FXと人|Vol.9 村居孝美さん
ファンダメンタルズやテクニカルといった各種分析や、自動売買、システムトレードといった運用方法に目を奪われがちですが、FXの本質は人間と人間の関わり合いで生まれる価格推移です。分析や運用方法が相場を動かすことは決してありません。どんな相場も、動かすのは無数の人です。この企画では、徹底してFXにおける「人」にクローズアップします。最終回のゲストは、NLPコーチングを取り入れたシステムトレードの第一人者で、「スーパートレーディングスクールREED」の校長を務める村居孝美さんです。ここでは裁量トレードとシステムトレードの違いや、FX、株、先物のメリット・デメリット、今後の投資教育活動について語ってもらいました。
村居孝美さんプロフィール
一般社団法人日本トレーダーコーチング協会理事長、エクセレントホース代表取締役、スーパートレーディングスクールREED校長。NLP心理学に基づく国内外のトップトレーダーのモデリング法を伝授する「NLPトレーディング」の第一人者および現役システムトレーダー。トレーダーを専門とするコーチおよび投資法の指南役として全国的に活躍。執筆、講演、セミナー等の活動を行う。NPO法人日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト(CMTA)、米国NLP協会認定マスタープラクティショナー。
●聞き手:鹿内武蔵(FXライター)
※この記事は、FX攻略.com2021年5月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
時間がないならシストレがお勧め
——まず、システムトレードとは何かを教えてください
システムトレードという用語はいろいろな意味合いで使われ、自動売買とイコールにする考え方もあります。簡単にいってしまえば、ルールを作ってシステマチックに売買することです。発注をシステムに任せるのが、一般的なシステムトレードだと思います。昔は、ソフトを使って株の個別銘柄をスクリーニングし、チャートを見ながらルール通り売買することや、ソフトにロジックを登録して売買を任せることもシステムトレードと呼んでいました。ソフトを使う・使わないは関係なく、「あらかじめ決められたルールに従って機械的に売買すること」と定義づけて問題ないと思います。
——なるほど。次に、裁量トレードとシステムトレード、どちらが有利だとお考えですか?
まず短期的な裁量トレードは、画面に張りついた状態で瞬時に情報を取り入れながら優位性を見つけて売買します。一方、システムトレードは画面に張りつく必要がなく、過去のデータを基に統計的優位性を見つけて戦略的に売買します。
このように両者はスタイルが大きく異なるので、どちらが有利かではなく、どちらが自分に合うかを判断することが大切です。スポーツのように直近の値動きに対して俊敏に立ち回っていくのか、将棋のように先を見据えて戦略を組んでいくのか、どちらがより自分に合っているかという視点で選ぶ方がいいと思います。
——裁量の短期トレードの場合、反射神経なども影響しそうですね。
そうですね。裁量の短期トレードは、瞬時の判断が苦手な方やパソコンの操作が苦手で素早く発注できない方には向いていないです。また、仕事などで忙しく、チャートに長時間張りつけない方は情報を得る機会が限られてしまうので、裁量の短期トレードは難しいかと思います。いつチャンスが訪れるかはチャートに張りついていなければ分かりませんので、忙しくてFXに向き合う時間があまり取れないという方にはシステムトレードがお勧めですね。
——時間がない以外に、システムトレードに向いているのはどういう方ですか?
よろしいですか?