欧州ファンダメンタルズ入門|第2回 相場を動かす材料/旬の経済指標[松崎美子]
松崎美子さんプロフィール
まつざき・よしこ。スイス銀行東京支店でトレーダー人生をスタート。1988年渡英、1989年よりバークレイズ銀行ロンドン本店Dealing Roomに就職。1991年に出産。1997年に同じくロンドン・シティにある米メリルリンチ投資銀行に転職。その後2000年に退職。現在はFX取引に加え、日本の個人投資家向けにブログやセミナー、YouTubeを通じて欧州直送の情報を発信。著書に『松崎美子のロンドンFX』『ずっと稼げるロンドンFX』(共に自由国民社)。2018年より「ファンダメンタルズ・カレッジ」を運営。DMMで「FXの流儀」のオンラインサロンも始めた。
ブログ:http://londonfx.blog102.fc2.com/
ファンダメンタルズ・カレッジ:https://fundamentals-college.com/
オンラインサロン:https://lounge.dmm.com/detail/1215/
※この記事は、FX攻略.com2019年9月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
マーケットでの注目材料の移り変わり
マーケットで取引される通貨、株、債券などの価格は、需給・ファンダメンタルズ・テクニカルの影響を受け、短・中長期のトレンドを形成します。特に、ファンダメンタルズと聞くと「難しい!」という反応をする方がおられます。しかしファンダ苦手組も、国内総生産(GDP)やインフレ率などの経済指標発表時には、無意識のうちに自分なりに数字を分析しポジション形成に役立てているので、先入観の部分が大きいように感じます。
ここ数年、市場が一番注目していた経済指標は、米国の雇用統計でした。しかし過去を振り返ると、相場を動かす材料や旬の経済指標が時代と共に変化していることが分かります。今回のコラムでは、「相場を動かす材料の移り変わり」と「旬の経済指標」についてお話しします。
それではまず相場を揺るがした出来事を振り返ってみましょう(図①)。為替の歴史で最も大きな影響を与えたのが、1985年9月のプラザ合意です。当時はレーガン米大統領が「強い米国の復活」を声高に叫び、レーガノミックスと呼ばれる経済政策を発表し、そこには「強いドル」という為替政策が含まれていました。しかし、強いドルは米国の貿易赤字の拡大を招いてしまい、財政収支の悪化を引き起こす最悪の事態となりました。そこで、過度のドル高を是正し双子の赤字を解消する目的で、1985年にプラザ合意が決定されたのです。そのため、当時は米国の貿易収支が最も注目を集めた経済指標でした。
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