元為替ブローカーから学ぶ売買プランの作り方|第30回 三波動の考え方を取り入れたドル円相場分析(23)[浅野敏郎]
浅野敏郎さんが、自身の経験と知識に裏打ちされた売買手法や相場観構築のノウハウを余すところなく教えてくれる本企画。今回も引き続き、直近と今後のドル円相場を読み解いてもらい、その上で最適な売買プランを提示していただきます。
※この記事は、FX攻略.com2019年10月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
浅野敏郎さんプロフィール
あさの・としろう。東短グループの外国為替売買仲介業者である、トウキョウ フォレックス株式会社、さらには、為替取引の世界シェア80%以上を誇るEBS社(現ICAP)等での勤務経験を持ち、1985年のプラザ合意、その後の超円高時代、バブル崩壊、2000年のユーロ統合などの歴史的相場を第一線で経験し、相場観を養う。その後、2社のFX取引会社の創業、プライベートFXファンドのディーラーも経験。現在、投資の学校グループの日刊ブログで執筆を担当。特技の映像編集を活かした分りやすい映像作品の支持者も多い。
下値不安強い形で上昇は想定できず
7月末に注目の米連邦公開市場委員会(FOMC)発表が控えていたため8月2週目に再度、分析をし直しました。ではまず、今月のチャートの修正点です。先月号時点の週足は安値Qから折り返した流れの途中でしたが、FOMCの週に付けた高値が目先の高値決まりとなったのでRと致します。また、H-Iを底辺とする大きな揉み合いは今や、三角保ち合いとして誰もが知る有名な状況ですが、安値Oによって下辺が下方に修正され直近足が早くも到達しましたので、念のためI-Oトレンドラインとして付け加えました。では早速週足(チャート①)から見て参りましょう。
チャート① 出所:TradingViewによるUSDJPYチャート
ここまで終値で下値を支えた安値K水準が保たれるか否かに、下落の強さを占う一つの目安として注目していました。安値Qから3週上昇した後の押し目も割り込めず、高値Rに至った訳ですが、同じ週一本で転換線とQを割り込む動きは、少なくとも目先の下落三波動P-Q-R-X(Xは暫定安値)を考えなければならない状況です。この三波動の中間波動にあたるQ-Rの戻しも、N計算値を伴った小さな三波動になっていることを考えると、今週を含めて最短であと4週間は下落目線が優先される展開が予想できます。
先月号の時点で月足から日足で示される下値支持水準は既に皆無となったことはお伝えしましたが、同時に高値H以降の大きな三角保ち合いにある各波動の半値水準も全て抵抗の位置になったことも報告しました。実は史上最安値G以前のめぼしい波動の半値を調べても、支持の位置にあるものを挙げることは不可能でしたから、登ったハシゴを外された状況です。ただ、現在はO-P(大きくはN-O)を最大値幅とした揉み合いの最中であることに変わりはなく、それは先行スパンB(52本の半値線)が依然として水平推移していることからも察しがつきます。このように現状は下値不安が非常に強い形ではありますから、上昇トレンドを想定することはまずあり得ませんが、短期間に10円動くような下落も想定しにくい地合いの中にあり、まずはM-Oの安値水準に注目しておきます。
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