日米の緊急緩和も効果なしー空売りや先物ショートの検討も 3/17江守氏
3/17 江守哲のリアルトレーディングストラテジーより一部抜粋
【日本株のトレード戦略】
日経平均先物は下げています。ただし、米国株ほどの下げではありません。それだけ先行してかなり下げているとも言えます。また、円高が進んでいないことも背景にあるでしょう。株価反転の兆しが見えませんが、下げすぎ感が強くなりすぎており、そろそろ自律反発があってもおかしくないでしょう。ただし、この状況で買いを入れられる勇気と資金のある投資家はきわめて限られるでしょう。しかし、最終的にはこのような投資家がのちの株価回復で資産を増やすことができます。これは過去の歴史が明確に示している事実です。いまの市場から逃げずに、これまでの戦略を淡々と継続することを貫きたいと考えます。FRBは15日(日本時間16日朝)、今月2度目となる緊急利下げを決定しました。また、日銀など6中銀はドル資金の供給拡大を発表しました。ECBは12日、量的金融緩和の拡大を決めています。日銀は16年7月にETF購入を拡大する金融緩和を決定。同年9月には短期と長期両方の金利を誘導する長短金利操作の枠組み導入を決めました。日米欧の中銀の緩和策にも関わらず、市場は全く好感していません。結局のところ、市場はウイルス感染の拡大を阻止する以外に、景気悪化や株安を止める手段はないと判断しているようです。そうであれば、財政出動も効かないということになります。
このように、リーマン・ショック時のような迅速かつ大胆な金融政策を導入しても、市場が踊らないわけですから、いかにいまの下落相場の根が深いかがわかります。
政府・与党は大規模な経済対策の検討作業を加速させているようですが、いまだに具体的なアイディアが出てきません。本当に遅いとしか言いようがありません。20年度予算案の成立を待って、大型の補正予算編成をもくろんでいるもようですが、あまりに現場意識・当事者意識がなさすぎるといえます。安倍首相は「今までの発想にとらわれない対策」と主張し、きれいな言葉を並べますが、具体策がありません。記者会見の内容も見ていらないものでした。企業への減税に加え、消費税率の引き下げも否定していないようですが、今すぐにやるべきでしょう。市場は政府の無能ぶりを見透かしたかのような下げ方です。
消費を促すと期待されていた今年夏の東京五輪・パラリンピック開催は、個人的には中止の前提で見ていくべきと考えています。オリジナルのスケジュールと規模で実施されることはまずないでしょう。つまり、五輪を当てにしていたビジネスは大幅場修正を強いられ、景気の鈍化は必至ということになります。
政府・与党は減税による景気浮揚策も探っており、中小企業支援として、設備投資にかかる固定資産税の減税などが検討されているようです。さらに、自民党の一部若手議員から消費税率を一時的に0%にする提言も出されています。そもそも、米国が減税をしているときに、やる必要のない消費増税を行っている時点で安倍政権の実力は評価するまでもないでしょう。この結果、新型コロナウイルスの感染拡大も加わり、日本は悲惨な状況に追い込まれていくでしょう。
消費税を減税すれば、拡大が続く社会保障費や教育無償化の財源は不足します。また、短期間での税率変更は、小売店や外食産業にとって事務作業などの負担も大きいとされます。しかし、そうであれば、いっそのこと当面は棚上げにし、まずは景気刺激策を明確に打ち出したほうが、国民のためになるでしょう。誤りを認め、できるだけ早く正しい政策を実行しないと、本当に悲惨なことになります。とにかく、ここまで株価が下がってしまった以上、自衛するしかなさそうです。
日本は新型コロナウイルスの感染拡大が他国に比べると抑制されているので、多少規制を緩和して、活動範囲を広げると経済は戻るとの指摘があります。しかし、それで株価は戻らないでしょう。というのも、いまの問題は欧米での感染拡大であり、それが世界の株安に元凶になっているからです。すでにご承知の通り、海外市場が下げると日本株は下落し、海外市場が上昇しても日本株は少ししか上昇しません。日本株は外国株に比べて、値動きが非常に不利になっていることから、日本だけが良くなっても、株価が上がると考えるべきではないでしょう。
松井証券の顧客ポジションを反映した「マザーズ銘柄の信用評価損益率」は、3月16日時点の買い方がマイナス47.278%に拡大しました。投資家はまだポジションを整理していないようです。これらのポジションが切れないうちは、下げ続ける可能性があるとしてきましたが、まさにその通りになっています。非常に残念です。一方、売り方の評価損益率がプラス13.578%に小幅縮小しました。それでも高率のリターンになっています。評価益とはいえ、なかなか見ることができない水準です。
技術的なことをいえば、このような相場展開になった場合には、空売りや先物のショート、プットオプションなどを取引できないと、資産は目減りし続けます。これらの取引は簡単ではありませんので、相応の勉強と経験が必要です。しかし、今回のような場面が来た時に最大の効果を発揮します。だからこそ、身に着けておきたい技術です。保有資産額に対して3割でも半分でもショートポジションを持っていれば、今回の下げ相場でもかなり助かります。いまの状況ですぐに取り組む余裕はないでしょうが、市場が落ち着いたところでぜひ取り組みを検討したいところです。
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