外為オンライン・佐藤正和の実戦取引術|3大通貨の未来を予測するテクノ&ファンダ分析【今月のテーマ|米国独り勝ちと中国衰退の始まり 2020年の為替相場を展望!】
2020年は10年単位の節目でもあり、新たなトレンドが誕生する前兆の年になりそうです。ここ数年、ドル円をはじめ、主要通貨ペアの多くが膠着相場で推移してきたため、今年前半もそれほど急激な為替変動が起こりそうにありません。しかし、これだけ煮詰まった相場はいずれ一方向に大きく弾けるのが歴史の常だからです。2020年、為替相場はどう動くのでしょう?
佐藤正和さんプロフィール
さとう・まさかず。邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。その後、年間取引高No.1を誇る外為オンライン・シニアアナリストに。通算20年以上、為替の世界に携わっている。ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」、ストックボイス「マーケットワイド・外国為替情報」に出演する他、Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
「市場の死」を感じさせるドル円の膠着は今年も続く!?104円~114円のレンジが濃厚か
新春第1回目の今号は、2020年の主要通貨の展望を長期チャートから占います。2019年の為替相場は、米中貿易戦争、7月~10月まで3会合連続で続いた米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げ、米国以外では中国経済の減速、英国の欧州連合(EU)離脱や香港民主化デモなどが主要テーマになりました。相場のかく乱要因になったのは御存じ、トランプ大統領の対中関税ツイートでした。
しかし、長期チャートでドル円の値動きを振り返ると、「やや右肩下がりの非常に狭いレンジ相場」に終始した1年でした。その値幅は4月高値112円から8月安値104円まで、たった8円。ここ数年の値動きを見ると、「外国為替市場の死」とまではいわないまでも、ドル円相場が現状の両国の経済状況から見た潜在的な均衡点に達し、もう上にも下にも動かない状況になったのでは、とさえ感じます。
今後、「トランプバブル」といえる米国好景気の本格的な後退やFRBの利上げ、日本の財政赤字急拡大や日銀の量的緩和策終了など、両国の経済状況に劇的な変化がない限り、2020年も1ドル120円を越える円安や100円を割り込む円高は考えにくくなっています。
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