これからの外国為替場の行方 第117回[田嶋智太郎]
田嶋智太郎(たじま・ともたろう)さんプロフィール
経済アナリスト。アルフィナンツ代表取締役。1964年東京都生まれ。慶応義塾大学卒業後、現三菱UFJ証券勤務を経て転身。主に金融・経済全般から戦略的な企業経営、ひいては個人の資産形成、資金運用まで幅広い範囲を分析・研究する。民間企業や金融機関、新聞社、自治体、各種商工団体等の主催する講演会、セミナー、研修等の講師を務め、年間の講演回数はおよそ150回前後。週刊現代「ネットトレードの掟」、イグザミナ「マネーマエストロ養成講座」など、活字メディアの連載執筆、コメント掲載多数。また、数多のWEBサイトで株式、外国為替等のコラム執筆を担当し、株式・外為ストラテジストとしても高い評価を得ている。自由国民社「現代用語の基礎知識」のホームエコノミー欄も執筆担当。テレビ(テレビ朝日「やじうまプラス」、BS朝日「サンデーオンライン」)やラジオ(毎日放送「鋭ちゃんのあさいちラジオ」)などのレギュラー出演を経て、現在は日経CNBC「マーケットラップ」、ダイワ・証券情報TV「エコノミ☆マルシェ」などのレギュラーコメンテータを務める。主なDVDは「超わかりやすい。田嶋智太郎のFX入門」「超わかりやすい。田嶋智太郎のFX実践テクニカル分析編」。主な著書は『財産見直しマニュアル』(ぱる出版)、『FXチャート「儲け」の方程式』(アルケミックス)、『なぜFXで資産リッチになれるのか?』(テクスト)など多数。最新刊は『上昇する米国経済に乗って儲ける法』(自由国民社)。
※この記事は、FX攻略.com2020年1月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
米株価指数が最高値更新ならドル円も一段の上値を追う
前回更新分の本欄では、9月のNYダウ平均について「今年7月につけた史上最高値=2万7398ドルに迫る動きが見られた」と述べたうえで、一気にリスク選好ムードが盛り上がった市場に関しては「9月を通じて上昇した米・日株価にも、さすがに目先の高値警戒感が募ってきている(一旦調整の可能性がある)」とも述べておいた。
そして案の定、10月に入って間もなく米・日の株価は一旦大きく下押す場面を迎える。直接的な要因として大きかったのは、10月1日に発表された9月のISM製造業景況指数が10年ぶりの低水準になったことである。その結果、NYダウ平均は一時的にも2万5700ドル台まで大きく下落することとなった。
このケースでは、米指標の悪化によって市場で米景気の減速懸念が強まったことが株安の一因となったわけではあるが、やはりそれ以前に一旦大きく株価がリバウンドしたことで、当面の高値警戒感が拭えない状況にあったことも軽視はできない。その意味で、執筆時点において再び米株価が史上最高値水準を試すような展開となってきていることに対して、あらためて目先の警戒を要すると心得ておく必要があると考える。
もちろん、目先の調整もソコソコに、ひとたび主要な米株指数が史上最高値を上抜ける展開となった場合には、そこから一段の上値余地が拡がる展開へと発展する可能性も大いにある。そうなれば、自ずとドル円やクロス円が位置するところにも大きな変化が生じるかも知れない。
なにしろ、ドル円について言えば、今年は年初来の高値(=112.40円)と執筆時までにつけた安値(=104.45円)との値幅が8円弱しかなく、やや異常と言えるほど小さい値幅のなかでの値動きに留まってしまっている。昨年(2018年)ですら、ドル円の年間の値幅は10円ほどあったわけで、今年もせめて同程度の値幅は生じると考えるなら、これから年末までに114円台半ばぐらいまでドル高・円安方向に振れる場面があってもおかしくはないと言えよう。
よろしいですか?