システムトレーダーひいらぎのAPIトレーディング講座(後編)
後編となる今回は、システムトレーダーのひいらぎさんにサクソバンク証券のAPIサービスについて掘り下げてもらいます。これからAPIを使ってみようと考えている方はもちろん、既に利用している方にとっても参考になること間違いなしです。
▶サクソバンク証券を勧める理由
▶インフラ面での優位性
▶FIX APIの詳細
▶Open APIの詳細
【前編はこちら】
・システムトレーダーひいらぎのAPIトレーディング講座(前編)
ひいらぎさんプロフィール
常に研磨を怠らずシステムのパフォーマンスを追求し、真摯な姿勢でマーケットと対峙している。フルスタックエンジニアとしてITの分野でも活躍しており、アーキテクチャ設計から各種プログラミングまで幅広く業務を行う。他者からの視点だと質実剛健と評される。座右の銘は「雲外に蒼天あり」。
Twitter:https://twitter.com/sierrasnowfall
背景を理解する
こんにちは、ひいらぎです。前回はAPIトレーディング(自動売買)の概要や、取引業者の選定についてお話をしました。今回は、その内容をさらに深堀りしていきたいと思います。
さて、前回の記事ではサクソバンク証券について紹介しました。このFX会社を利用している理由として、親会社であるサクソバンクA/Sはデリバティブ取引の欧州最大手であり、財務基盤が安定していることが第一に挙げられます。すなわち、インフラに対する設備投資を積極的に行っており、リクイディティ・テクノロジーの品質に寄与しています。
リクイディティとは流動性という意味です。サクソバンク証券では、世界の名だたる金融機関や取引所をリクイディティプロバイダーとして、プライス供給を行っています。DMA(ダイレクトマーケットアクセス)プランとよばれるプロ向けのサービスも提供しており、これによって優れた約定力とインターバンク直結による低い取引コストでのトレーディングを行うことができます。
インフラから考える優位性
重要な経済指標発表時や相場急変時のトレーディングは、ネガティブスリッページやリジェクト(約定拒否)が顕著になり、いわゆる“隠れコスト”が生じる機会が増加します。損益のパフォーマンスはFX会社のインフラに依存している部分もあり、バックエンド側の仕組みを理解しておくとシステムトレーダーとしての知見が広がるでしょう。
アルゴリズムの性能だけを評価するのではなく、APIの仕組みや用語など多方面の理解をすることで、情報の非対称性から優位性を得ることができるかもしれませんね。まずは簡単なことからリサーチしていくことをお勧めします。
続いて、サクソバンク証券が提供する各種APIについて詳しく見ていきましょう。
FIX APIとは
FIXは金融業界で採択されている、電文型のプロトコル(取り決め事)のことです。
TCP通信でリアルタイムかつ高速なプライスフィードの取得、発注や注文変更、キャンセルなどの売買注文といった、インターバンクに直結するトレーディングが実現できます。主に機関投資家向けに提供されており、HFT(ハイ・フリークエンシー・トレード)と呼ばれる高頻度取引など、速度やコストを重視した大口取引で利用されます。
サクソバンク証券は個人投資家にも門戸を広げており、条件が合えば誰でも2種類のFIX APIを利用することができます。「Fix Direct」はサクソバンクが相手方となって、流動性の供給を行います。「Fix Prime」は複数の大手銀行などからプライスを取得する方式を採用しており、機関投資家レベルの環境でトレーディングを行うことができます。
いずれもWeb上でマニュアルが提供されているので、実装に必要な仕様を確認することができます。サードパーティ製のFIXエンジンを利用して開発を行うこともできますので、プログラミングの知見をお持ちの方はぜひ試してみてはいかがでしょうか。
Open APIとは
Open APIは、REST(レスト)と呼ばれるHTTPプロトコルをベースにした技術を採用しており、軽量かつ早いレスポンスが特徴です。例を挙げると、プライスフィードを取得(GET)、対象銘柄に発注(POST)などのHTTPメソッドを使うことで、あらかじめFX会社側で定義されたリソースを参照することができます。
RESTの設計思想はシンプルなため、FIXと比較しても学習コストは高くありません。Open APIのドキュメントは英語ですが、日本語化の予定をしているとのことなので、今後は利用者が増えていくのではないでしょうか。Pythonなど、さまざまなプログラミング言語で開発することもできますので、個人的に伸びしろを期待しているAPIサービスです。
なお、サクソバンク証券においては、「SaxoTraderGO」という自社開発の取引プラットフォームをAPIで操作することができます。同社ではFX以外に貴金属やCFDなどにも対応し、取扱い銘柄数が国内最多水準であるため、投資対象の拡大による効率良いトレーディングを実現できることが大きな特徴です。
また、自身の口座情報などもOpen API経由で取得できることや、マイクロソフトのExcelを利用して直接サクソバンク証券の口座へアクセスすることも可能です。
最後に
サクソバンク証券では、機関投資家が使う環境から独自の高品質サービスまで、幅広く提供しています。また、トレーダーにとっておなじみのメタトレーダー4(MT4)でのEA(自動売買プログラム)も制限なく利用可能ですので、デモ口座の利用希望や、リクイディティのつなぎ込み、取引を行う上での相談など、専属のスタッフに相談してみましょう。
テクノロジーの進化に伴い、金融業界ではさらにAPIサービスが進展すると思います。高品質なトレーディング環境を構築し、実行プランを具体的にすることで、より良いAPIを使った戦略が実現できるのではないでしょうか。お読みいただきありがとうございました。
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サクソバンク証券株式会社
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