【無料全文公開】矢澤明美(ボリ平)12000文字インタビュー「仮想通貨とフラットな関係、シェアのお話」
矢澤明美(ボリ平)さんプロフィール
トレーダー。FXトレーダーならではの投資法でバイナリーオプションを攻略。2013年7月、投資利益を資本金とする株式会社を設立し、専業トレーダーとなる。国内ではバイナリーオプションの第一人者。仮想通貨、ビットコインへの知識も抜群に多い。
公式サイト:3万円からのFX投資生活
●聞き手:鹿内武蔵(編集部)
ビットコインは日本が最大の市場
鹿内 9月にGMOインターネットのマイニング説明会に行ってきました。
ボリ平 どうでした?
鹿内 とても刺激的でした。電気代が安くて、もともと寒くて空調管理がしやすい北欧に広大な土地を取得して、そこに巨大な仮想通貨のマイニングセンターを作る、と。もうこの時点でスケールがすごい。さらに、マイニング用の半導体を開発。これは一般販売もするみたいですね。
ボリ平 ついにGMOが本格的に動き出したね。
鹿内 この件に対して100億円の投資をするみたいですね。今まで仮想通貨のマイニング市場は中国一強だったんですけど、そこに日本の最大手IT企業が切り込むとか、胸熱です。
ボリ平 DMMとSBIも参戦するしね。GMOが掘るのはビットコインだけ?
鹿内 うーん、そこはよく分からなかったです。
ボリ平 ASICというチップはビットコイン専用で、他の仮想通貨を掘るのには向いていません。このあたり、私とても詳しいですよ(笑)
GMOとDMM、SBIの仮想通貨業界参戦が大きな話題になっているのって、さっき鹿内さんもいっていた通り、これまでずっと中国がシェアの大半を占めていたんですよ。しかも聞いたことのない現地のベンチャー企業が。それに対して、日本の巨大企業三社が参戦するわけですから、これは世界的に見てかなり好感を持たれますよ。
鹿内 仮想通貨自体の地位向上にプラス材料ってわけなんですね。
ボリ平 そうそう。同じようなタイミングで、中国はビットコインの規制がどんどん厳しくなってきていて、参加者が減っています。なので、今は実はビットコインの市場は日本が世界一なんです。それに米国や韓国が続く感じ。
鹿内 早くも日本が一位なんですね。FXと同じです。
ボリ平 DMMは仮想通貨の世界に本格参入することで、地産地消ができます。つまり円を介さない商売。税制の面で有利なんでしょうね。
鹿内 DMMはいろいろなサービスをやってますもんね。ビットコインだと、アダルトにも気軽に課金できそうです。
ボリ平 FXの業界はGMOとDMMの二強時代じゃないですか。仮想通貨もこれと同じ構図になると、既に運営している仮想通貨専業の会社は厳しいかもしれませんね。
鹿内 先行者の優位性があっという間に飲み込まれてしまうと。確かにFXの世界でも、昔から営業している商品系の会社などを、IT系のFX会社がものすごい勢いで追い抜いてしまった感はありますもんね。
ボリ平 ビットコインや仮想通貨のセミナーをやると、ほとんど告知しなくても人がたくさん集まりますよ。
鹿内 着実に普及していますね。
ボリ平 ビットコインのマーケット総額は、2016年5月には1兆円、8月には15兆円と拡大しています。でもこれって、FXと比べるとまだまだ小さくて、Google創業者のラリー・ペイジさんの資産と同じくらい。対して、FXの一日の取引量が500兆円以上ですからね。ケタが違います。
ただ、FXはエクスチェンジだけしかできませんが、ビットコインなど仮想通貨は買い物もできます。
鹿内 ビックカメラやH・I・Sなど、ビットコインで決済できるお店は増えています。
ボリ平 あとはマイクロペイメントの考え方。少額決済ですね。これは仮想通貨の得意分野です。
鹿内 僕ら日本人にはイメージしにくいですが、金融インフラが整っていない国では、お金を送ったり、受け取ったりすることがとても大変です。でも仮想通貨なら誰でも気軽にお金を遠くの家族や友人に送れます。
ボリ平 リップルなら4秒ですよ。
鹿内 ちょっと前までなら、他国にお金を送るには銀行で高い手数料を払って、SWIFTというサービスを使うしかなかったですからね。
やりながら学んで時間を無駄にしない
ボリ平 これは別の本のお仕事の話なんですけど、読者からの質問に答えるコーナーを担当させてもらっているんですね。そこにこの前来た質問がすごくて、「FXやろうか悩んでいたら、10年経っちゃいました」って。もう、「何やってるの! 10年もったいないじゃない!」って話ですよ。
鹿内 10年間やらなかったというのもすごいですね。
ボリ平 デモ口座で良いからやらないと、時間が本当にもったいないです。
鹿内 何年か前に編集部に男性の読者の方が相談に来たことがあるんです。その方はMT4の自動売買がやりたくて、分厚いプログラムの本を何度も読まれたらしいんですね。見せてもらったら、付箋が張ってあったり、マーカーが引いてあったりして、明らかに猛勉強しているんですよ。でも、一度もトレードをしていない。それどころか、確かトレードできるようなパソコンも持ってなかった記憶があります。それだけの情熱があるのに、なぜやらないんだろう、と不思議に思いました。
ボリ平 FXをするにあたり、一番いけないのは、本を何冊も読んで十分に勉強してから始めよう、っていう考え方。学校の勉強の影響が大きいんでしょうね。時期が変われば相場のパターンも変わるから、古い本に書いてある考え方は今の相場で使えないことが多いですよ。昔の相場にはAIもアルゴリズムもなかったですからね。今とは別物です。
鹿内 もし考え方が同じでも、パラメーターは違いますよね。
ボリ平 だからこそ、やりながら本を読めば良いんですよ。本だけだとイメージがわかないです。そのためにデモ口座があるんです。
鹿内 例えば、平均足を「始値は一つ前の足の半値、終値は四本値の平均値」みたいに言葉で説明しても意味不明じゃないですか。でも、チャートを見れば、トレンドが続けば同じ色が続きやすいことはすぐに理解できます。
ボリ平 MT4も同じですね。やってみればすぐに慣れます。難しそうに見えるかもしれませんが、全く難しくない。色も自分で好きなように変えられますしね。使った方が良いですよ。
鹿内 プロはみんな使ってます。
ボリ平 MT4のポイントは右クリックです。困ったら右クリックすれば、だいたい何とかなります。
今はスマホで記事を読む人が増えているから、「ここを右クリック!」みたいにアメコミ風に誌面を作った方が伝わるかもしれませんね。
鹿内 今は文字を読まない人が増えましたよね。でもこれもしかたなくて、ネットが登場してから文章量がほとんど無限大になりました。だから自分も含め、無意識のうちに外見でその文章を読む価値があるかどうかを判断するようになっています。
ツイッターですら情報の速度は遅い
ボリ平 ただ、若い人は文章を読まないかもしれませんが、素直な子が多いですよ。例えば仮想通貨なんかのミートアップはとても多いんですが、「明日、ここでやるので来てね〜!」っていったら本当に素直に来るんです。スマホメインの生活をしているから、アクティブな若者は多いですよ。能動的というか。これがパソコンだったら、座ったままでしか操作できないから、身動きが取れないなかやるしかない、みたいな。だから、どうしてもネガティブな言葉が出てくるんですよ。
鹿内 行動的なんですね。
ボリ平 仮想通貨だと特にこの傾向があります。面白そうならとにかく動いてみる。でもこれがFXだとそうもいかないんですよ。講師が誰で、お金がいくらかかって、メリットがあるのか、ないのか…こんな考えになって結局行かない、みたいな。
鹿内 仮想通貨のミートアップは二十代、三十代中心ですか?
ボリ平 その年代は多いけど、もっと年上の方も来ますよ。皆さん、平気でLINE交換してグループ作ったり、すぐ仲良くなる。そしてガンガン自分が知った情報を共有します。だから今の時代、ツイッターやフェイスブックですら情報スピードは遅いですよ。
鹿内 自分もミートアップ行きたいです。
ボリ平 行った方が良いですよ。名刺交換会もありますから、そこから情報交換の場が生まれます。
鹿内 若い人はLINEのグループを作るのがとにかく早い印象です。
ボリ平 そうですね。LINEのサービスにもっと力を入れた方が良いと思います。今の時代、サロンみたいなのももう古いですよ。
鹿内 FXはどうしても先生に教えてもらいたい、という人が多いですよね。先生のいう通りにやれば儲かる、みたいな。
ボリ平 それはない! ですね。ミートアップだったら、一応講師にあたる人がパネルディスカッションをして、参加者にどう思いますか? これからどうなりますか? と聞くわけです。双方向の参加型なんです。
鹿内 FXの懇親会でも、結局は講師の周りに人だかりができて、講師からどうにか勝ち方を教えてもらおうとするスタンスなんですよね。
ボリ平 それは古いやり方ですね。あと仮想通貨のミートアップは、平日開催も多いです。
鹿内 FXだったら、人が集まる週末が多いですよね。
ボリ平 で、ミートアップだと、これからやばい話をするから、シェアはしないでね、みたいな。
レバレッジ規制は資金が少ない人に酷
鹿内 そろそろFXの話もしていきましょうか。ボリ平さんが数ある投資の中からFXを選択したのはなぜですか?
ボリ平 銘柄が少ないシンプルさですね。一番最初に経験した投資は日本株だったんですけど、銘柄がとにかく多くて、各社のデータを把握するのが大変でした。でもFXは見なければいけない情報が少なくて、私には合っていると思います。
鹿内 米ドルを中心に全部の通貨が回っていると考えるなら、実質銘柄は一つですよね。
ボリ平 ドルストレートの通貨ペアと、メジャーな通貨ペアをMT4で六画面くらいに分割表示すれば、相場全体の動きを俯瞰できます。この分かりやすさが気に入りました。バイナリーオプションならもっとシンプルです。
鹿内 銘柄選びで迷うことはないですよね。
ボリ平 あとはレバレッジですね。私はハイレバレッジ時代の方が良かったです。
鹿内 短期トレードメインですもんね。
ボリ平 当時はレバレッジ規制に抗議する動画を作ったりしていました。レバレッジをかけられないと、小さな資金から増やしていこうという人のチャンスの芽を摘んでしまうんですよ。
鹿内 1000通貨取引と同じで、レバレッジは投資家にとっての選択肢ですからね。1000通貨取引だからといって、1万通貨取引もできますし、レバレッジ1000倍までOKだろうと、1倍でもトレードはできるわけです。
規制を厳しくしすぎると、結局海外の業者に日本人投資家が逃げてしまいますからね。
果たして普通の主婦は勝てるのか
鹿内 FX攻略.comでも、たくさんの女性トレーダーの方に執筆やセミナーなどのご協力をいただいています。皆さんとても素敵な方々なんですが、それと同時に明らかに普通の主婦じゃないんですよ。ボリ平さんなんかその最たる例ですが(笑)
ボリ平 そうなんですか?(笑)
鹿内 普通の主婦は会社作ったりしませんからね(笑)。いわゆるスーパーな方々がFXで稼げるのはある意味必然として、普通の主婦やOLさんでも、ちゃんとFXで稼げますか?
ボリ平 女性はですね、コツコツやる人が多いから、平均的に見て男性よりも稼げる人が多いと思いますよ。
鹿内 なるほど。男性は自分の意見を入れたがりますよね。「でも俺はこう思うんだ!」みたいな。
ボリ平 そうなんですよ。どんどんアレンジしちゃう。女性の方が堅実ですよ。例えば主婦のトレーダーさんなら、FXで利益を出しておかずが一品増える、子どもにおもちゃを買ってあげられる、みたいな。
鹿内 ボリ平さんが今の頭脳や知識がありつつも、あまり資金がない状態で今日から投資を始めるなら、どんなトレードをしますか?
ボリ平 私ならまずはバイナリーオプションをやります。バイナリーは証拠金という考え方ではないので、資金が少なくても少ないなりに参加できます。で、一つの回号だけに絞って、その時間帯を徹底的に研究しますね。データを集めて、値動きを分析して、その回号でしっかり利益を取ることを目指します。
FXをやるならトレールですね。方向が出たらずっと追いかけて、一気に利益を稼ぐ考え方です。マネックス証券のオートレールを使っても良いですし、MT4にもそういうインジケーター、EAはあるはずです。
少しずつ仮想通貨を集めていく
鹿内 そうそう、ボリ平さんは音楽、特にパンクやロックが好きですよね。だからこそ、アンチ中央集権的な仮想通貨への強い興味があるのかなって。
ボリ平 そうですね。ある意味アナーキーですよ。国や通貨なんて関係なく、お金のやりとりができるのが魅力。海外ではビットコインでしか決済できないサービスなんかも出てきていますよ。
鹿内 ビットコインなどの仮想通貨って、出口戦略はあるんですか? 今持っている人が、いつ利食いするんだという。
ボリ平 私は基本的に利益確定はしないです。今の時点でビットコインは50万円くらいですが、少なくとも100万円は行くと思います。まあ、少しくらいは利食いするかもしれませんが、基本的には仮想通貨を法定通貨に戻すつもりはありません。これはリップルやライトコインなどのオルトコインも同じです。
鹿内 ビットコインは時折暴落するじゃないですか。そういうときにはどうしますか?
ボリ平 買い増しのチャンスですよ。というか、私はビットコインなどの仮想通貨をトレードしていると思っていません。チャンスを見ては少しずつ集めていく、それが仮想通貨との付き合い方だと思っています。
初期のころはゲームでビットコインをもらったり、ウォレットに貯めていくような感覚でしたね。
鹿内 FXとはぜんぜん違いますね。集めていく、良いですね、それ。見出しに使います。
ボリ平 だからあまりテクニカルは関係ないんですよ。FXとは売り方、買い方の概念が全く違います。
鹿内 安いときに拾い集めていく、と。
ボリ平 そうなんです。いずれ世の中のサービスが変わり、ビットコインでタクシー代が払えるようになります。そのときまで、集めながら持ち続ければ良いんですよ。
鹿内 なるほどです。資金がない人でも、0.01ずつ買っていけば良いですよね。ニュースで1BTCが50万円! ってなると、50万円ないとビットコインが買えないって思っちゃう人がいますけど、実際はもっと小さい単位からでも買えますよね。
ボリ平 便利なビットコイン決済が可能な場所も増えています。例えばビックカメラで家電を買うとしたら、バーコードで見せてそれで終わり。今、貯蓄をしている人も仮想通貨の将来性を考えて、資金の一部でビットコインをちょっとずつ買い集めていけば良いと思います。
鹿内 さっきのGMOとDMM、SBIの参入もそうですし、ポジティブなニュースが多ければ、それだけ仮想通貨の信用を押し上げます。
ボリ平 どんどん使えるところが増えると思いますよ。いずれ銀行もなくなるんじゃないですか。今だって、コンビニATMができてから、昔ほど銀行に行かなくなっているわけで、この流れは加速します。送金もスマホだけでできるようになれば、小銭をジャラジャラ持ち歩く必要もありません。ウォレットだけで、支払も融資もクラウドファンディングもできるようになりますよ。
鹿内 地球上に、送る人と受け取る人だけしかいなくなるんですね。中継することで利益を抜く業者がいなくなって。
ボリ平 何も心配することはありません。ビットコインは持っているだけで、きっと価値が上がります。100倍になってもおかしくないです。今は石器時代くらいだと思って、買って持っておきましょう。でも、1万円にはそれがないですよね。持っていても増えない。
鹿内 むしろインフレでちょっとずつ価値が下がりますよね。
半年くらい前に飲んだ友達とビットコインの話になって、僕がもう持ってて、すごく値上がりして儲かったよ、って話をしたんですね。そしたらその友達も、自分も買う、って宣言したんですよ。で、それから半年くらいしてまた飲みに行ったら、結局買ってなかった。飲んだ次の日に買っていれば、大きく値上がりして儲かったんですけどね。
ボリ平 みんな、たらればで実行しないんですよ。リスクを恐れて。でもそれって機会損失なんですよね。ビットコインが10万円を切ることはもうないかもしれません。世の中の将来を見通す目と、情報力が大切。
鹿内 その友達はちゃんとした仕事に就いていて、給料も良いんです。つまり資金が問題なんじゃなく、ビットコインを買って損することをとても恐れていました。そのあとから、セキュリティは大丈夫なのか、どこの取引所が良いのか、みたいな質問をされたんですけど、たぶん大丈夫、有名どころはどこもちゃんとした会社だよ、としかいいようがないですよね。
ボリ平 とりあえず乗ってみれば良いんです。乗ってみたら気になるから、ブロックチェーンのことも勉強します。全くやらずに学ぶのは無理ですよ。
良いものはどんどんシェアしよう
鹿内 ボリ平さんのそのすさまじいチャレンジ精神は生来のものですか?
ボリ平 昔から新しいもの好きですね。例えば、遺伝的なことを考えたら若い人の方が優秀じゃないですか。進化の過程で新しいものが出てくるわけですから。なので、若い人たちに流行っているものにはとりあえず乗ってみますよ。ミートアップも行くわけですが、そこでは年は上の方なんですよ。でも関係ないですね。自分の息子に、今流行しているものを教えてもらったりしていますよ。
鹿内 常に情報収集をしているんですね。若い人はSNSを使いこなしていますよね。
ボリ平 そうですね。インスタとかも。
鹿内 でも、ある程度年をとってくると、新しいものが苦手になってくるんですよ。そこは一歩踏み出す、って感じですね。
ボリ平 そうそう。まずはやってみる。やる、やらないで悩むより、やって失敗した方がずっと良いですよ。FXも上手くなるまでは、ポジションを持ってから、ああどうしよう、ってなることが多かったです。
鹿内 会社経営で成功している人も、いくつもやってみて、結果的にどれかが当たればOKというスタンスの人が多いですよね。一戦必勝だともたないんだと思います。
ボリ平 ビットコインが良い例です。気になるから買ってみたら値上がりしました。さっきもいったけど、基本的には持ち続けます。未来への投資ですよ。このままいくと、人間は100歳くらいまでは生きてしまうわけです。だから80歳くらいまでは、何らかの生産作業をしなければいけません。もちろんそれが投資でも構いません。ビットコインが今後ずっと価値が上がり続ける可能性があるから、今から自分の将来への投資として保有しておくんです。それと、今後仮想通貨が上がるかどうかについて、過去のデータから予想しようと思っても無理ですよ。全く新しい概念なんですから。過去のパターンに当てはめて考えても意味がありません。
鹿内 以前にも、チャートの左側の話をしても意味がない、右側の話をしなければ、とおっしゃってましたよね。
ボリ平 過去の栄光なんてどうでも良いんですよ。今と未来が大切です。
鹿内 最近ふと思ったんですけど、ほとんどの人って、自分の心のよりどころというか、青春を感じられるエリアから離れないですよね。大学時代がそうなら、その近くに住んだり会社を作るし、やんちゃな方々はだいたい地元に住むし。ぜんぜん関係ないところには、なかなか住もうとしないものですよ。
ボリ平 私は何回も引っ越ししてきたので、地元という意識はないですね。今、一軒家を借りて住んでいるんですけど、虫の声がナチュラルに聞こえて、海の方からときどき汽笛が聞こえます。お金に換算できない価値ですよね。
あと横浜に住んでいるんですが、公園がたくさんあって、無料で素晴らしい空間をシェアできるんです。海の良いところって、みんなで広大なものをシェアできることですよ。
鹿内 とても良い話です。
ボリ平 良いもの、自分の経験や知識はどんどんシェアすれば良いんです。この前インタビューを受けたんですが、相場がこう変わってる、今はこういうやり方が良いという情報は、独り占めしてもしかたないからどんどんシェアをします。私の12年分の投資経験が、聞いている人に伝わります。そのノウハウを得たその人は、お金を稼ぐ義務みたいなものがありますし、さらにその知識や経験を別の人にシェアしてほしいです。自分のためだけにトレードをしているのと、社会のためという意識を持つのはぜんぜん違います。次の人にバトンタッチしていかないと。
鹿内 みんなで共有するんですね。
ボリ平 電子レンジが発明されたから、料理をするときの時間が短縮されたわけじゃないですか。そのおかげで新しく生まれた時間を使って、自分のことや家族のことをするわけです。みんなが電子レンジを開発しなくて良いんです。これが社会の進歩ですよ。何より、私もいろいろな人のノウハウを勉強することで、今があります。
鹿内 女性のお友達で、ボリ平さんのような方はいますか?
ボリ平 全くいませんね。同窓会に行っても話が合いません。
負けたから失敗ではない
鹿内 ボリ平さんの息子さんは、フットサルの選手なんですよね。
ボリ平 そうなんですよ。日本代表の試合にも出場しています。私がFXと出会ったからこそ、ここまで来れたわけですから、本当に感謝しています。
鹿内 教育の極意みたいなのはありますか?
ボリ平 やりたくないことはやらせなかったですね。好きなことをやらせていたらこうなりました。息子は以前サッカーだけでなくキックボクシングもやっていました。それがフットサルのゴールキーパーになってから力を発揮しましたね。
バイナリーオプションは、タイムショックというか、徐々に時間が短くなっていく感じが良いのかも。バイナリーは勝っても負けても、時間が来れば終わり。サッカー型です。逆にFXはタイムリミットのない野球型です。バイナリーオプションはどこか一つの回号(時間帯)に絞って集中。その時間帯が来ると、自然とムズムズしてくるくらいが良いです。この一点集中な感じは、ゴールキーパーの感じに近いですね。
鹿内 なるほど、そうつながるわけですね。もう一つお聞きしたかったのですが、FXなどの投資で成功する人、失敗する人の違いはどこにあるのでしょうか。
ボリ平 退場が成功かもしれないですよ。失敗したからこそ、手法を練り直して勝つこともあります。必ずしも、成功=良かったではないです。私はあえて勝つのが当たり前と思うようにしているので、負けたときだけ何が原因だったか分析をします。失敗を単なる失敗と思わず、そこからどう改善するのかを納得するまで考えます。
鹿内 ミスをちゃんと認められてこその考え方ですね。でも、認められない人もたくさんいるように思います。
ボリ平 自分が間違えた場合だけじゃなく、相場がたまたま変な方向に行くこともあります。特に短いトレードをする場合には、大きな方向は合っててもノイズみたいな値動きで損切りになることもあります。それを自分でどう納得するか。やり方が間違ってても勝っちゃう場合もあるわけで、やっぱり成功=良かったと単純にはいえません。
あとは、日々の勝ち負けよりもトータルで判断です。私の場合は週単位で集計していて、その週がプラスかマイナスかでしか判断しません。その中で、水曜が苦手、木曜が得意というのも出てくるので、そういう傾向は大切にします。土日でも取引ができる仮想通貨が広まるほど、こういう曜日ごとに判断する考え方も大事になってきますよ。
それと、取り返そうとするトレードはやめましょう。倍負けたりします。
鹿内 リベンジトレードはうまくいかないことがほとんどですよね。
クレクレ君はけっこう嫌われる
ボリ平 私、落合陽一さんの話がものすごく好きなんです。これからもっと高齢化社会になって、若者三人が老人一人を支えなきゃいけなくなったとき、AIが介護をしてくれるようになる。それで目が悪くなれば、代わりになる目を、手が動かなくなったら三本目の手をみたいに、機械が人間をサポートするようになる。そういうのもまた個性になり、人間は誰でも100歳まで生きる。その時代に自分が間に合うかは分かりませんが、とても未来が楽しみです。
鹿内 iPhoneなんかも、十年前には全く想像できませんでした。人間の発想は、人間の想像を超えていきます。
ボリ平 今の若い人はスマホが当たり前ですけど、彼らにとってはスマホはおもちゃじゃなくてツールです。だからポケモンGOやっているのはおじさんが多い。
鹿内 スマホが当たり前になったことも、情報の拡散しやすさにつながっているわけですね。
ボリ平 そうです。クレクレ君はだめですよ。自分でも調べられないと。
鹿内 僕の知り合いで大学生に水球を教えている人がいるんですが、そのうちの何人かがFXをやりたいみたいです。若くて体力のある時期にFXを始められるのはうらやましいですよ。
ボリ平 スマホの方が割り切って投資できますよ。何かしながら使うことが多いから、変にのめり込みすぎない。
鹿内 ソシャゲのガチャは抜けられても、パチンコはなかなかやめられなかったりするのは、そのあたりかもしれませんね。
今はとにかくひたすら情報が多いじゃないですか。FXでも何でも、昔なら関連書を読むしかなかったですが。こういう時代で、初心者はどうやって情報の取捨選択をしたら良いのでしょうか。
ボリ平 今は検索で得る情報も怪しいもんですよね。だからFX攻略.comのような媒体で基礎を学んで、あとはもう自分でやるしかないですよ。千本ノックです。人の意見や手法に頼ることなく。
鹿内 相場は常に変化していますから、常に自分でやってみて体感するしかないですよね。
ボリ平 あとはコミュニティです。教えて君、クレクレ君ではなく、フラットに自分からも情報を発信する場。
鹿内 まだまだFXはそういう、双方向な感じにはなっていませんね。トレーダーは孤独ですし、投資教育事業を担当していても、先生が来ないと盛り上がりません。先生が来ないグループを作っても、最終的には過疎化してしまう。先生から学ぶことしか意識にないから、ドル円暴落が来た! みたいにトレーダー同士で盛り上がらないんですよね。
ボリ平 私は仮想通貨のLINEグループに入っているんですけど、24時間ずっと情報交換されていますよ。朝起きたら300くらい未読のメッセージがたまっています。仮想通貨にはまだ情報が少ないからこそ、140人くらいのメンバーが中国の情報やツイッターのネタなどを延々と報告しあっています。今はそういう文化ですよ。
でもこれ、ネット上の匿名の集まりじゃないのがポイントなんです。一度顔を合わせたことがあるからこそ、コミュニケーションが進みます。
鹿内 ミートアップで連絡先交換した人たちの集まりなんですね。
ボリ平 だから、FX攻略.comさんみたいなメディアこそ、ミートアップを主催しましょう。FX会社さんがやっている、アナリストの先生が一方的に話すだけのセミナーはもう古いです。だいたい、AIが普及していく中で、銀行のトレーダーはどんどん職を失っているわけじゃないですか。今さらプラザ合意の話とかいらないですよ(笑)
鹿内 チャートの右側の話が聞きたいというわけですね。
ボリ平 LINEのグループはみんなが情報発信をするから、スピード感が違いますよ。セミナーじゃなくて、ミートアップをやりましょう。パネルディスカッションにすれば、セミナーみたいな準備はいりませんし。
鹿内 一方通行じゃないから面白いんですね。
ボリ平 受け身じゃだめですよ。そして、そういうコミュニティの中からスターが生まれれば良いんです。単なるサラリーマンのおじさんでも、ちゃんとFXなり仮想通貨なりで利益を出している人がいるなら、そういう人の話をみんなが聞きたいんです。私も聞きたいです。それと負けている話も参考になります。勝った話ばかり集めてもしょうがない。
鹿内 優秀なトレーダーの発掘は私たちの務めですね。
ボリ平 読者参加型のミートアップを開催しては? 筆者にも何人か来てもらって。
鹿内 良いですね。ちょっとセミナーもやるけど、交流会メインで。
ボリ平 そういうイベントでは、本に書けない、ネットではいえないっていうクローズドな情報を絶対出した方が良いです。本音トークです。そういう不自由感があるからこそ、人が集まります。もちろんSNSのシェア厳禁で。
鹿内 今だとMT4ですね。とてもニーズがあります。あとはビットコイン、仮想通貨ですね。これらなら集客できるかな?
知らないといえず知ったかぶる
ボリ平 セミナーで、損切りをちゃんとしましょう、っていう話に必ずなるじゃないですか。
鹿内 損切りはなかなかできないって話ですよね。
ボリ平 私ならそれ分かる!っていっちゃいます。初心者の悩みは私も通ってきた道です。教えるんじゃなく、コーチングですよ。講師はみんながんばれっていう、トレーダーのサポーターになれば良いんです。それぞれの性格にあったやり方をレクチャーしてあげられるのが理想です。
投資の世界って、自分だけが稼ぐんじゃなく、みんなが儲かることを目的にした方が良いです。みんなが炎を燃やして、それをクールに見守るのが講師ですよ。
そして次の段階でミートアップをして、全員でフラットに情報交換をする。私は新しいアプリの使い方を、よく受講生の方や若い人に教えてもらっていますよ。もちろん自分の経験を相手に提案することもできます。教えてあげるという立場だと、知らないっていえないんじゃないですか? 知ったかぶりになる危険がある。
鹿内 フラットな関係なら、クレクレ君は現れないですよね。
ボリ平 あとはミートアップのときに、全員にスピーチする時間を設けたいです。自分で考える、緊張する時間を作ります。
もう最終的には合宿ですね。スペシャルゲストを呼んだり、みんなでディベートしたり。参加者を順張り派と逆張り派に分けて、途中で立場を逆転させて、逆張り派が順張りの良さを語ったり。こうやっていろいろな立場から考えることで、個人の能力がものすごく上がっていきます。普通のセミナーより数倍楽しそう。
鹿内 今より距離感が近いイベントを考えていきたいです。
(インタビュー日:2017年9月13日)
※この記事は、FX攻略.com2017年12月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
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