金融安定化に向けて[森晃]
森晃さんプロフィール
エコノミスト。シンクタンク(アメリカ合衆国)に所属。専門分野は、為替政策、金融政策、マクロ経済政策、金融規制。市場関係者、金融当局者、政策当局者と交流し、多方面から為替の動向について分析を行っている。
※この記事は、FX攻略.com2020年7月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
3月13日に、トランプ米大統領が新型コロナウイルス感染拡大への対応を強化するために国家非常事態を宣言してから1か月以上の月日が経過した。筆者も大人しく自宅で時間を過ごしている。外出するのは雑貨屋に食べ物を買いに行くか、家の近所を散歩するときだけである。
4月16日に、新型コロナウイルス対策で制限した経済活動の再開に向け、ガイドライン(第1段階:在宅勤務から段階的な出勤、レストラン、映画館、スポーツジムの営業再開。第2段階:学校の授業再開、不要不急の移動。第3段階:高齢者施設や病院の訪問)を公表した。
しかし、このガイドラインを実施するのは時期尚早とし、各州は独自の経済再開計画を検討している。同じ統計を扱う、公衆衛生と経済学の議論であればよいのだが…。ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ知事は、「トランプ大統領がニューヨーク州の人々の公衆衛生を危険にさらす形での再開を命じたとしても、私は従わない」と表明している。これに対してトランプ大統領は、米国経済再開時期の決定について「米大統領の権力は完全だ(州知事の決定を覆して再開日程を決定できる)」と発言。これに対し、大統領選の民主党候補者であるジョー・バイデン前副大統領は「米国王の地位に立候補しているわけではない」と批判している。
米国大統領選挙の再選に向けた選挙期間中に景気後退に陥った場合、現職大統領が当選した例はない。1980年の米国大統領選挙では、イラン革命による原油価格の高騰が影響しジミー・カーター大統領は再選されなかった。そして1992年の米国大統領選挙では、湾岸戦争による景気減速が影響しジョージ・H・W・ブッシュ大統領(父)も再選されなかった。過去の事例からは、トランプ大統領が再選される可能性は「ゼロ」である。そして、世界の指導者の顔ぶれも大きく変わることが予想される。
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