これからの外国為替場の行方 第123回[田嶋智太郎]
田嶋智太郎(たじま・ともたろう)さんプロフィール
経済アナリスト。アルフィナンツ代表取締役。1964年東京都生まれ。慶応義塾大学卒業後、現三菱UFJ証券勤務を経て転身。主に金融・経済全般から戦略的な企業経営、ひいては個人の資産形成、資金運用まで幅広い範囲を分析・研究する。民間企業や金融機関、新聞社、自治体、各種商工団体等の主催する講演会、セミナー、研修等の講師を務め、年間の講演回数はおよそ150回前後。週刊現代「ネットトレードの掟」、イグザミナ「マネーマエストロ養成講座」など、活字メディアの連載執筆、コメント掲載多数。また、数多のWEBサイトで株式、外国為替等のコラム執筆を担当し、株式・外為ストラテジストとしても高い評価を得ている。自由国民社「現代用語の基礎知識」のホームエコノミー欄も執筆担当。テレビ(テレビ朝日「やじうまプラス」、BS朝日「サンデーオンライン」)やラジオ(毎日放送「鋭ちゃんのあさいちラジオ」)などのレギュラー出演を経て、現在は日経CNBC「マーケットラップ」、ダイワ・証券情報TV「エコノミ☆マルシェ」などのレギュラーコメンテータを務める。主なDVDは「超わかりやすい。田嶋智太郎のFX入門」「超わかりやすい。田嶋智太郎のFX実践テクニカル分析編」。主な著書は『財産見直しマニュアル』(ぱる出版)、『FXチャート「儲け」の方程式』(アルケミックス)、『なぜFXで資産リッチになれるのか?』(テクスト)など多数。最新刊は『上昇する米国経済に乗って儲ける法』(自由国民社)。
※この記事は、FX攻略.com2020年7月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
NY原油初のマイナスでも全体の反応は比較的穏やか
執筆時点(2020年4月下旬)の国際金融市場における最大の“事件”と言えば、それは「まさに驚天動地のNY原油初のマイナス価格」ということになるだろう。
周知のとおり、NY原油(WTI)先物5月限の価格は4月20日に一時マイナス40ドルまで急落することとなった。これは、折からのコロナショックで原油需要が世界的に激減し、実需の買いが消滅するなか、先物の限月交代に伴う売りを市場が吸収できなかったことに因る。
口さがない一部の関係者は、このときの現象を「粗大ゴミの有償処理」に例えていた。言い得て妙と思えなくもないが、冷静に考えれば「恐ろしい感染症のパンデミック(世界的拡大)下で生じた先物取引に固有のテクニカルな出来事であったに過ぎない」と捉えることもできる。
むろん、世界が共に協調して新型コロナウイルスとの戦いに挑もうとしている状況にあって、それでも直ちに具体的な対応策を繰り出すことができないサウジアラビアやロシア、米国などといった産油国のリーダーらの罪は大いに咎められるべきである。
ただ、それも言うなれば「時間の問題」ということになろう。本稿が読者の皆様の目に留まる頃までには、産油国の各リーダーが「背に腹は代えられない」とばかりに何らかの緊急対抗策をひねり出してくるに違いない。
むしろ、ここで注目しておきたいのは、NY原油先物価格が史上初のマイナス価格に陥るという実にショッキングな出来事があったわりに、金融市場全体の反応は比較的穏やかであったということである。
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