これからの外国為替場の行方 第119回[田嶋智太郎]
田嶋智太郎(たじま・ともたろう)さんプロフィール
経済アナリスト。アルフィナンツ代表取締役。1964年東京都生まれ。慶応義塾大学卒業後、現三菱UFJ証券勤務を経て転身。主に金融・経済全般から戦略的な企業経営、ひいては個人の資産形成、資金運用まで幅広い範囲を分析・研究する。民間企業や金融機関、新聞社、自治体、各種商工団体等の主催する講演会、セミナー、研修等の講師を務め、年間の講演回数はおよそ150回前後。週刊現代「ネットトレードの掟」、イグザミナ「マネーマエストロ養成講座」など、活字メディアの連載執筆、コメント掲載多数。また、数多のWEBサイトで株式、外国為替等のコラム執筆を担当し、株式・外為ストラテジストとしても高い評価を得ている。自由国民社「現代用語の基礎知識」のホームエコノミー欄も執筆担当。テレビ(テレビ朝日「やじうまプラス」、BS朝日「サンデーオンライン」)やラジオ(毎日放送「鋭ちゃんのあさいちラジオ」)などのレギュラー出演を経て、現在は日経CNBC「マーケットラップ」、ダイワ・証券情報TV「エコノミ☆マルシェ」などのレギュラーコメンテータを務める。主なDVDは「超わかりやすい。田嶋智太郎のFX入門」「超わかりやすい。田嶋智太郎のFX実践テクニカル分析編」。主な著書は『財産見直しマニュアル』(ぱる出版)、『FXチャート「儲け」の方程式』(アルケミックス)、『なぜFXで資産リッチになれるのか?』(テクスト)など多数。最新刊は『上昇する米国経済に乗って儲ける法』(自由国民社)。
米株価&米景気は上向きで経済はバブルへと向かう
2019年の年の瀬を迎えた執筆時においても、なお米株式市場ではNYダウ平均をはじめとする主要な株価指数が、連日のごとく史上最高値を更新し続けている。なかでも、フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)の値動きは特に好調であると言え、年初に1130ポイント前後だった同指数が執筆時には1850ポイント前後と、ほぼ1年間で60%以上の上昇となった。文字通り、米株式市場における半導体関連株の値動きが総じて好調であるということになるわけだが、それは同時に2020年の米景気を楽観視する向きが増えることにもつながっている。
世界半導体市場統計(WSTS)が12月初旬に発表した半導体市場予測によれば、2019年の半導体市場は前年比12.8%減となったものの、2020年は第5世代移動通信システム(5G)の本格的な普及やデータセンターへの投資の回復、次世代ゲーム機の登場といった要素から、2019年比で5.9%増の回復基調になるという。
いまや「産業の主役」となっている半導体の市場に底打ちの兆しが見えてきたことは、世界経済全体にとっても明るい兆候であり、結果として生じている世界的な株高は今後、そのプラスの「資産効果」を存分に発揮することとなるだろう。
なお、ここにきて米住宅販売の好調ぶりを示す指標の発表が相次いでいることも見逃せない。たとえば、全米ホームビルダー協会(NAHB)とウェルズ・ファーゴが発表した12月の米NAHB住宅市場指数は76(前回から5ポイント上昇)と、1999年以来の高水準に達した。
このNAHB指数の「70」超えは、かねて米連邦準備制度理事会(FRB)が政策金利の引き上げを開始するサインとして知られてきた。ところが、現状におけるFRBの政策方針は「向こう1年程度は据え置き」である。まして、トランプ米大統領はFRBに対して一段の金融緩和を求め続けている。こうした状況を放置し続ければ、良かれ悪しかれ米国経済はいよいよバブルの様相を呈し始めることとなろう。
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