井上哲男氏サロン 2020年1月16日の記事 RSIを用いた相場分析
井上哲男さんのメールマガジンでは優れた相場分析を発信しています。今回は最近配信されたものの中から、選出して記事にしています。これを見ると投資活動に参考になるので、ぜひ活用してください。
(以下 12月11日に配信されたメールマガジン『潮流960 RSI(と外国人動向1)』より全文)
イランとの緊張が一時的(と思っているが)に解けて、VIX(恐怖指数)は5日連続で極めて低い12台で推移し、ダウは遂に2万9000ドル台に突入した。これは何度も書いたことだが、米国市場の指数は、目安の大台を見つけ、それが射程距離に入ったら、「一度達成しなくては収まりがつかない」という傾向を示し続けてきた。それがゆえ、今回の2万9000ドル達成に意外感はないが、年末に長く連載した「グレートローテーション(債券や他の資産から株式への、投資資産の変更に伴う大きな資金フロー)」の動きは、その時点で「年末のこの時期に及んでも出ている」という主旨の指摘をしたが、まだ続いているようだ。
但し、この動きは2017年のゴルディロックス相場を経て、2018年1月末にかけて同じようにグレートローテーションが続き、その後、トランプ大統領の対中国貿易政策の発表とともに崩れ去った相場と同じ動きとも言える。
今回においてその道を辿るかどうかは、無論、上記イラン(+イラク)情勢や中国と米国との第2次協議の進展(破局?)、それに今週から始まった米国四半期決算が、果たして2017年年末から2018年年初と同じレベルにまで浮上した全米PER20倍という水準を正当化できるかどうかなどにかかっているが、静かなうちに、RSIの水準と外国人の日本株動向(年末年始の長期の休みと今週月曜日の祝日により、まだ、昨年末12/30のデータまでしか発表されていないが)について解説しておくこととする。(尚、明日の配信については、先週お伝えしたように「潮流」のみです。)
まず、“MVP”ことRSI合計(RSI14日の5日平均+10日平均)であるが、昨日指摘したように、日経平均のそれ(グラフ1)が非常に中途半端な位置で底打ちを果たそうとしている。早ければ、本日の引けで、である。
<グラフ1>
直近の山を見て頂くと、当時指摘したようにこれもまた中途半端な位置で天井を打っているのだが、この中途半端(な天井打ち、底打ち)→ 中途半端(な底打ち、天井打ち)が続くことはよくあることなのだが、今回は少し“異質”と言える。
なぜならば、10、11月と日経平均がダウに対してテクニカル的に先行し、それにやっとダウがキャッチアップしたのは(指摘したように)年末のこと。そして、そのダウについてはグラフ2に示したように、現在も下落が続いているが、いまだにその水準は(数値を掲載しているが)今朝段階で129.83%と高い位置にある。
<グラフ2>
そして、極めて異質なのは、年末、年始と圧倒的に米国の立会い日が日本よりも多く、それで米国指数(ダウ)が下落一途の状態なのに、日経平均が底打ちを果たそうとしていることだ。
昨年のGWを思い出して欲しい。結果的に5/5にトランプ大統領の対中国(追加)関税発動ツイッターで連休明けに相場は下落したが、米国がその後、再浮上した際に、日本は立会い日数不足がもたらしたテクニカルの遅れから、暫く浮上できない状態の時期があった(指摘済み)。今回も、本来であれば、立会い不足を追いかける形で、日経平均RSI合計も「下落一途」であってもおかしくないのだ。
しかしそれがそうならなかった理由は、直近の山の位置(ダウは補助線=160%近くであったのに対して、日経平均は140%にも満たない水準)にある。そのため、今回の日経平均RSIの底打ちは「買いサイン」を伴わないもので終わりそうである。
よろしいですか?