【無料全文公開】歴史的トレンド相場から学ぶトレンド攻略のハウツー[遠藤寿保]
「アベノミクスの再来か!?」と評価する向きもある、2016年11月米大統領選以降の相場。果たしてこれは、ビッグチャンスになり得るのでしょうか? 過去の歴史的トレンド相場を振り返りながら、その戦略を考えてみましょう。
※この記事は、FX攻略.com2017年3月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
遠藤寿保さんプロフィール
1998年、ひまわり証券で日本初となるFX事業チームに参加。2007年、FXZERO株式会社取締役を経て、現在YJFX!マーケティング部に所属。98年以降、投資家向けのコンテンツづくりやFXの企画等に携わった経験を生かし、FXエバンジェリストとして、情報配信・FXコラム執筆・セミナー活動等を行っている。
歴史的トレンド相場
FXトレードでトータルプラスを目指すときに、リスク管理的なマネーマネジメントも重要ですが、「トレンド相場で、いかに利益を伸ばすか」も重要な課題です。とはいえ、トレンド相場に遭遇する機会は無数にあるわけではありません。そこでトレンド相場に遭遇した場合、どのように対処すれば良いのかについて、解説したいと思います。
直近ですと、「アベノミクス相場」などが当てはまると思われます。アベノミクス相場は、2012年の年末に第二次安倍政権が誕生し、黒田日銀総裁の「黒田バズーカ」ともいわれる異次元の金融政策などにより生まれたものです。「米ドル/円」は2012年の77円台から、2015年6月の125.85円まで、約2年半の期間で、約50円の上昇となりました。
このような相場つきのときの注意点としては、まずマーケットに逆らってはいけないということです。つまり、目先の下げを狙った売りポジションを作らないことが挙げられます。
上昇相場といえども、一直線に上昇することはありません。必ず調整で下落する局面があり、その目先の下げを狙って売りポジションを作った途端に、大きく上に持っていかれるなどという話はよく聞く話です。
次の注意点としては、どんな歴史的トレンドであっても必ず終わりがあり、それをどこで判断するかということです。アベノミクス相場の例では、天井を付けた15年6月時点でトレンドが終わったと判断するのは、とても難しいです。大天井や大底は、付けた時点では誰にも分からず、時間が経って、あのときが大天井・大底と分かるものです。
トレンド相場で大きな利益を出すテクニック
大きな利益を出す方法はとてもシンプルで、「利幅を大きくする」「取引サイズを調整する」ことです。利幅を大きくするためには、利食いを我慢する忍耐力が必要になります。この場合は、トレーリングストップ注文が有効的です。
ここでより大きな利幅を狙う注意点としては、利益が乗れば乗るほど、トレーリングストップの幅を大きく調整することです。上昇すればするほど、下落すればするほど、「押しや戻し」の反転幅も大きくなりますので、小さい幅のトレーリングストップだと、これらの反転で約定してしまうからです。
大底から大天井まで全ての幅を利益にしようと思ってはいけません。利益は「腹八分目」と余裕を持つことです。
次に、取引サイズの調整には大きく三つの方法があります。一つ目は最初から大きなサイズで取引を行うことです。しかしこの方法は、本当に大きなトレンドを捕まえたのかが不明のため、大きなリスクを伴うことになります。
二つ目は、途中で取引量を増やす方法です。ポジションを増やすことは、大きな利益を追求できる反面、大きな損失を許容しなければならないので、総ポジションによるシミュレーションをしっかりと行う必要があります。
三つ目は、途中で取引数量を減らす方法です。含み益はあくまで、未実現の利益です。価格が上昇(下落)すればするほど、反転のリスクは大きくなるため、都度都度、一部を決済し利益を確定させます。最終的には取引量は少なくなっているので、リスクの軽減にもなります。
トレンドの終焉を判断する方法
大きなトレンドは永久的なものはなく、必ず終わりがあります。この終わりを判断する方法としては、まず常に逆の立場での相場を考察することです。トレンドが発生していると強く信じる気持ちは必要ですが、それが崩れるパターンも想定しておくことも重要になります。
難しいのは、過去にないレベルまで変動した場合です。過去の値段からの測定ができなくなり目標価格の設定があいまいになってしまいます。
アベノミクスが終焉を迎えた要素としては、黒田総裁のコントロールが効かなくなった点です。特に2016年1月のマイナス金利導入は、政策自体は間違っているとはいえませんが、マーケットの反応が以前と変わったことに気づかなければなりません。
アベノミクス相場のときは、黒田総裁のコメントでマーケットが一喜一憂しましたが、2016年1月のマイナス金利導入後では、何かコメントをいえばいうほどマーケットは逆行するという流れに変化しました。
トランポノミクスは本物といえるか?
2016年11月の米国大統領選挙後に発生したトランプ効果といわれる「トランポノミクス」により、「米ドル/円」は101.18円から114.82円までの上昇となり、約3週間で約14円近い上昇をみせました。
実際にトランプ氏が米国大統領に就任するのは2017年1月20日となり、そこから真価が問われるということになります。トランプ氏の政治的アクションに失望感が出ない限りは、強い米国再建という流れで、大きな上昇トレンドを形成する可能性が高いと思われます。
しかし、トレンドは、どこかで終焉を迎える習性があります。そのことを認識しつつ、この大相場に挑戦してみたいというのが、トレーダーとしての気持ちではないでしょうか。
よろしいですか?