システムトレーダーひいらぎのAPIトレーディング講座(前編)
APIというサービスがあることは知っているけれど、それが何であるかしっかりと理解しているトレーダーの方は少ないのではないでしょうか。数多くのAPIサービスを利用してきたシステムトレーダーのひいらぎさんに、APIトレーディングのポイントを解説してもらいます。
※この記事は、FX攻略.com2020年2月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
ひいらぎさんプロフィール
常に研磨を怠らずシステムのパフォーマンスを追求し、真摯な姿勢でマーケットと対峙している。フルスタックエンジニアとしてITの分野でも活躍しており、アーキテクチャ設計から各種プログラミングまで幅広く業務を行う。他者からの視点だと質実剛健と評される。座右の銘は「雲外に蒼天あり」。
Twitter:https://twitter.com/sierrasnowfall
トレード経験と実績
初めまして、ひいらぎと申します。今号から2回に分けてAPIトレーディング(自動売買)をテーマにお話を進めていきます。
私が初めてトレードをしたのは2006年、サブプライムローン問題やリーマンショックといった金融危機が訪れる前のころでした。当時は裁量トレードが中心でしたが、年数を重ねるごとに自動売買の割合が増えてきました。トレードが好きで頭の中では常にチャートやストラテジー(売買戦略)を考えています。
今回は、どのようなアプローチ方法で自動売買トレーディングをしているのかを、字数の許す限りお伝えいたします。
システムトレードの可能性と魅力
私は時間と経済的な自由度の向上を目標に、APIトレーディングの可能性に注目しました。ライフスタイルの変化に伴って時間の価値も変化していく中、APIトレーディングは多くの可能性を秘めていると考えています。
自動売買によるトレードを行うことで、チャートの監視に使う時間が少なくなり、興味がある分野のアウトプットや、別の売買戦略に時間を充てることができました。常にアンテナを張り巡らせてストラテジー開発を進めているので、はたから見るとあまり休んでいないように感じるかもしれませんね。
そもそもAPIとは
API(Application Programming Interface)とは、FX業者などのサービス提供者が用意してくれる一連の機能を、開発者やユーザーが手軽に利用できる仕組みのことです。具体的には、レート取得、発注、決済などをシステム経由で行うことができ、APIを用いて自動売買システムを構築することが可能です。最近ではbot(ボット=ロボット=自動売買ストラテジー)といわれることも多くなりました。
とても重要なことですが、マーケットは常に変化し続けます。一定の手法が常に通用することがないところが、面白くも難しい要因だと思います。システムトレードはビジネスと同じように、適切なプランニングを行い、検証、分析という具体的な実行サイクルを回す必要があります。取っ掛かりとして何が必要なのか、どうやってストラテジーを構築していくのか、さらにお話を進めていきましょう。
プログラミング言語
プログラミング言語の利便性向上や開発ツールも充実してきたため、botを作る難易度は大きく下がりました。お勧めの言語は「Python」です。AIや機械学習の普及に伴い、ご存じの方も多いのではないでしょうか。
もともとクオンツ(数理分析の専門家)がデータ分析を行うために開発しており、APIトレーディングとの親和性も高いですね。Pythonで開発ができるAPIを提供しているサービスも多く、初心者の方から上級者の方までbot開発を行うことができます。
まずは、簡単なことからプログラミング言語に触れ、楽しむことが大事だと思います。続けていくと成果が形になって現れます。技術的な知見は代え難い経験になります。プログラミング言語の奥深さを体験しながら、自動売買の開発を進めていきましょう。
業者の選定基準
APIトレーディングを行うにあたり、トレード業者の選定が必要となります。私は多くの業者サービスを比較検討して使ってきましたが、個人的にはサクソバンク証券さまにお世話になっています。自作のストテラジーに耐え得る優れたサーバーの約定力、スプレッドコストの安さなど、形になって現れるサービス面の強さもありますが、何よりも良いなと感じたのが、ユーザの要望を真摯に聞いてくれるところですね。これはあくまでも一例ですが、APIシステムを利用する際、プライス提供元であるリクイディティ・プールの選定について、スピード感のある対応をしてくださいました。
半面、ユーザーインターフェースが分かりづらいのが、やや難点です。しかしながら、APIトレードをするならば自前の取引ツールでカバーできますし、慣れていくと気にならないですね。実際に使ってみると、各業者のサービス品質が見えてきます。
次回はAPIサービスについて深掘りしていく予定です。よろしくお願いいたします。
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