VIX20割れがNASDAQ3%超の下げを的確に予測 井上哲男氏
株式
井上哲男氏の『相場の潮流』では、NASDAQの2/25の3%超の下げ、そして、先週3/18の3%超の下げ共に、それまでにVIXが2日続けて20割れを記録していることを的確に分析しています。
切れ味鋭い3/19の記事をご確認いただきたいと思います。
配信日:2021/03/19 08:44
潮流1245 最大注目の「点検」。昨夜のNASDAQはバッドアシスト
今週注目の2つのイベントの後半である日銀金融政策決定会合が今日終わり、「点検」(結果の総括)を含む発表が行われるが、「最大注目」である。
いつもそうであるが、特に3月については、期末(3/31)を意識した、市場にフレンドリーな、混乱を与えない配慮が示されることが多いが、3/12の毎日新聞の報道「年6兆円ペースとしている購入原則を削除」以来、同様の観測記事が流れ、昨日は「年6兆円とする目安をなくし、市場の混乱時にのみ購入する姿勢を明確にする見通し」という記事が流れたが、これらは全て「観測記事」ならぬ「観測気球記事」である。
「観測気球」とは、予め、このようなことが起きたら市場は動揺するのかどうなのかを測るため、「わざと洩らして(上から)反応を見る、いわば『パッチテスト』のようなものだが、ここまでの市場の反応について日銀は安堵しているかもしれない。
今回、実際に報道されている内容の発表があった場合、市場で「長期的な市場の健全性から正しい選択」というような、したり顔のコメントが出されることも予想されるが、私は一時的な下落が生じる可能性があると身構えている。日銀の考えていることを私なりに予想すると、「平時の年6兆円ペースで原則購入」という文言は削除されるものの、(株価急落時への備えとして)「上限12兆円」については、削除されずに「維持」し、セーフティネット的なものはあるというサインをもって相場への影響を限定的に留めたいというのであろうが、そうはいかない可能性がある。
理由は2つ。
日経平均への影響が、TOPIXとの比較で大きく、そしてなんと言っても市場はその「日経平均の値」を体温計としていること、そしてもう1つが、「昨夜のNASDAQの下落率」である。
前者について、日銀の主なETF購入の主な対象がTOPIX型、日経平均型、(他にJPX日経400型)であり、その購入額の大半がTOPIX型であることから、「何を言っている」と思われるかもしれないが、実は2010年にETF購入が年4500億円ペースで始まり、その後購入枠が拡大していった際に、当初は日経平均型がメインの購入対象であったことから、日経平均採用銘柄において日銀が大株主となっているという事実がある。225銘柄と1800銘柄では、同じ金額の買いの(個別銘柄に与える)インパクトが違うことは、売りの場合にもあてはまる。無論、今回、「売る」わけではないが、買いのインパクトを期待した225銘柄への“提灯”は確実に減ることが予想される。
そして後者、NASDAQであるが、「MD」に記したように昨夜3.02%の下落となったが、これは2/25の3.51%以来のオーバー3%下落。その前に示現したのは昨年10/28の3.73%である。
この「10/28の3.73%」については、「潮流」で詳細を書いたように、大統領選挙前に民主党ペロシ下院議長の嫌がらせ的な追加の財政支出案(コロナ対策)拒否で市場が混乱した際に起きたものであり、2/25は無論、今回の「金利(上昇)を材料とした不安定な相場」のファンファーレとなったものである。
昨夜の下落率は、それらに匹敵するものであったのだが、これは「反動」だと考えている。何の反動かと言えば、下落したVIXの反動である。
VIXは一昨日まで2日続けて20割れとなったが、この20割れは2/12に1日だけ示現したもので、その前は「コロナ本震日」前の昨年2/21にまで遡らなくてはならない。この2/12の20割れが、結果的に反動として2/25の3%超の下げをもたらしたとすれば、昨夜の3%超の下げも「一昨日まで2日続けて20割れ」の反動と考えることができる。VIX可視化指数グラフを添付するが、ここ数日で急上昇していることを確認して欲しい。
今週注目の2つのイベントの後半である日銀金融政策決定会合が今日終わり、「点検」(結果の総括)を含む発表が行われるが、「最大注目」である。
いつもそうであるが、特に3月については、期末(3/31)を意識した、市場にフレンドリーな、混乱を与えない配慮が示されることが多いが、3/12の毎日新聞の報道「年6兆円ペースとしている購入原則を削除」以来、同様の観測記事が流れ、昨日は「年6兆円とする目安をなくし、市場の混乱時にのみ購入する姿勢を明確にする見通し」という記事が流れたが、これらは全て「観測記事」ならぬ「観測気球記事」である。
「観測気球」とは、予め、このようなことが起きたら市場は動揺するのかどうなのかを測るため、「わざと洩らして(上から)反応を見る、いわば『パッチテスト』のようなものだが、ここまでの市場の反応について日銀は安堵しているかもしれない。
今回、実際に報道されている内容の発表があった場合、市場で「長期的な市場の健全性から正しい選択」というような、したり顔のコメントが出されることも予想されるが、私は一時的な下落が生じる可能性があると身構えている。日銀の考えていることを私なりに予想すると、「平時の年6兆円ペースで原則購入」という文言は削除されるものの、(株価急落時への備えとして)「上限12兆円」については、削除されずに「維持」し、セーフティネット的なものはあるというサインをもって相場への影響を限定的に留めたいというのであろうが、そうはいかない可能性がある。
理由は2つ。
日経平均への影響が、TOPIXとの比較で大きく、そしてなんと言っても市場はその「日経平均の値」を体温計としていること、そしてもう1つが、「昨夜のNASDAQの下落率」である。
前者について、日銀の主なETF購入の主な対象がTOPIX型、日経平均型、(他にJPX日経400型)であり、その購入額の大半がTOPIX型であることから、「何を言っている」と思われるかもしれないが、実は2010年にETF購入が年4500億円ペースで始まり、その後購入枠が拡大していった際に、当初は日経平均型がメインの購入対象であったことから、日経平均採用銘柄において日銀が大株主となっているという事実がある。225銘柄と1800銘柄では、同じ金額の買いの(個別銘柄に与える)インパクトが違うことは、売りの場合にもあてはまる。無論、今回、「売る」わけではないが、買いのインパクトを期待した225銘柄への“提灯”は確実に減ることが予想される。
そして後者、NASDAQであるが、「MD」に記したように昨夜3.02%の下落となったが、これは2/25の3.51%以来のオーバー3%下落。その前に示現したのは昨年10/28の3.73%である。
この「10/28の3.73%」については、「潮流」で詳細を書いたように、大統領選挙前に民主党ペロシ下院議長の嫌がらせ的な追加の財政支出案(コロナ対策)拒否で市場が混乱した際に起きたものであり、2/25は無論、今回の「金利(上昇)を材料とした不安定な相場」のファンファーレとなったものである。
昨夜の下落率は、それらに匹敵するものであったのだが、これは「反動」だと考えている。何の反動かと言えば、下落したVIXの反動である。
VIXは一昨日まで2日続けて20割れとなったが、この20割れは2/12に1日だけ示現したもので、その前は「コロナ本震日」前の昨年2/21にまで遡らなくてはならない。この2/12の20割れが、結果的に反動として2/25の3%超の下げをもたらしたとすれば、昨夜の3%超の下げも「一昨日まで2日続けて20割れ」の反動と考えることができる。VIX可視化指数グラフを添付するが、ここ数日で急上昇していることを確認して欲しい。
written by Hayakawa
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