なぜトランプ演説が好感された? 志摩力男の実戦リアルトレード
配信日:2017/03/02 00:28
トランプ演説の後、ドルは上昇を続け、株価も堅調です。しかし一部の識者は、トランプ大統領は説明すべきことを何も説明してないとマーケットの反応を訝しんでます。
説明不足というのは「財源」の話です。国防費を6兆円も増やします(ちなみに日本の国防予算は約5兆円)、インフラ投資1兆ドル行います、思い切った法人減税、所得税減税を行います。他の予算を少し削るとはいえ、楽に20兆円以上支出は増えそうですが、どこからそのお金は出てくるのか? そこが我々の知りたいところであり、その矛盾点を懸念してマーケットは調整してきたわけです。
しかし、何も説明しないという方法で切り抜けました! これまでと比べて非常に「融和的トランプ」を見せ、政敵も驚かせ、煙に巻かれた感じです。その点は素直に、バノン=トランプは上手いなあと思います。CNNも7割の米国民が好感と伝えてます。
それと、議会演説前に、市場がややベアに傾いたことも大きかったかもしれません。日経新聞にも議会演説を懸念する記事がたくさん乗りました。よって、何が出ても「材料出尽くし」となったのでしょう。
また、市場の焦点が米利上げに移った点も、為替市場には大きかったでしょう。3月利上げは想定外です。
しかしながら、利上げ懸念が高まると、ドルが上がり、米長期金利も上昇。そうなるとトランプリフレポジションは生き返ります。何と言うか、このマーケットには矛盾があります。金利上昇が結果的にリスクアセットを持ち上げる?という矛盾した相関関係になってるからです。
今回説明されなかった、財政のギャップ、国境調整等々については、今後も繰り返し出てきます。一時的に乗り切っても、お金が湧き出るわけではないので、どこかで財源のギャップどうするか決めなければならない瞬間が来ます。ただ、目先はトランプ・シュガー・ハイ・ラリーが続くのでしょう。
3月3日のイエレン議長講演は注目されます。来週の雇用統計、そして15日のFOMC、ここでどの様な決定がなされるかが最大の焦点となります。個人的には、利上げもバランスシート調整も議題に乗るでしょう。ドルも米長期金利も上がります。しかし、これが株価に反作用を及ぼし、結果的にドル安米長期金利低下となる、というシナリオも当然想定してます。
この114円のところは、行使期限の近いオプションがある程度の金額あります。個人的にはこのオプションを盾に114円超を売り、下を買い戻すプレーを何度かするぐらいですが、大きな押し目があれば、買いで入ろうかと思ってます。
よろしいですか?