元為替ブローカーから学ぶ売買プランの作り方|第28回 三波動の考え方を取り入れたドル円相場分析(21)[浅野敏郎]
浅野敏郎さんが、自身の経験と知識に裏打ちされた売買手法や相場観構築のノウハウを余すところなく教えてくれる本企画。今回も引き続き、直近と今後のドル円相場を読み解いてもらい、その上で最適な売買プランを提示していただきます。
※この記事は、FX攻略.com2019年8月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
浅野敏郎さんプロフィール
あさの・としろう。東短グループの外国為替売買仲介業者である、トウキョウ フォレックス株式会社、さらには、為替取引の世界シェア80%以上を誇るEBS社(現ICAP)等での勤務経験を持ち、1985年のプラザ合意、その後の超円高時代、バブル崩壊、2000年のユーロ統合などの歴史的相場を第一線で経験し、相場観を養う。その後、2社のFX取引会社の創業、プライベートFXファンドのディーラーも経験。現在、投資の学校グループの日刊ブログで執筆を担当。特技の映像編集を活かした分りやすい映像作品の支持者も多い。
週足はP以降の下落波動に注目
まず始めに今月のチャートの修正点ですが、以前の直近高値Pと安値Qは、5月以降の下落変動で共に更新されたことから、週足(チャート①)ではPが新高値へ移動した一方、下値は現行足が更新中となり、Qはいったん消滅しました。新たな高値Pはその後の下落で決定的となったため、I-Jmidとは近いものの、O-Pmidを追記しています。
前号時点の週足チャートは、新高値Pの1本前に出現した「コマ足」まででした。先行スパンの上で終値を維持できており、続伸も十分可能な位置でしたが、ゴールデンウィーク直前週となる次週に高値Pを付けた後に先行スパンへ入り込んで終わると、以降は一気にその下限を一時的に割り込む下落となりました。
Pを付ける過程では、想定通り遅行スパンも好転しかけ、上値期待は高まりましたが、結局はH-Imid水準とおおむね重なる上値が限界となり、いまだにH-Iの下落波動の影響が上値圧力として機能していると実感しました。先週が終わった時点で、転換線が好転を維持していることを除けば、H-I以降全ての保ち合い波動の半値水準を一気に割り込むなど、下落再開の起点になりかねない重要な週となっています。
転換線が受動的な下落に入るまであと3週余っている中、能動的に逆転するには106円水準を割り込む必要がありますが、無理だったとしても受動的に下落を開始後、2週目に基準線は対象下値Oが外れて一気に上昇するため逆転は必至となります。もちろん想定を覆すシナリオは存在しますが、目先は大きな揉み合い下値M-Oを目安に、P以降の下落波動を追いかけるのが自然でしょう。
チャート右端に追記している2本の水平な緑破線は、月足先行スパンの下限で、下が5月、上が6月です。来週から6月となる今現在、上昇期待は唯一、早々に6月下限を回復し、収束した均衡表5線を踏み台にI-J-M-X(Xは暫定)の三波動を再開できるかどうか、タイミングは6月末前後に注目です。
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