あなたの知らないテクニカル指標の世界|第1回 パラボリック[山中康司]
移動平均線やRSIなど、多くの市場参加者が見るメジャーな指標は王道の分析ですが、必ずしも自分に合うとは限りません。ここでは本誌にあまり登場しない指標を、インジケーターの造詣に深く分析のプロフェッショナルである山中康司さんに解説していただき、奥深いテクニカル分析の視野と選択肢を広げていきましょう。
山中康司さんプロフィール
アセンダント社取締役。1982年にバンク・オブ・アメリカ入行、1989年バイスプレジデント、1993年プロプライエタリ―・マネージャー。1999年日興シティ信託銀行為替資金部次長。2002年アセンダント社設立。
公式ブログ:アセンダント/山中康司が提供する為替情報配信サイト
Twitter:https://twitter.com/yasujiy
※この記事は、FX攻略.com2021年2月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
名前の由来と特徴
パラボリックは、古典的な指標を多く開発したJ・W・ワイルダーJr氏によるトレンド転換を示すテクニカル指標です。「RSI」や「ディレクショナル・ムーブメント(DMI)」などと共に、1978年に発刊された同氏の書籍“New Concepts in Technical Trading Systems”(邦題『ワイルダーのテクニカル分析入門』)において、最初に紹介されている指標でもあります。正式名称は「パラボリック・タイム/プライス・システム」といい、仕切り(エグジット)となるSAR(ストップ&リバース=ドテン)がパラボラ(放物線)に似ていることが名前の由来です。
SARはポジションを持った方向(買いなら上昇、売りなら下降)のみに進みます。SARが価格と接近し到達した場合には、売買の転換点(ドテン)のタイミングになり、SARも方向転換します。
パラボリックは、単に直近高値・安値といった単純な水準ではなく価格と時間経過を考慮した仕切り価格を示すテクニカル指標であったこと、それが1970年代には既に書籍で紹介されていたという点で画期的な指標といえるのではないでしょうか。
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