【無料全文公開】私にとって勝ちやすいFX相場、勝ちにくいFX相場[秋川匡人]
為替相場は常に変化しているわけですから、利益を出しやすい相場、出しにくい相場を見極めることは、FXで利益を出していくためにとても重要なことです。連続発注での運用を得意とする秋川匡人さんに、その立場から勝ちやすい相場と勝ちにくい相場の特徴を教えてもらいました。
※この記事は、FX攻略.com2017年7月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
あきがわ・くにひと 東京都在住の兼業トレーダーで、住宅ローンを抱える二児の父。某製造業で働きつつ、FXトレードに精を出す。2013年から本格的にFXを開始。テクニカル分析主体の考え方で、スキャルピングやデイトレ、自動発注系ツールの活用、高金利通貨のスワップ運用など幅広い発想でFX投資を行ってきた。現在は、連続予約注文(マネーパートナーズ)を主体に運用を行っている。
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レンジ相場の往復で利益を出す運用
私がメインで運用しているのは、連続発注とも呼ばれる自動売買の一種で、相場の上げ下げから利益を狙います。マネースクウェア・ジャパンのトラリピなど、FX会社各社からいろいろな商品が出ていますが、どの商品も基本的な考え方は同じです。まずは、連続発注で利益を出すための基本的な発想について解説していきます。
連続発注は、レンジ相場で利益を出すための考え方であり、トレンド相場はあまり得意ではありません。この点が一番重要なので、まずは覚えてください。
トラリピをはじめとするほとんどの連続発注は、一定の値幅に「新規→利食い」がセットになった、イフダン注文を等間隔に複数仕掛けます。これら一つ一つのイフダン注文は、利食いまでが完了したら自動的に同じ設定で復活します。ということは、イフダン注文を仕掛けている範囲内を価格が行ったり来たりしている限り、利益確定が繰り返され、利益も蓄積されていきます。つまり、できるだけレンジ相場になりやすい通貨ペアを選択することが、連続発注で成功するための最重要ファクターとなるわけです。
現時点で、この条件に最も合致するのは豪ドル円です。超長期チャートである月足を見ると、1990年代からずっとレンジ相場で推移しているのが一目瞭然。上げたり下げたりは当然していますが、長い目で見ればだいたい同じ水準の中に価格があり、なおかつ高値や安値が切り上がっても、切り下がってもいません。
さらに、最高値と最安値の幅が狭いのも重要なポイント。狙う幅が狭いほど、仕掛ける注文量が減り、少ない証拠金で運用できる=資金効率が良いことになります。
1992年以降の豪ドル円は、リーマンショック前の104円台が最高値、リーマンショック時の55円台が最安値で、その差は50円ほど。これがドル円なら70円、ポンド円なら130円の高低差になります。
価格がレンジ内ならその運用は順調
ここまでは、連続発注においてどういった通貨ペアを狙うかという考え方の解説でした。次に、どういう相場が勝ちやすいかについても考えていきます。結論からいいまして、「想定範囲内の乱高下」が、一番利益が出るパターンとなります。
連続発注は既に解説した通り、狙った範囲内の価格の往復から利益を生む運用です。この狙う範囲を、ここでは想定レンジと呼びます。想定レンジ内に価格がある限り、利益が積み上がっていきますが、同時にこの値幅から価格が飛び出さない限り、その運用は何の問題もなく稼働していると判断できます。
いくつかの理由から、私は豪ドル円の直近の想定レンジを68〜88円としており、ここから価格が飛び出さない限りは、現在の運用をストップすることはありません。
なお、レンジアウトした場合にどうするかも既に決めています。完全に上抜けした場合は、いったん運用を停止します。今は買い運用をしているため、レンジを上に抜けると、全ての買い注文が決済され、含み損がない状態で運用を終えることになります。
逆に下に抜けた場合は、基本的には放置をして戻ってくるのを待つつもりです。豪ドル円はレンジがずっと続いているため、レンジ下端から価格が抜けても、短い期間で戻ってくる可能性が高いからです。そのため、最安値である55円を下回っても口座が飛ばないような資金計画で運用をしています。
むしろ大歓迎なレンジ内の大相場
さて、想定レンジ内に価格がある限り、何の問題もないのであれば、その範囲内での暴落や暴騰はむしろ大きな収益チャンスです。
裁量トレードの場合、ボラティリティが急拡大する場面は難しいとされていますが、自動売買である連続発注なら、相場が急加速してもそれについていくことができます。実際、2016年のブレグジットとトランプ相場は、どちらも想定レンジ内の急変動だったため、それぞれ大きな利益となりました。
自動売買と裁量トレードでは、セオリーが全く異なることも多いのですが、急変動に対するこの考え方はその典型例といえます。
逆に連続発注で利益が出にくいのは、ボラティリティが低い、値動きに乏しい展開です。上にも下にも動かないと、仕掛けている注文にヒットしようがないため、なかなか利益は増えません。直近でいえば、2017年の1〜4月までの豪ドル円はそういった展開でした。
暴騰や暴落を上手く利益に換えるのが連続発注で稼ぐコツです。だからこそ、暴騰や暴落が起きても口座が維持できるような、想定レンジの設定、余裕を持った資金計画が必須です。
1990年代前半からの豪ドル円チャートですが、上がっても下がってもいない、典型的なレンジ相場であることが分かります。
2016年は年初から円高に動き、ブレグジットやトランプ相場といった急変動もあったことに対し、2017年4月までは動きが小さく稼ぎにくい展開。
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