外為オンライン・佐藤正和の実戦取引術|3大通貨の未来を予測するテクノ&ファンダ分析【今月のテーマ|歴史的な横ばい膠着相場。レンジ相場の逆張り戦略で攻める】
新型コロナウイルス蔓延で激変する世界を尻目に、為替相場はベタ凪状態が続いています。こういうときは、上がったら売り、下がったら買いのレンジ相場の逆張り戦略が有効といえます。きわめて狭い範囲で推移する各通貨ペアの上限・下限を見ていきましょう。急落中の新興国通貨の底値買いが有効かどうかも検証します。
※この記事は、FX攻略.com2020年9月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
佐藤正和さんプロフィール
さとう・まさかず。邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。その後、年間取引高No.1を誇る外為オンライン・シニアアナリストに。通算20年以上、為替の世界に携わっている。ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」、ストックボイス「マーケットワイド・外国為替情報」に出演する他、Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
ドル円は日足20日線から月足60か月線までが密集する異常な膠着相場で推移
2020年11月の米大統領選に向けてトランプ氏には「強い逆風」が吹き荒れています。6月初旬の世論調査では、激戦区のミシガン州でのバイデン氏の支持率は55%と、トランプ氏の39%を大きく上回り、他の激戦区でも同様の結果が出ているようです。
「因果応報」とでも言うのでしょうか。新型コロナウイルスに始まって、人種差別に対する抗議デモやボルトン前大統領補佐官の暴露本など、トランプ氏にとっては悪材料が続いています。
まだ先の話だと思っていた米大統領選までは4か月を切ってきました。当初、「楽勝」と見られていたトランプ氏の再選も、最近のマスコミの論調は「苦戦」という言葉に変わっています。ひょっとしたら「バイデン大統領誕生」もあるかもしれません。
新型コロナウイルス感染の第2波も、より強く意識され始め、経済を早期再開したテキサス州では新型コロナウイルス感染症による入院者が過去最多を更新。フロリダ州の6月第3週の感染者増加率も週間ベースで過去最多になっています。
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は6月、半期に一度行われる議会証言で、「経済や雇用の回復の時期と力強さに関しては著しい不透明感が残っている」とし、景気の先行きに慎重な見方を示しています。
6月発表の米国雇用統計は、非農業部門雇用者数が大方の予想を裏切ってプラス250万人(失業率は戦後最悪の14.7%から13.3%まで低下)になりました。このビッグサプライズで、為替市場では1ドル110円に迫る「リスクオン」の流れが起こりましたが、その流れは今後、そう簡単に強まりそうもなく、日米の株価は調整が長引く可能性も出てきました。
従って、ドル円も106円台半ばでは底堅い動きを見せるものの、上値の重さもあり、再び110円に向かうには明確なドル高材料が必要かと思います。足元では日米金利差が0.7%程度しかなく、これまでのように「金利差」からドルが買われるといったドルへの支援材料もありません。唯一、NYダウなど株価の動きが「リスクオン/オフ」を決定する材料で、ドル円を動かすメインドライバーになっていると考えられます。
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