌「ユーロマネー」における東京外国為替市場人気ディーラーランキングに上位ランクインの経歴を持つ。2006年にフリーランスの金融アナリストに転身し、独自の鋭い視点で為替相場の情報をFX会社やポータルサイトに提供中。

受講者・順張りいっちゃん

じゅんばりいっちゃん。双子子育て主婦ケッティーの愛弟子。順張りをこよなく愛し、順張りの素晴らしさを伝えるために活動中。でもたまに逆張りもします。

公式サイト：順張りいっちゃんFX〜リアルトレード大公開〜

※この記事は、FX攻略.com2019年7月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。

テクニカルだけでなく大局観でトレードを

いっちゃん　前回は、ファンダメンタルズ分析がいかに重要かを学ぶことができました。トレードする上で、テクニカルとファンダメンタルズのどちらか一方を重視するのではなく、両者を組み合わせた方が良さそうな気がします。

雨夜　その通りですが、テクニカル派の中には「チャートは全てを織り込むのでテクニカルだけで良い」「ファンダメンタルズは一切見ない方が良い」という人もいます。

いっちゃん　私の周りでも、たまにそういう方を見かけます。

雨夜　それも一理あるのですが、私はテクニカル分析だけでは予想できないと考えています。具体性を出すために、コイントスの例を挙げましょう。コインを4回投げて、表→表→表→表と全部表が出たとします。では5回目はどちらが出ると思いますか？

いっちゃん　う～ん、表ですか？

雨夜　やはり表ときましたか（笑）。テクニカル分析を重視していて順張り派の人は、いっちゃんのように「これまで4回連続で表が出たから次は表だろう」と考えがちです。反対に逆張り派の人は「これまで4回表が出ているから5回目は裏が出るはず」と考える傾向があります。でもよくよく考えれば、5回目だろうが10回目だろうが表が出る確率も裏が出る確率も常に2分の1ですよね。チャートというのはAが出たらB、Bが出たらCというように、確率を表しているだけであって、将来を予想しているものではありません。確率的に有利なものを導き出そうとしているに過ぎないのです。ですから論理的に将来こうなるだろうという予想には向かないです。また、テクニカルだけではいずれワークしなくなります。一時的に有効な手法があっても、長期的にその手法がワークし続けることはなく、いずれスランプに陥ってしまいます。

いっちゃん　長期にわたって勝ち続けられる、夢のような手法は存在しないんですね。