仮想通貨の始め方|第9回 仮想通貨の金融派生商品[不動修太郎]
まだまだ歴史が浅い仮想通貨市場は、それを取り巻く制度や各国の規制、環境の移り変わりが速いのが特徴で、その影響で価格が大きく動くこともあります。今回は、価格を動かす材料として注目されている仮想通貨ETFについて、不動修太郎さんから教えてもらいましょう。
※この記事は、FX攻略.com2019年7月号の記事を再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
不動修太郎(ふどうしゅうたろう)プロフィール
為替の講師、執筆者。出版社からセミナーDVD、対談CDを発売。金融取引所、証券取引所、FX業者、投資信託業者などでの講演の他、雑誌への執筆、FX・株式のスクール講師を務めている。
公式サイト:不動修太郎の「ニュース報道の裏側」
twitter:https://twitter.com/syutaro_fudo
デリバティブの一種であるETF
投資信託は日本のテレビCMで盛んに宣伝されていますから、ご存じでしょう。日本の多くの投資信託は、いくつもの株式や債券に分散投資する金融商品の一種ですが、特定の証券会社か、限られた販売会社でしか売買できませんし、相応の手数料がかかります。
投資信託の一種に、ETF(Ex change Traded Fund)という商品があります。ETFは、日本で「上場投資信託」と称される通り、証券取引所または金融商品取引所に上場する投資信託です。そのためにETFは取引所を介して売買でき、手数料が比較的安いです。
さて原油、トウモロコシなどの農産物、あるいは貴金属の金(きん)などのコモディティ(先物商品)がありますが、ETFはそれらの先物商品の他、日経225(日経平均株価)や東証株価指数(TOPIX)などのインデックス(指標)の価格に比例して変動する金融商品です。価格の元になるさまざまな投資商品を「原資産」と呼び、原資産を元にして作られた金融商品をデリバティブ(金融派生商品)といいますが、ETFはデリバティブの一種です。
仮想通貨のETFが認可される可能性は?
昨年からいくつかの金融機関が仮想通貨を原資産とするETFを米国のCBOEに上場すると報道されました。CBOEとは、世界最大規模のシカゴ・オプション取引所の略称です。ところが、米国で株式など投資商品に対して責任を持つ米証券取引委員会(SEC)が仮想通貨ETFの申請を認めていません。この原稿の執筆時点では、SECが仮想通貨ETFを承認しそうだという情報は入ってきていません。
仮想通貨ETFを安全に取引するには、まず原資産の仮想通貨がどのような通貨であるか定義して、投資のルールを決めなくてはなりません。既に数千種類の仮想通貨があるといわれますが、今後もまだまだ新しい技術の仮想通貨が出てくるでしょうし、今までの仮想通貨と全く異なる用途の仮想通貨が研究されているという報道もあります。ですので、私の個人的な見解ですが「SECは仮想通貨全体を統一した定義がまとめきれないので取引のルールが作れないのでは?」と推測しています。
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