外為オンライン・佐藤正和の実戦取引術|3大通貨の未来を予測するテクノ&ファンダ分析【今月のテーマ|レンジ相場のブレイク予測と目標値幅の設定法】
トランプ大統領の保護主義政策や安倍政権を揺るがす森友問題など、政治的リスクの高まりで円高トレンドが進行中です。とはいえ、最近のドル円は一気に急落するのではなく、レンジ相場の下限をブレイクして下落した後、再び下値でレンジ相場を形成するパターンが頻出しています。そこで今回は、レンジ相場やそのブレイクの予測法と目標レートの見つけ方を解説します。
※この記事は、FX攻略.com2018年6月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
佐藤正和さんプロフィール
さとう・まさかず。邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。その後、年間取引高No.1を誇る外為オンライン・シニアアナリストに。通算20年以上、為替の世界に携わっている。ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」、ストックボイス「マーケットワイド・外国為替情報」に出演する他、Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
レンジ相場形成型の下降トレンドとは? 下限ブレイク時の売買戦略と値幅予測法
米国トランプ政権の保護主義政策や対外強硬姿勢、日本国内では森友文書の改ざんで「アベグジット(安倍政権退陣)」も囁かれるなど、政治的なリスクの台頭で、ドル円は安値更新を窺う展開が続いています。
絶好調だと思われていた米国経済も2月の小売売上高が前月比0.1%減と3か月連続で予想を下回るなど、減速の兆しが出始めてきました。アトランタ連銀が予測する「GDPナウ」が示す2018年1~3月期の経済成長率は1.9%(前回は2.5%)に低下。さすがに10年目に入った米国の景気回復は、景気循環のサイクルから見ても2019年以降、リセッション(景気後退)入りするのではないか、という予想もあるほどです。
政治リスク、景気後退リスクが進むと当然、日本円が買われて円高トレンドが進む展開になります。ただ、圧倒的な金利差というドル高要因もあるため、下降トレンドのシグナルが多数点灯しているものの、ドル円はいきなりドスンと暴落するのではなく、レンジ相場を形成しながら、下値ブレイクを繰り返して安値を切り下げる流れになっています。
また、2017年から続くユーロドルやユーロ円の上昇トレンドも右肩上がりでぐんぐん急騰するというより、踊り場的なレンジ相場を形成しながら一進一退を繰り返しています。そこで今回は、レンジ相場とそこからの下方・上方ブレイクの予測に使える分析法やブレイクした後の目標レートの見つけ方について検証します。
チャート①は2018年に入ってからのドル円の日足チャートです。難しいテクニカル指標を使うまでもなく、ドル円はレンジ相場→急落→再びレンジ相場→急落を繰り返しています。チャート①に示したレンジ相場A~Cでは、レンジ下限をブレイクして急落した後、次のレンジの安値まで到達して反転上昇。ただし、前回のレンジ相場の安値までは上昇できずに失速し、結局、新たにできたレンジ下限を割り込んでさらに下落する、というリズムで下がっています。つまり、こうしたレンジ相場形成型下降トレンドの売買戦略は、「レンジ下限を下抜けたら迷わず売り」「前回レンジの下限まで反転上昇したところで戻り売り」の二つになります。
また、上下の矢印で示したように、レンジ下限から次の安値までの値幅は、レンジ形成前の高値からレンジ上限までの下落幅とほぼ同じになるケースが多くなっています。急落1→レンジ相場と来て、さらに急落2が起こるときは急落1の値幅分だけ急落2でも下げる、というセオリーを意識しておくと、どこまで下げるか目星をつけることができます。必ずぴったり当たるわけではないですが、「どこまで下がりそうか」、ターゲットが意識できれば格段に売買しやすくなるはず。この目標値幅設定法に従うと、今後、ドル円がDのレンジ相場を下方ブレイクしたときの目標安値は約102円70銭です。このターゲットは意識しておいた方が良いでしょう。
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