本当に現在のダウの主役がこの銘柄でよいのか? 井上哲男氏
日経225
井上哲男氏 相場の潮流 2020年11月18日号から、今回は、マーケット解説に加えて、井上氏のテクニカル分析データもお届けいたします。
潮流1165 本当に現在のダウの主役がこの銘柄でよいのか?1
今回の米国発の株式市場の急上昇について、「リスクオンの動きではなく、『リターンリバーサルの動き』である」と、その開始時に書き、これまで牽引してきた業種(銘柄)の手仕舞い売りと、(同じくこれまで)空売りされてきた銘柄(業種)の買戻しを指摘したが、それは、ダウが上昇してもNASDAQが下落する(または、その逆)という、「 デカップリング 」、「 ねじれ 」、「 マチマチ 」と称される指数の動きにもつながったが、それが、先週、いったん収まったものの、指数の“ねじれ”こそないものの、銘柄(業種)においては、再度起きている。
そして、そのことを証明すべく、新しいグラフを作成した。
今回のリターンリバーサルのキッカケとなったことは2つあると考えているが、それは、「大統領選が目の前に迫り、手仕舞いの動きとして買い戻しがでたこと(それまでは、追加財政支出が行われないことから売られていた)」、「大統領選の結果予測で民主党バイデン氏が有利であったことから、財政拡大による恩恵業種、環境エネルギー業種が物色の対象となり、民主党が規制をかけたくてウズウズしている兵法通信業界大手銘柄には利食い売りが広がったこと」、「コロナウィルスのワクチンに関する明るいニュースが、このコロナ禍で大きく業績を落とした業種の今後の復活をイメージさせたこと」である。
最後の部分については、(既述のとおり)ファイザーが独ビオンテックと共同開発しているワクチンが(90%以上)の高い有効性が確認され、FDA(米食品医薬品局)に、ワクチンの緊急使用許可を申請する見通しであったが、これに続き、一昨日には、モデルナ(バイオ創薬)が、こちらも初期データではあるが、臨床試験の有効性、なんと94.5%のワクチンを同様にFDAに申請することが発表された。因みにインフルエンザの有効性は、毎年、50%から60%とのこと。90%以上というのは極めて高い数字である。
グラフをご覧頂きたいが、リタンリバーサルの話のときに、ボーイング(現在の受注残5146機のうち、約8割を占めている「737MAX」について、現在は「運転中止中」であるが、米連邦航空局(FAA)が「修正点に関する審査の最終段階にあり、数日中にも完了し、早ければ18日にも運転再開の許可をだす」と伝わった)と、モニタリング5社のうち、8/31のダウ入れ替えがあったから見ているだけの、アムジェン、ハネウェル・インターナショナルを除いた3社(マイクロソフト、アップル、セールスフォース・ドットコム。セールスフォース・ドットコムは8/31の新規組み入れ銘柄)のダウの寄与のことを書いたが、先週月曜日(11/9)の爆騰日直前であるその前週末の11/6時点からのダウの累積騰落幅を青線(目盛りは左)、ボーイングの累積ダウ寄与幅をグレー(目盛りは右)、モニタリング3社の累積ダウ寄与幅をオレンジ(目盛りは右)で作成してみた。
何も解説しなくてもよいだろう。ダウとボーイングが、ここまで形状が一致しており、3社(合計、累計)については、ダウが1468ドル上昇しているのに、なんと、82ドルのマイナス寄与なのである。つまり、ここまでの主役は「ボーイング」であったということだ。
そして、この主役でこれからもダウを上昇させることができるのか?であるが、それは無理な話だと言わざるを得ない。理由を書くと、「その格ではない」、そして、「そんな(指数を大きく上昇させる)相場を作ったこともない」、である。そして、テスラにビッグニュースが飛びこんできた。(続く)
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written by hayakawa
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