米国の物価
インフレ(過度な物価上昇)は何が問題か?
・収入が増えなければ、国民の購買力が低下、つまり生活水準の低下が起こり、国民の不満が高まる。特に、将来不安が高まる。
・生活水準を保つために賃金上昇が起きる⇒コストの上昇、消費金額の増加により物価が上昇する⇒物価上昇に対抗するため賃金上昇が起きる⇒・・・・
このスパイラルに入ると大変だ。収拾がつかなくなる。絶えず物価上昇に悩まされ国民に疲れがたまる。
デフレ(物価停滞)は何が問題か?
理屈の問題ではない。日本を見ればわかる。成長が止まってしまう。働く意欲も低下する。
成長が止まってしまう背景は、貯蓄に励み、消費が先延ばしされること。今すぐ買わなくとも、もう少し資金を貯めればより質の高いものが買えると思うからだ。
以上のように、インフレもデフレも困るので、(物価は多分にマネーの問題なので)金融政策当局は、物価の安定を目標とし、目標の物価上昇率は、一般的に消費者物価の2%上昇である。
米国では、消費者物価には2種類ある。消費者物価指数と個人消費物価指数だ。
両者の違いは計算方法の違いもあるが、構成ウェイトの違いも大きい。
住宅費のウェイトは消費者物価指数の方が圧倒的に高い。医療費は個人消費物価指数のほうが高い(消費者物価指数では消費者が払った分だけ、個人消費物価指数では健保が払った分も含むので)。
FRBは、個人消費物価指数が長期的に2%というのを目標にしている。
これからすると、足元で物価がかなり上昇しているが、長期的にはまだまだ余裕である。
問題は、消費者物価指数が長期で2%を越えてきたことだ。足元の物価上昇が早期に抑制されないと、トレンドが変わってしまいそうだ。
市場は比較的早期に物価上昇が収まると考えているようだが、物価については、FRBはタイトロープの上を歩いていると思う。
物価と金融政策については、改めて考えてみたいと思うが、今回はここまで。
よろしいですか?