米国株が金融大手の良好な決算を受け続伸、今週の経済指標の結果と相まって米景気の先行きに楽観的見方が広がる
投資サロン「江守哲のリアルトレーディング・ストラテジー」では、配信されるメルマガで株式・債券・為替をはじめとした多くのマーケットを分析した情報を一度に確認できます。これにより江守哲氏の推奨するグローバルマクロ戦略を有効に活用することができるのです。
◇グローバルマクロ戦略について
本メルマガでご紹介する投資戦略は、ヘッジファンド業界では「グローバルマクロ戦略」のカテゴリーに属します。これは、世界のヘッジファンドのもっとも得意とする手法で、いわゆるヘッジファンド運用の「王道」です。
この戦略では、あらゆる市場に目を配り、投資機会を探しながら収益の獲得を狙います。市場価格の上昇・下落に関係なく、価格の変動が見込まれれば、それにベットする(賭ける)戦略です。ボラティリティが高いほど収益が見込まれますので、投資機会があれば果敢に攻めます。
世界情勢が不透明な中、為替や株式、金利、コモディティなど主要市場の価格変動は一段と大きくなっています。そのため、それぞれの市場の予測がきわめて困難になっています。このような市場環境では、マクロ的な見地からより幅広い市場で運用を行う「グローバルマクロ戦略」が有利です。
(江守哲のリアルトレーディング・ストラテジーより引用)
今回は2020年1月17日8時27分に配信されたメルマガから一部を抜粋してご紹介します。
〔EQUITY & BOND MARKET〕
【米欧株式・債券市場の市況解説・分析】米国株は米金融大手の良好な決算などを受けて続伸。ダウ平均の終値は前日比267.42ドル高の29297.64ドルと、2日連続で過去最高値を更新。S&P500は27.52ポイント高の3316.81、ナスダック総合指数も98.43ポイント高の9357.13と、3日ぶりに最高値を更新しました。VIXは0.10ポイント低下の12.32、SOXは31.77ポイント高の1903.93で引けました。モルガン・スタンレーが発表した19年10-12月期決算は債券取引などが伸び、前年同期比で増収増益となりました。調整後の1株当たり利益は1.30ドルと、市場予想の1.03ドルを大きく上回りました。今週発表された他の米金融大手の決算もおおむね好調だったことから、市場では米景気の先行きに楽観的な見方が広がり、幅広い銘柄に買いが入りました。また、この日発表された米経済指標が総じて良好だったことも株価の上昇を支援しました。19年12月の小売売上高は前月比0.3%増と、市場予想と一致。最新週の新規失業保険申請件数は前週比1万件減の20万4000件と、市場予想の21万6000件を下回りました。
現段階で米国株を安易に空売りすることは避けたほうが良いとの見方は変わりません。素直に長期上昇基調に乗ることだけを考えていきます。上昇過程の中では急落することもあるでしょうが、よほどの場合を除いて、基本的には押し目は買う方針を継続します。今年のS&P500は8%の上昇を見込んで対応したいと考えています。これが過去データから見たきわめて妥当な目標リターンです。もちろん、これを超える可能性は十分にあります。企業業績は9.5%の伸びが予想されていますので、さらに上積みがあるかを見ていきます。
【米国株のトレード戦略】
現段階で米国株を安易に空売りすることは避けたほうが良いとの見方は変わりません。素直に長期上昇基調に乗ることだけを考えていきます。上昇過程の中では急落することもあるでしょうが、よほどの場合を除いて、基本的には押し目は買う方針を継続します。今年のS&P500は8%の上昇を見込んで対応したいと考えています。これが過去データから見たきわめて妥当な目標リターンです。もちろん、これを超える可能性は十分にあります。企業業績は9.5%の伸びが予想されていますので、さらに上積みがあるかを見ていきます。
繰り返すように、今年は米大統領選挙というビッグイベントが控えています。トランプ大統領はこれまできわめて上手に政権運営を行ってきたと評価できます。やり方に問題があった面は否定しませんが、成果や功績という点ではだれも否定できないでしょう。とにかく株価が上昇しています。米国は「株価資本主義」です。これを理解できていれば、今後の株価がどうなるのかは決まっているようなものです。それを最も意識して経済運営を行ってきたのがトランプ政権です。今後も弾劾問題など様々な問題や課題が出てくるでしょう。しかし、それらを気にしていても仕方がありません。大統領選もトランプ大統領が勝利する前提で見ていくのが基本路線でしょう。半ば戦争状態のいまの米国には、トランプ大統領以外に選択肢はないように思います。
【日本株式・債券市場の市況解説・分析】
日経平均株価は前日比16円55銭高の23933円13銭と小幅反発。TOPIXは2.34ポイント安の1728.72と小幅に続落。米中貿易協議の「第1段階」の合意署名を受けて下値不安は後退したものの、新たな材料がなく、方向感は出ませんでした。30%の銘柄が上昇、65%が下落。出来高は10億3301万株、売買代金は1兆9376億円。業種別株価指数(33業種)では、医薬品、電気・ガス業などが上昇。証券・商品先物取引業、鉱業、金属製品、鉄鋼などが下落しました。米中貿易協議の「第1段階」合意の署名内容に目新しさはなく、いったん材料出尽くしに近い状態になったとの声が聞かれています。合意にこぎ着けたこと自体は良い話で、売り圧力が強まることはなかったものの、買いも入らず、日経平均の動きは終日鈍い展開でした。昨年10-12月期の決算発表が本格化する1月最終週までは材料が少ないため、上値の重い展開になるとの私的もあります。
〔CURRENCY MARKET〕
ドル円は堅調な米経済指標を手掛かりに円を売ってドルを買う動きが広がり、110円台前半に上昇しました。19年12月の米小売売上高は前月比0.3%増加し、市場予想と一致。11月は当初発表の0.2%増から0.3%増に上方改定されました。フィラデルフィア連銀発表の1月の製造業景況指数は17.0と、前月や市場予想を大きく上回りました。この他、最新週の米新規失業保険申請は20万4000件と、市場予想より少ない水準となりました。一連の経済指標の発表を受けて、円売り・ドル買いが進みました。ユーロドルは1.1140ドル前後での推移。ポンドドルは上昇し、1.3076ドルで推移。スイスフランは対ドルで小幅安。前日の海外市場では0.961フランと1年4カ月ぶりの高値を付けていました。米国は為替報告書の中で「スイスの外貨購入が19年半ば以降、顕著に拡大した」とし、スイスを監視対象に追加しました。これにより、スイス中銀は為替介入をしづらくなるとの指摘があります。
【通貨トレード戦略】
ドル円はロングを維持します。再び110円台に入りました。買われすぎ感もあり、いったん調整するとみていましたが、想定以上に堅調です。米国株が上昇し、リスクオンになっていることが背景にあります。直近高値を超えてくると、一段高の可能性もありそうです。日本株も堅調に推移すれば、これに連れる形でさらに上値を伸ばしそうです。ロングを維持し、どこまで上げることができるかを見ていきます。トレンド転換のポイントは107.65円程度とみています。また、日米実質金利差から見たドル円の理論値は107円台ですので、いまは円安水準といえます。しかし、過去には13円程度円安方向に乖離したこともあります。そうなると、120円までの上昇は許容されることになります。また、過去のデータから分析すると、最も強気のパターンになった場合の今年のドル円の高値は120円と試算しています。このような動きになる可能性を念頭に置きながら市場動向を見ていきたいと考えています。
〔COMMODITY MARKET〕
【貴金属市場の市況解説・分析】金相場は小幅下落。好調な米国の経済指標を受けて安全資産とされる金は投資家の関心を失ったといえます。さらに、株式相場が米中貿易協議の「第1段階合意」の署名に対する楽観論を背景に上昇したことも、金相場の下落につながったといえます。一方、ガソリン車の触媒に使われるパラジウムが2395.14ドルと、過去最高値を更新しました。同じように自動車用の触媒に用いられるプラチナ価格は1.9%安の1001.12ドルに下げました。一時は17年2月以来の高値となる1041.05ドルを付ける場面もありました。銀は小幅反落しました。
【貴金属のトレード戦略】
金のロングを維持します。いまは株高に対する調整期間です。しかし、米国株が過去最高値を更新しても、金相場はきわめて堅調です。この動きは非常に興味深いといえます。金利が低く、金相場には追い風となる材料もあります。投資家もリスク分散の観点から金投資を維持しています。いまの時点で金を売却する意味は全くないといえます。1455ドルを下回るまでは、長期トレンドは維持されますので、押し目買い方針を維持します。重要なのは「金を保有しておく」というポートフォリオ的な考え方でしょう。さらに、11月から2月は金を売ってはいけない期間です。目先の変動に振り回されず、まずはしっかりと保有しておくことを優先します。とにかく、長期的な視点で保有し続けることが肝要です。株価が上昇する中でも、分散投資の観点から、一定の割合で金に資金を振り向けることが重要です。現在の市場環境では、理論的には資産の10%前後の割合で金を保有するのが理想的でしょう。一定の資金は金に確実に配分しておきたいところです。
『江守哲のリアルトレーディング・ストラテジー』(江守哲)より引用。
参考チャート:S&P500指数およびダウ平均日足
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