【無料全文公開】最初の武器(手法)の見つけ方[田向宏行]
FX手法で大事なことは、自分に合っているかどうかです。自分の生活や性格、資金量や目標に合ったものが、最良であるといえるのです。それではそんな武器をどのように見つければ良いのか? 田向宏行さんに解説してもらいます。
※この記事は、FX攻略.com2017年3月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
田向宏行さんプロフィール
たむかい・ひろゆき。大学卒業後、資格試験に挑戦するが挫折。就職できず仕方なく起業。事業経営の間に投資を開始。事業譲渡後の現在は個人投資家。FX会社のセミナー企画・構成も手がけている。著書に『臆病な人でも勝てるFX入門』(池田書店)。
弱肉強食の世界で勝ち残る人の共通点
12月の週末、元シティバンク・チーフディーラー西原宏一氏の有料メルマガ「シンプルFX」のセミナーが沖縄で開催されました。私も寒い東京を脱出して南国沖縄で全国から集まった20名ほどのトレーダーの方々といろいろお話しできて、とても楽しい時間でした。
そのときに印象的だったのが、参加者の多くが自分の投資法を持っていたことです。FXは自分の損が相手の利益になる弱肉強食の世界です。その中で個人投資家が生き残り、さらに利益を得るためには、この戦場で勝ち残るための武器が必要です。
参加者のトレード話を聞くと、プライスアクション(値動き)だけで取引する人もいれば、テクニカルを使う人もいました。1分足や5分足で取引する人もいれば、1時間足や日足を使う人もいましたが、共通したのは彼らの武器の見つけ方でした。
武器の見つけ方
セミナー後の懇親会で語り合う中で、何人かが自分の取引方法を話しました。FX市場は巨大なので自分の手法を伝えても、それで自分が損することはありません。他人に説明できるということはその方法に自信があって、結果も出ているということです。誰かの手法を聴くたびに、他の参加者にその人の方法を使ってみるか? と聞くと、その答えは全員がNO。そして理由も同じでした。
つまりAさんの手法が、いかにAさんにとって良い結果を出していても、自分にとって良いかどうかは検証されていない。よってその手法が自分に利益を与えるかどうかは分からないから、使えない、ということです。彼らは冷静に自分にとっての優位性を重視しているのです。
これはとても重要で、私が著書『臆病な人でも勝てるFX入門』(池田書店)で書いていることと同じです。つまり、取引データが集積されていない状況では、それが自分にとって武器になるかどうかが分からないから使えない、というわけです。
ブログや書籍で見た手法を鵜呑みにするのではなく、まず取引データを集積し、その手法が自分に合っているかを確かめる段階が大事です。彼らの手法は時間軸も使うテクニカルもそれぞれでしたが、「それが自分にとっての武器」であり、「確率高く利益を得られる方法」で、自分のスタイルである点が共通しています。
手法より大切なもの
このことからも分かるのは、FXで儲けられない人は、取引手法が問題なのではなく、一つの方法を十分に検証しないで使っている、ということです。手法は移動平均線でも、一目均衡表でも、MACDでも、RCIでも、ディナポリでも、メルマガのコピーでも、何でも良いのです。コツコツと自分のデータを集積して精度を上げる人と、思いつきで取引して損をする人がいるだけです。
とにかく取引したい、そして儲けたい、というのは欲望でしかありません。相場は欲望と恐怖の心理戦ですから、自分をコントロールできない人は勝てません。取引方法を信じるためにデータの蓄積という裏付けが必要なのです。FXで利益を得るためには、最初の武器を手に入れるステップを確実に学ぶことが大事なのです。
時間軸を決める
取引手法より重要なのは時間軸です。自分がどの時間軸、どの時間足のチャートを使って相場判断をするかで利幅も損切り幅も決まり、資金管理に直結します。損切りを狭くしたい人は時間軸を下げなくてはなりませんし、そうすると利幅も狭くなります。
損切り幅を狭くしつつ、利益を大きく伸ばすのは理想ですが、それは何年も取引経験のある人ができることで、FXを始めたばかりの人には難しいでしょう。それよりも、自分の時間軸を定め、使うテクニカルや手法を決めて、データを集めることが最も重要です。
武器の相乗効果
拙著では時間軸とテクニカルの固定を提案しています。こうした単純な形でデータを集積し利益を得ることができれば、これが最初のトレードの武器になります。単純なことができない人が、より複雑なことをしても上手くいくはずがありません。
マーケットである程度の収益が得られる最初の武器を手にすると、後はずっと楽になります。収益を最初の武器で確保しつつ、次の武器を探す余裕が生まれるからです。これを繰り返すと、さまざまな状況に対応できる取引の引き出しが増えてきます。いくつもの武器を操れるようになれば、世界中の参加者がしのぎを削るFX市場でも収益を増やすことができるようになるはずです。
最初から目先の利益に執着しすぎず、欲望に走らず、基本となる単純なことをきっちり続ける方が、FXの武器を早く手に入れることができるでしょう。
よろしいですか?