企業業績に遅行する日本株
株価は景気や企業業績に数か月先行し、先見
性があると教科書には書いてあり、そう学んで
も来ました。でも昨年から今年に入っての株価
の動きを見ると、その説に疑念を感じざるをえ
ません。
四半期ごとの経常利益の増減率が1四半期遅
れの株価の騰落率と連動しています。日本株は
景気の先行指標どころか遅行指標であることに
なってしまいます。
予想以上の改善を示す企業業績
法人企業統計でほとんどが上場企業と思われる
資本金10億円以上の企業の10~12月期決算は下
記の通りでした。
(前年同期比)
売上高 ▲ 0.5%
経常利益 + 23.5%
(売上高経常利益率) 8.2%
前年比 +1.6%
(ドル・円) 109.48円
前年比 ▲11.92円
(日経平均) 17,951円
前年比 ▲ 5.7%
売上高は微減収ながら、経常利益は前年同期
比23.5%の大幅増益でした。しかも売上高経常
利益率は8.2%で前年比では1.6%の大幅改善と
なっています。10~12月期のドル・円相場の平
均は109.48円で前年比でほぼ12円の円高でし
た。このような環境での好決算です。驚くべき
好決算でも株価は前年比5.7%の下落にとどま
っていました。
経常利益の増減率に1四半期
遅れて日経平均の騰落率が連動
四半期ごとの昨年の経常利益の増減率と1四
半期遅らせた日経平均株価の下落率を表示しま
した。
(経常利益増減率と株価の騰落率)
(2016年)
経常利益 株価
01~03 ▲18.7% 04~06 ▲18.3%
04~06 ▲13.9% 07~09 ▲15.3%
07~09 ▲ 9.6% 10~12 ▲ 5.7%
10~12 +23.5% 01~03
(注)07~09の特殊な部分を修正
足元の株価は前四半期の23.5%増益を受けて、
前年比15%程度の上昇となっています。
1~3月期の経常利益は前年が極端に悪い決算で
あった反動もあり、30%程度の増益が予想され
ます。1四半期遅れて株価に反映されていると
いうデータからは4~6月の株価にも期待が持て
ます。保ち合い相場を放れる時期は新年度に入
ってからということになりますが。
よろしいですか?