【無料全文公開】現役為替ディーラーが何でも答えます!みんなのQ&A[トレイダーズ証券みんなのFX 井口喜雄](FX攻略.com2017年11月号)
疑問をぶつける相手はいないし、調べてもよく分からない…。そんな悩みがあったら、この企画にお任せください。トレイダーズ証券の井口さんが、あなたの質問を解決します!
井口喜雄さんプロフィール
いぐち・よしお。トレイダーズ証券市場部ディーリング課。認定テクニカルアナリスト。1998年より金融機関に従事し、主に貴金属や石油製品のコモディティ市場を中心としたカバーディーリング業務に携わる。2009年からみんなのFXに在籍し、「米ドル/円」や欧州主要通貨を主戦場にディーリング業務を行う。ファンダメンタルズから見た為替分析に精通している他、テクニカルを利用した短期予測にも定評がある。最近では、みんなのFXの無料オンラインセミナーにも登場し分かりやすい講義内容が好評を得ている。さらにTwitterでは、プロディーラーが相場についてリアルな意見を発信しているので要チェック。
Twitter:https://twitter.com/yoshi_igu
※この記事は、FX攻略.com2017年11月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
Q12.新人ディーラーの勉強内容、教育内容が知りたいです。どうやって一人前になるのでしょうか?(広島県/20代/男性)
A.新人時代に先輩ディーラーや上司から教わったことで印象に残っている三つをご紹介します
1.銀行プライスをひたすらモニタリング
当時の上司から「チャートも情報端末も見なくていいから銀行のプライスだけをずっと見るように」と指導されました。「プライス(ティック)を見て自分の頭でチャートが描けなければディーラーじゃない」といわれて一日中、複数の銀行レートと睨めっこをしていました。
当時は毎日銀行のプライスボードばかりを見ていて、これが何かの役に立つのかと半信半疑でしたし、始めのころはモニタリングをしていてもレートがカチカチと動くだけで何も分かりません。ですが、毎日毎日プライスを見ていると何となくですが頭の中で徐々にチャートが描けるようになり、レンジやトレンドなどの状況を把握することも不思議とできるようになってきます。
また、銀行ごとの傾向も見えてくるので、単にチャートを眺めるより、需給そのものを感じられるようになります。さらに数年、経験を積むとプライスの変化から受ける感覚でどんなところにストップオーダーがあるか、買いが厚いのか、売りが厚いのかをイメージすることができるようになり、今では短期的な値動きの予測をする上で大きな武器となっています。巨大ポジションを持つ銀行がどう動くのか、どう動きたがっているのかを常に考えておく必要があると教わりました。
2.同一銘柄で同一時間の取引を極める
同一銘柄、同一時間に毎日取引をすることが重要だと教わりました。通貨によって性質が違えば、時間帯によって値動きも全く違います。いきなり新人ディーラーが複数の通貨ペアを見ても収益を上げていくことは困難だということです。であれば、一つの通貨ペアに特化してスペシャリストになった方が収益に貢献できます。
このように毎日同じ通貨ペア、同じ時間に取引をしてスペシャリストになることで習得できるのがプライスアクショントレードです。値動きそのものがシグナルとなるプライスアクション最大の特徴は圧倒的なスピードです。瞬間的な判断を求められるディーラーは、テクニカルのインジケーターより早い判断が可能なプライスアクションでトレードできなければ使い物にはなりません。
毎日同じ通貨ペアを見て相場と向き合うことで、自分の頭の中に経験則が積み重なり、閃きや第六感といった感覚が鍛えられていきます。この“感覚”を磨くには同一銘柄で同一時間のチャートを毎日見ることです。仮にトレードしない日でもチャートだけは毎日見る習慣をつけておくと、とても上達します。大変ではありますが、効果はありますのでぜひ試していただきたいと思います。
プライスアクショントレードのメリット
- インジケーターより早いエントリー判断が可能
- 早めにエントリーすることで獲得値幅が大きくなる
- 経験を積むことによって誰でも身に付けられる
プライスアクショントレードとは、その名の通り値動きから優位性のある売買シグナルを見極める手法のことです。同一銘柄で同一時間のチャートを毎日見ることで、プライスアクショントレードに必要な感覚を養うことができます。
3.テクニカル指標のバックテスト
バックテストとは過去のデータを用いて、一定期間にどの程度のパフォーマンスが得られたかをシミュレーションすることです。新人のころは上司に勧められたこともあって、テクニカル分析にどっぷりとのめりこんでいきました。専門書を買い込んで、移動平均線のような有名どころの指標からマイナーな指標まで数多くのテクニカル分析を勉強したように記憶しています。有効なテクニカル指標を見つけるため、過去のデータを片端からバックテストしました。
バックテストをやっていくと分かるのですが、それなりの収益を上げるテクニカル指標を探すことは割と簡単にできます。しかし、期間を変えるとうまく機能しなかったり、変数を少し変えるだけで大きく結果が変わってしまったりするなど、どれも信頼性に欠けるものでした。あきらめの悪い私はどこかに必勝法があるはずだと深彫りしていきましたが、このテクニカルでトレードすれば儲かるといったような安易なものは存在しないとの結論に至りました。ただ、これはテクニカル分析がマーケットで通用しないということではありません。
万能なテクニカル指標こそありませんでしたが、一定期間で相性が抜群のテクニカルを見つけることは難しくありません。バックテストで優秀な戦略を見つけて実際に試してみるのはなかなか面白いものです。大事なことは、この手法は「いつまでも機能するわけではない」ということ理解することです。
また、マーケットには意識されているテクニカルポイントが存在します。幾度となく同じレートで相場が跳ね返されれば、そのラインは強固なサポートラインに変化します。このようにテクニカル分析の有用性はその使い方によって大きく変わってきます。テクニカル分析は使う目的や意思を明確にすることで、初めて有効なツールに変わるのです。
バックテストの重要性
バックテストでは自分のトレード手法が通用するか否かを検証できる上、過去のトレード結果を客観的に分析できるため、行うことに大きな意義があります。有効なテクニカル指標を探し出すためにも、バックテストは欠かすことのできない作業といえるでしょう。
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